2020.08.29

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ユンハンス/バウハウスの理念を体現する名作が"最新モジュール"でアップデート

マックス・ビル メガソーラー/1961年から続くバウハウスデザインの名作シリーズに、同社の"お家芸"である電波ソーラー機構を採用した次世代機種が登場。欧州、英国、米国、日本(2カ所)、5つの基地局の標準電波を受信し、誤差が100万年に0.006秒の正確な時刻修正が実現。外装はフルチタンで総重量は37g。軽快な着用感も魅力だ。電波ソーラー・クオーツ。チタン、ケース直径38㎜、3気圧防水。税別15万8000円。

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新開発の「J101.85」は特許取得の"ユンハンス オートスキャン"で5つの周波数の時刻信号を自動検索。永久カレンダーやスマホアプリとの連携機能も備える。


マックス・ビルは1927年から2年間、全盛期のバウハウスでデザインを学び、"バウハウス最後の巨匠"と呼ばれた。1956/1957年にはユンハンスのウォールクロックも手がけた。


1961年、ユンハンスからの受注時にマックス・ビルが描いたスケッチ。現行機種も当初からデザインが変わっていないことがわかる。


JUNGHANS

ドイツ南西部の"黒い森地方"シュランベルグで1861年から続くユンハンスは、発祥以来、ドイツ時計の聖地として名を馳せる東部・グラスヒュッテの重鎮ブランドたちのように超絶的な複雑機構を追求することはなかった。より日常にフィットしやすい、実用性とモダニズムを極めることが本懐だったのだ。


今年発表されたばかりのこのモデルは、ドイツの歴史的な造形・美術学校「バウハウス」に学び、世界的デザイナーとして活躍したマックス・ビルが1961年に同社の依頼でデザインしたモデルの末裔。感覚的、恣意的な装飾や曲線を排し、機能性のみに依拠したフォルムは初代から継承される偉大な財産であり、まさにバウハウス、ひいてはドイツプロダクトの真骨頂とも言えるものだ。


しかしながら、ユンハンスにおいて注目すべき"物語"はデザイン界との密接な関係のみではない。同社は1990年、現在では常識となった電波時計を世界で初めて発表したエレクトロニクス・ウォッチの先駆者でもあるのだ。同モデルは、駆動機構が従来の機械式から最新の電波ソーラーへと進化。研ぎ澄まされた外観と、先端技術の邂逅。交錯する2つの物語が、ドイツ時計の"あるべき姿"のひとつとして結実している。


文=川口哲郎
(ENGINE2020年9・10月合併号)

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