2020.08.22

CARS

最新ポルシェ一気乗り! 718ケイマンとボクスターにフラット6NAエンジンが復活!!

オフ・スイッチは右足で

村上 でも、よく考えてみると、いろんな制約の結果でもある。718シリーズがなんで基本フラット4ターボになったかといえば、燃費問題で選択肢がなかったから。911のフラット6ターボはどうやっても718には載らない。じゃあどうするか。718の上位モデルで速さだけでなく心地よさを求めるファンの声に応えるには、新規の自然吸気フラット6しか手がなかった。


塩澤 ある意味苦肉の策。


村上 でも、単純な自然吸気フラット6のままだと燃費がクリアできない。新井君は文句なしって言ったけど、僕が唯一気になったのは新しい気筒休止システム。100㎞/h前後で巡航していると、あっという間に3気筒になる。20秒ごとに片側ずつバンクが切り替わって燃焼温度を調整して、そんな涙ぐましい努力をして、ようやく11%燃費が向上したんだよ。


上田 その3気筒の時が問題?


村上 完全バランスの6気筒のいちばん気持ちがよく回っているのが突然3気筒のボボボボって感じになったからビックリした。海外で乗った時はけっこう踏んでいたから気にならなかったんだけど。


塩澤 オフ・スイッチはないの?


村上 ないんです。気筒休止システムのオフ・スイッチは右足です。


塩澤 踏み続けるしかないのかぁ、すごいなそれ(笑)。


齋藤 今回は山道だけだったから、ずっと6気筒モードで最高だった。


幌は前部ロックだけ電動で、後の開閉は手動。
リアゲートを支えるリンクやヒンジは非常に細く、軽量化を狙った軽め穴も。
ホイールはカラーが異なるがGT4と同デザインのもの。タイヤ・サイズもケイマンGT4と共通だ。ただしタイヤ銘柄はGT4がダンロップ・スポーツ・マックス・レース2なのに対し、スパイダーはミシュランのパイロット・スポーツ・カップ2を履いていた。

塩澤 これ、8000rpmまで回るよね。がんばって回したけど、改めて911GT3の9000rpmってとんでもない世界だと思った。


齋藤 GT3のMTは乗ったことがないけれど、MTで乗りたいとは思わない。シフト・ミスしたらすぐエンジン・ブローしそう。でも、この新しい8000rpmまでのエンジンはMTでも嫌じゃない。


村上 いや、海外ではサーキットも乗ったけどすごく緊張感があった。


齋藤 でも、この昔からの2軸式の6段MTはすごく扱いやすいから。


村上 それはそうだ! 絶品だよね、このMTは。ストロークが短くて、キレよくすっと入って、911よりいいよ。取り回しはミドシップの方がRRより難しいはずなのに。


齋藤 まずシフトミスは考えられない。まさにこのエンジンを味わうためのMT。そういえば、このGT4とスパイダーにはPDKはないの?


村上 今のところ、ないんです。


齋藤 この2台は純粋主義者、ピュアリストのためのポルシェだね。以前6段MTとPDKの先代ボクスターで日本のくねくねした山道を走ったけど、もうリアの重さがぜんぜん違った。PDKはテール・エンドに余計に30㎏ぶらさがっていることになるんだよ。だからMTこそ、この新しいエンジンを味わうにためにはベスト。逆に絶品のMTを味わうには、こういうエンジンが必要だっていうこともよく分かる。MTが苦じゃない、MTこそ待ってましたの人には、これ以上のものはないんじゃないかな。後輪操舵もないし、何もかもがわかりやすい。



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話す人=村上 政+齋藤浩之+塩澤則浩+新井一樹+上田純一郎(まとめも、すべてENGINE編集部) 写真=神村 聖

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