過去13年間分の雑誌記事をWEBで再掲載している連載です。毎週水曜日12時更新。
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長期リポート艦隊の長距離ランナー、W124を愛するメカニックの手で整備を受けました。
44号車が編集部にやってきて2回目の車検を受けた。この2年間で走った距離は6万4500㎞!地球1周は4万㎞。本当によく頑張った44号車である。メインテナンスはエンジン・オイル交換7回、フロントのブレーキ・パッド交換2回、そしてタイヤおよびワイパー・ブレード交換を1回行っている。消耗品のほかには、経年劣化したベルト・テンショナーと、エアコンのエキスパンション・バルブを交換した。
さて、走行距離13万8435㎞で受けた今回の診断で「早急に対応が必要」と指摘されたのは、エンジンとトランスミッションのオイル漏れである。東京・芝浦のヤナセ東京支店の工場内でリフト・アップされた44号車を見上げると、オイル・パンもトランスミッションのオイル・ホースもベタベタだった。また、プロペラ・シャフトのジョイント・ディスクにもガタが出ているという。エンジンのヘッド・ガスケット交換が最も手間のかかる作業で約15万円の出費となった。痛い。
「14万㎞ですから、まだまだこれからです。早めの手当てで100万㎞を目指してください」
そう言うのは、メカニック出身で現在は整備課長の高橋健司さん。メルセデス・ベンツの整備部門一筋32年のベテランだ。
W124型メルセデス・ベンツの弱点ってなんですか? どういうところに気をつければ、この先も長く乗り続けられるんでしょうか?
「う~ん。弱点ですか。おい、W124って弱点ないよなあ!」
高橋さんが声をかけた先には44号車の整備作業をしている橋本英幸メカニックがいた。二人とも声をそろえて弱点はないと言う。
「特にここが弱いというところはないです。どの部品もライフ・サイクルが長い。壊れないのがまさにW124の長所です」(高橋)
「経年劣化した部品を交換していれば、大打撃に会わない。古いクルマですから暖まるまでは、急な操作はしないほうがいいですけど」(橋本)
両メカニックの発言に説得力を持たせたのは愛車だ。なんと、ふたりともW124型メルセデス・ベンツに乗っている。92年型260Eに乗る高橋さんも、94年型400Eを愛する橋本さんも、購入理由は〝壊れないから〟。特に担当者のように高速道路を頻繁に使って、たくさんの距離を走る人にはうってつけだという。お墨付きをもらったようで嬉しい。
それにしても44号車の整備をするメカニックがW124を愛するオウナーだなんて、これほど心強いものはない。やはり野に置けれんげ草。
文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=柏田芳敬
■44号車/メルセデス・ベンツ300TE
MERCEDES-BENZ300TE
購入価格:168万円
導入時期:2008年9月
走行距離 3万4570km+13万8435km
2008年にENGINE編集部は「長期テスト44号車」としてメルセデス・ベンツ300TE(1992)を購入。1984年にデビューしたこの124型は「消耗部品をちゃんと交換していけば新車同然の状態で長く使える」と言われた名車で、それを検証すべく連載スタート。購入時の走行距離が3万4000㎞だった44号車は、12年後の2019年に走行距離30万キロを突破し、いまだ現役です。
(ENGINE2012年2月号)
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文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=柏田芳敬
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