2020.09.06

WATCHES

セイコー/国産時計の偉大なヘリテージを受け継ぎ、将来の定番となるべく誕生したダイバーズ

プロスペックスLXライン SBDB027/陸・海・空のフィールドを横断的にカバーするLXラインの中核モデル。ムーブメントは"時"の連続性を象徴するかのように秒針の滑らかな動きが特徴的な自動巻きスプリングドライブ。1968年製ダイバーズの機能美あふれるデザインコードを踏襲しつつ、低重心ケースによる快適な装着性にこだわるなど、外装も内部もすべてが最先端。まさに国産スポーツウォッチの最高峰に君臨する。チタン、ケース直径44.8㎜、300m飽和潜水用防水。税別63万円

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いま着けたいのは、“物語” のある時計--。その興味深いストーリーを知るほどに魅力は深まるばかり。ここに現代の名品たちを主役にした珠玉の短編集を編んでみた。



1968年初出の300m防水ダイバーズ。当時の最高水準となる毎時3万6000振動のムーブメントをワンピースケースに搭載したプロ仕様で、セイコーダイバーズの象徴ともいえる記念碑的モデル。このモデルを原点に世界的工業デザイナーの奥山清行氏が"正統進化"へ導いた。


機械式と同じくゼンマイのほどける力を動力源としつつ、ICと水晶振動子によって正確に精度を制御するスプリングドライブを駆動装置に採用。世界でもセイコーだけの独自機構だ。


SEIKO

“良いものは、あえて変えずに熟成させていく”、そんな欧州の老舗ブランドでは当たり前のやり方を明確に打ち出したのが、プロスペックスのハイエンドコレクション「LX」ライン。ロングセラーを続ける定番には必ずルーツがあり、進化を続けてきた歴史があるように、LXラインの原点となったのは1968年製の機械式ダイバーズだ。


丸型と角型のインデックスで瞬時の視認性を高め、リュウズを4時位置にオフセットして手の甲に当たらないよう工夫するなど、セイコー技術陣が総力をあげた傑作だった。1970年には冒険家の植村直己氏がエベレスト登頂に携行したことで、信頼性の高さも証明された。


それから半世紀、脈々と継承されてきた国産ダイバーズのDNAは、2019年に誕生したLXラインのモダンな機能美に昇華。たとえばケース正面からラグにかけて、世界最高峰の磨き技術であるザラツ研磨を施した鏡面が取り巻き、腕元に美しい輝きと品格を与えてくれる。また、駆動装置のスプリングドライブは温度変化や衝撃に強く、アクティブなシーンに最適な高性能エンジンといえる。現代最高の技術が注ぎ込まれ、スポーツ系の頂上モデルとして、将来の永久定番が約束された由緒正しき国産時計である。


文=大野高広
(ENGINE2020年9・10月合併号)

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