2020.08.04

CARS

シトロエン2CVは12時間耐久レースを走り切れたのか? 自動車ジャーナリストの森口将之さんのフランス車体験がステキ過ぎる!!

2CVで12時間耐久レースを走った!

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レースにも出た。自分にとって初のコンペティティブなシーンもまた、2CVはもたらしてくれた。ツインリンクもてぎでの12時間耐久レースのドライバーに混ぜてもらい、同じフランスの有名ファッションブランドのモノグラムをまとったチャールストンを駆った。といってもエンジンやサスペンションはノーマルなので、ラップタイムは他車より2分近く遅い。つまりコンペティションにはならない。というか、危険なぐらい遅い。もっとも大切なことは、他車に迷惑をかけないこと。ライン取りは二の次だ。コーナーでのひっくり返りそうなロールは慣れっこだったが、あまりに傾くのでガソリンがキャブレターに送られないという持病を抱えることになってもいた。

もっともそれ以外はトラブルフリーで、最下位をキープしながら順位を上げていく。真夏のレースでリタイアが多かったから。まさにウサギとカメだ。最後のピットインでは周囲のチームからも拍手をもらうようになり、2CVは無事12時間を走りきった。感想をひとことで表せば、レースは面白い。速さと楽しさは比例しないということを、速さを競う舞台から学んだ。

そして今。新型コロナウイルスによって、新たにクルマで通勤するようになった人も多いという。

そういう方々にとってもっとも必要なのは、仕事の道具とともに心地よく、快適に、移動できるようなクルマだろう。そして感染が収束した頃、単なる移動の足としてではなく、操る喜びをもたらしてくれるクルマであれば、疲れた心と体を癒してくれるのではないだろうか。

2CVは自分にとっては過去の1台であるけれど、このクルマにはこれからのカーライフを彩るヒントが盛り込まれている気がする。

文=森口将之(自動車ジャーナリスト)


(ENGINE2020年7・8月合併号)

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