いま着けたいのは、“物語” のある時計--。その興味深いストーリーを知るほどに魅力は深まるばかり。ここに現代の名品たちを主役にした珠玉の短編集を編んでみた。
18歳でシャネルに入社し、40年以上アーティスティック ディレクターを務めた故ジャック・エリュによって「J12」は、2000年に生を受けた。彼がケース素材に選んだのは、ガブリエル・シャネルが愛した黒を永遠に留めるセラミック。そしてダイバーズやパイロットウォッチなどに古くからあるディテールを抽出し、精査して組み合わせ、スポーツウォッチとしてのピュアなスタイルを築き上げた。
「学生時代にJ12を見て衝撃を受け、私は時計デザイナーを志したのです」。そう語るアルノー・シャスタンにJ12のフルリニューアルが託されたのは、運命だといえるだろう。彼は、4年以上の歳月を掛け、エリュの意図を理解しようと努力した。そしてJ12を構成するディテールのすべてを抜き出し、一つひとつのサイズや色などを繰り返し微調整した。
そうして2019年に発表された新生J12は、多くの人を戸惑わせた。何故なら、何も変わっていないように見えたから。しかし実際には70%以上が、変更されている。シャスタン曰く「何も変えず、すべてを変 えた」。彼はスポーツウォッチのピュアなスタイルを変えることなく、ディテールの操作で一層のエレガンスを与えたのだ。美は細部に宿ることを、J12は教えてくれる。
文=髙木教雄
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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