2020.08.08

CARS

女子中学生が恋したポルシェとは? 自動車ジャーナリスト、竹岡圭さんの初恋のクルマ

VWで全日本ラリーに挑戦中の竹岡圭さん

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そんな私が中学生の時に、その感覚が180度変わってしまう、衝撃的な出逢いをします。なんたって、ドキッ! という心臓の鼓動音が自分で聞こえましたからね。

それは、街角で見かけたポルシェ944。リトラクタブル・ヘッドランプがとにかくカッコよかったし、リア・ウィンドウがサイドまで回り込んだ独特の形状も、なんとも言えずよかった。「あぁ、クルマってカッコイイなぁ~」って、自分でもビックリするほどウットリしちゃったんですよ。

それまでにいわゆる機械を見て、カッコイイとか悪いとかいう感覚を持った記憶はないし、たとえ相手が人間でも、見た目だけパッと見て恋に落ちるなんてことは、いまに至っても一度もないので(笑)、なんでその時そう思ったのかは未だにわかりません。でもきっとこれが、ひとめ惚れってヤツなんでしょうね。

もちろん、それまでもポルシェという名前は知っていました。なんてったってスーパーカー消しゴム世代です。ラインアップの中には、ポルシェ930ターボというのがありましたからね。でもその時代の私の好みは、ランボルギーニ・カウンタックLP400。それに比べるとずんぐりむっくりに見えたポルシェ930ターボには、正直まったく心動かなかったんですよね。

でね、ここからが不思議なところなんです。いまランボルギーニ・カウンタックを改めて見ると、確かにカッコイイはカッコイイと思いますが、何を隠そうランボルギーニ・ミウラの方が、よりカッコよくも感じたりするわけですよ。

でもポルシェ944をいま改めて見ると、911も確かにカッコいいけれど、944はまた違ってカッコいい。「より」とか「さらに」とかいう、いわゆるそれを超える言葉は決して出てこないんですね。

もう少し範囲を狭めて、トランスアクスル世代のポルシェを考えても、944の前には924があるわけで、944はデザイン的にもハーム・ラガーイ・デザインの924をほぼ引き継いでいる感じですけれど、いま改めて考えても、より伸びやかさがあるんだけれど、サイズ的にもちょうどイイ944の方がカッコよく思える。人間の感覚って本当に不思議ですよね。

さらにその後、私のハートをドキッと音がするくらい動かしたクルマたちを思い浮かべてみると「1993年の東京モーターショーでいちばん印象に残った1台。サイド・ウィンドウが独特なスバル・アルシオーネSVX」然り「街角で見かけて思わず、知人に電話して名前を聞いたほど。テールランプの並べ方にかなりの共通項があるVWコラード」然り、やっぱり944とどこかしら似ている部分や雰囲気があるということに、いま改めて気が付きました。

今回のお題でずいぶん自分を改めてみましたが、三つ子の魂百までって、本当なのかもしれませんね。

文=竹岡 圭(自動車ジャーナリスト) 写真=ポルシェAG

スバル・アルシオーネSVX


(ENGINE2020年7・8月合併号)

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