ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
2001年の「9.11」から世界は戦時体制に入った。SUVの流行は、漠とした不安によるものではないか。ニッポンはそこに「3.11」が重なった。坂の上の雲を眺めれば、次は下るのが道理である。問題は07年に発明されたiPhoneがバーチャル空間を巨大化し、いまや自動車が走るスマホになりたがっていることだ。スマホならあるのに。こんなときだからこそ、私はスポーツカーに乗りたい。
英国のスペシャリスト、TVRが1999~2006年に製造した、世にも野蛮なスポーツカー。無謀にも独自開発した直6を1100kgの軽量ボディに搭載。電子制御と耐久性とは無縁の、パワーと爆音、レスポンスと振動、興奮と危険の塊。
2代目エリーゼのトヨタ製1.8L直4にスーパーチャージャーを装着、脚を堅めた戦闘エリーゼ。1トンを切る超軽量ボディに221ps、セミ・スリックを履いてモーレツに速かった。長期リポート車として1年担当した私は幸福でした。
サーキット走行を前提とするセミ・レーシング仕様の996。997前期型もよいけれど、996GT3(前期型)で八幡平を走り回った個人的思い出ゆえに。911GT1のクランクケースを使った3.6L NAを6MTで。あの日に帰りたい(涙目)。
おそらく跳ね馬最後のNAのV8ミドシップ。キレッキレのハンドリングとエンジン、極上の乗り心地。ベラ・マッキナ! これぞイタリア。
F1由来の5L V10から2気筒落とした超高回転型4L V8を搭載。その切れ味やカミソリのごとし。エンジン屋の真骨頂。中古車の買い時カモ。
VW傘下で6.75L V8OHVが復活! これを搭載したアルナージは英国の伝統とドイツの技術の幸福な結婚だった。自動車税がなければなぁ。
ランボルギーニ・ガヤルドのアウディ版。V10のあちらに対して、V8のR8はより軽快で運転しやすい。往時ニュルを走って感激した。秀作。
XJに次いでアルミ・モノコックを採用した2+2の優雅で上品なスポーツカー。軽量ボディにV8、しなやかな脚を持つ。いまなら買えるカモ。
カーボン・モノコックのスーパーカー! 富士スピードウェイを570Sでカルガモ走行中、前を走る720Sの後ろ姿に惚れた。カッコイイ!
痛快な操縦性とレトロでモダンなカタチをもつポストモダンなMINI。EU誕生後の英独結婚ブームが生んだ1台でもある。離脱以後が心配。
BMWが開発した元祖高級SUV。BMWの4.4L V8を搭載、よりモダンで快適なツアラーに。それだけに距離が延びている(中古車の話)。
三河の企画で実現した上州製FRスポーツ。富士ショート・コースで乗った後期型は低重心と正確な6MTが○。86GRも高いけどヨカッタ。
13年目の国産スーパーカーはなお魅力的。聖地ニュルでのテストを見学に行き、その仕事ぶりに敬服した。GT-Rはサムライがつくっている。
ゴーンと共に去りぬ、の可能性もある復活版アルピーヌ。252ps、1100kgで約800万円。順位が低いのは買えそうもないから。諦めるな、俺。
小型FF車に3L V6を搭載したラテンなミドシップ。荷室はないけど、よきツアラーだった。
アルファひさびさのFRセダンはマジメだった。でも、乗れば納得。マジメが一番。祝110周年。
知っている味なのに、乗ると新鮮。人馬一体。歴代どれもよいけれど、現役に敬意を評して。
カーボン屋根のコンプリート・カー「WRX STI tS」がヨカッタ。歴代WRXは全部ヨカッタ。
WRCの承認用というジャンルをスバルとともに日本車でつくった。ランエボは全部ヨカッタ。
パンダ100HP、6MTでイタリアを走ったなぁ。小型車のMTは楽しい! お金もかからない!
文=今尾直樹(自動車ジャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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