2011年の原発事故により甚大なる被害を受けた福島県・大堀相馬焼の作り手たち。さまざまな方法で再起を図る彼らが、福島県内の3つのエリア、12の市町村をイメージした新しい焼き物を完成させた。
テロワールが大切なのはワインに限らない。焼き物もその土地が生んだ逸品だ。土壌が独自の質感と色を醸し出し、唯一無二の器になる。多くは原産地の名にちなんだ名前がつけられ、伝統工芸品として生き続ける。福島県浪江町の大堀相馬焼もそのひとつ。元禄期から焼かれ続けた特産品で、青磁色の表面に広がる「青ひび」という割れの繊細な美しさで知られる。また「二重焼き」の湯呑みは、2つの器を重ねた断熱構造で保温、保冷効果のあるイノベーティブなアイテムだ。
だが、3世紀に及ぶその歴史も、不条理な災厄で存続の危機を迎える。2011年の東日本大震災が引き起こした原発事故で、窯元のある浪江町を含め、多くの市町村が避難区域となった。大堀相馬焼の作り手たちは、さまざまな方法で再起を図る。
復活の試みのひとつが「ふくしま焼き物旅マップ」シリーズだ。手がけたのは、日本の伝統的なモノづくりを世界に発信するガッチ株式会社。代表の松永武士氏自身の実家が大堀相馬焼の窯元だったこともあり、このプロジェクトをキックオフ。大堀相馬焼協同組合の協力のもと、福島と東京で、「あなたの思う福島とは?」を考えるデザインワークショップを開催、福島に縁のある参加者が、クリエイターと共に豆皿と湯呑みをつくりあげた。豆皿には被災した浪江町や南相馬市など12の市町村から連想されるアイコンが一枚ずつデザインされ、湯呑みには浜通り・中通り・会津の3つのエリアの名物があしらわれている。
12市町村は畜産や農業、観光など各地ならではの特性を生かしながら、少しずつ復興の道を歩み始めている。あいにくコロナ禍もあり、他県の人間が各土地を気軽に訪れることは難しい。だがそんな折だからこそ、ワインのように焼き物を通じてかの地に思いを馳せるのも一興。伝統という土をデザインで窯変させた器たちが旅情を掻き立ててくれるはずだ。
問い合わせ:大堀相馬焼WEB本店 https://www.soma-yaki.shop/shopbrand/fukushimaicons/
ガッチ株式会社 ℡.03-3524-7226
文=酒向充英(KATANA)
(ENGINEWEBオリジナル)
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