エンジン"ホット100"ランキング、選考委員が選んだ20年間の集大成! 07年に登場した史上最強の日本車がHOT4に! 選んだ委員の数はアルピーヌA110に続く26人! 2000年代初頭に生まれた国産モンスターは熟成を重ね、いまでも輝き続けている。
21世紀になって尚、個人の移動の自由を担保する最高の利器であり続けているクルマは、同時に新たな存在理由を求め始めた。性能や快適性、デザインを追求するに留まらず、よりいっそうの安全と持続性、交通手段としての発展性を期待されるようになったからだ。
そんな気運が現実味を帯びる寸前に滑り込むようにして(実際、リーマンがあったから、ギリギリセーフだった)誕生したのが、和製ハイ・パフォーマンス・カーの日産GTRである。遅れて咲いた20世紀的な高性能車の徒花。国産スポーツカーとしては初めてツルシの状態で世界の高性能車たちと渡り向かえるという、悲願のパフォーマンスを内に宿しつつ。
"スカイライン"でないことに、筆者を含めて多くのファンは嘆いたものだったが、リアからの眺めは見紛うことなくモダナイズされたスカイラインだったし、何より「4WDスポーツカーのパイオニア」(佐藤久実さん)であり続けたことにひとまず第二世代ファン(32・33・34)は溜飲を下げたものだった。それは正に、第二世代からひと呼吸をおいて、「力づくで高性能を追求した究極のカタチ」(高平高輝さん)であった。だからこそ誰もが「なんだかんだ言いつつ走りの凄さに異論なし」(河村康彦さん)だったし、「日本車もやればできる」(新井一樹さん)と感心、否、感動さえしたものだった。デビュー当初、その重量とパフォーマンスの関係に多くの外国メディアや外国ブランドのエンジニアが関心と疑義をもち、日本人ジャーナリストを質問攻めにしたことが懐かしい。


多くのジャーナリストが指摘しているように、12年というモデルライフはいかにも「引っ張り過ぎ」(河村さん)だが、とはいえその間、開発陣は手をこまねいていたわけではなく、毎年のように改良と進化を加えてきた。もちろん、根本的な古さは隠しおおせなくなりつつあるけれども、一方で、不断の進化こそがスポーツカーの生命線であることもまた多くのジャーナリストが指摘する点だ。
「世界中探してもほかにない」(国沢光宏さん)コスト・パフォーマンスの高さもまた、GT-Rの魅力。一千万円で「ポルシェ・ターボを震撼」(新井さん)させることができたのだから、世界中のスポーツカー・ファンを魅了したのも当然のことだった。今なお、そうである。
20世紀的高性能車の徒花、と書いてはみたものの、ひとつだけ未来へと繋がる要素もあった。それは重さの活用だ。もちろん、クルマの開発において軽さは未だに正義中の正義であろう。けれども重いクルマを滅法速く正確かつ安全に、そのうえ自在に走らせるという技術もまた、場合によっては重くなる一方の未来のクルマにとって、ひとつの重要なキー・テクノロジーになるのではないだろうか。
BEV(バッテリー・エレクトリック・ヴィークル)のGT-R? アリだ。その代わりR35と同じく、次の「20年間の日本車最大の事件」(村上政さん)になってくれさえすれば、32から4世代を買ってきたいちRファンとしても、それ以上の喜びはない。
■日産GT-R
全長×全幅×全高=4710×1895×1370㎜。ホイールベース=2780㎜。車両重量=1760㎏。3.8リットルV6ツインターボは最高出力570ps/6800rpm、最大トルク637Nm/3300~5800rpmを発生、6段DCTを介し4輪を駆動する。
文=西川 淳 写真=望月浩彦
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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