ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
200台近いクルマのリストを見て感じたのは、みんな走りが好きなんだということと、クルマは個性が命なんだということの2点。そこで私もこのふたつの観点から20台を選んでみました。結果的に最新モデルが過半数を占めたのは、各自動車メーカーの弛まぬ努力により、いまもクルマの走りが着実に磨かれている証拠。今後もクルマの進化をポジティブに捉えたいと改めて思いました。
速さもコントロール性もトップクラス。でも、マクラーレンを高く評価したくなるのは、すべてに理論的な裏付けがあって、それが理屈だけでなくドライビングの喜びに結びついている点にある。クールで控えめなところも大好き。
サーキットでないと本領を味わえないスーパー・スポーツカーが増えるなか、公道での楽しさに重きを置いたコンセプトが画期的。パワーもハンドリングもワインディング・ロードで振り回してちょうどいい。乗り心地も驚くほど快適。
ドリフトに憧れるすべての人々にとって朗報なのがウラカンEVO 4WDの誕生。ドライバーの意思を汲んで〝ドリフト態勢〞をクルマが作り上げてくれるうえ、その後のコントロールも容易。スーパーカー少年の夢をかなえてくれる。
電子制御頼みのシャシーじゃないが、驚速レスポンスのおかげで自在にコントロール可能。9000rpmまで回るエンジンは延髄に響く。
もっとも美しいフェラーリ・ミュージックを奏でる現行モデル。スポーツ性もさることながら、そのラグジュアリー性が本当の魅力かも。
FFとかFRとか、もうそんなことはどうでもいい。このハンドリングと快適性のバランスは値段が何倍もするモデル並みの価値がある。
「快適なスーパー・スポーツカー」の歴史を切り拓いたパイオニア的モデル。自然吸気超高回転型エンジンの官能性も忘れられない。
どこをとってもソツがなく、完成度が高い。タイプ992はスタビリティとドライバビリティがさらに向上。毎日乗りたいスポーツカーだ。
内外装ともに見どころが多いけれど、目に見えることはこのクルマの価値の2~3割。その裏側に隠された職人魂こそミュルザンヌの本領だ。
デザインとエンジン音にダンディズム溢れる英国的スポーツGTの正統派。マット・ベッカーがチューニングしたシャシーの完成度も高い。
高級車=重厚という公式を打ち崩し、軽量ボディで新たなラグジュアリー感を創造。昔々、王様が乗っていた馬車もこんな乗り心地だった?
新世代6気筒を積むS400dとS450が秀逸。電気の力があればどんな排ガス規制も恐くないと思わせる。シャシーも意外なほどスポーティ。
個人的に購入して7年経ったが、いまだにいい味を出しているコンパクト・カーのお手本。しっかり作り込まれたメカニズムはやっぱり強い。
既存の自動車メーカーが世に送り出した史上初の“実用になるEV”。走りの性能とスタイリングの美しさを追求した点もジャガーらしい。
ラグジュアリーSUVの原点。技術者とデザイナーが妥協なしに作った初のレンジローバー。
ルノーらしい可愛さと先進性が爆発。操縦性と居住性を両立したコンパクト・カーの優等生。
シンプルなメカを変えずに長足の進歩を遂げたことは驚異的。男の子の冒険心をくすぐる。
自然吸気ストレート6の官能性を備えた最後の3シリーズ。あの快音がいまも忘れられない。
1960年代の2輪GPマシンを髣髴とさせる超精密メカ。ホンダらしさがぎっしり詰まっている。
ホットハッチの民主化を実現した21世紀初の日本車。欧州仕込みの走りは骨太で頼もしい。
文=大谷達也(モータージャーナリスト)

(ENGINE2020年9・10月合併号)
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