エンジン"ホット100"ランキング、選考委員が選んだ20年間の集大成! ポルシェ911シリーズの最硬派バージョン、GT3の最高位は991型に決定!
正直なところ、2015年にホット4でランキング入りして以来、16年から18年まで3年連続ホット1の快挙を成し遂げ、モデル末期に近づいた昨年でさえホット4の位置をキープしていたこの最硬派911最新版が、まさか今回、フタケタ台に沈むとは思ってもみなかった。
なぜだ! と結果を仔細に点検してみれば理由は明白。同じGT3でも、996後期型、997前期型、997後期型、そしてこの991型と4モデルがノミネート車リストに載っており、そのすべてがホット100入りして、票が割れてしまったのだ。4台の点数を足せば313ptになるから、アルピーヌには及ばないまでも、マツダ・ロードスターを軽く追い越してホット2につけていたことになる。さらに他の911シリーズも合わせたなら……というような話はこれ以上するまい。
それよりカレラ系からターボまで、996型から992型まで、12モデルもノミネートされた911シリーズの中にあって、最新992型をすぐ後に従え、この991型GT3&GT3RSが頂点に立ったことこそが、最大の名誉と考えるべきだろう。アルプスさながらに聳え立つ911山脈の中でも、頭ひとつ突き出たモンブランあるいはマッターホルンのような究極の高みにいるのだ。
「サーキットの限界域で乗るたび、その精度の高さとブレないキャラクター、計算し尽くされた最先端のハイパフォーマンスカーとしての存在感に感服するGT3。中でも、飛躍的に乗りやすくなった991型に一票を投じたい」と言うのは、佐藤久実さん。このクルマの凄さは、速さの頂点を究めながらも、その一方で運転する楽しみをもたらすことを忘れないことにある。それが証拠に、「選んだのは後期型GT3。トップモデルのRSではない後期型になって復活した3ペダルの6MTモデル」と大井貴之氏が言うように、7段PDKに加えて、わざわざラップ・タイム的には不利な6段MTを復活させてもいるのだ。「回すとカップ・カーと同じサウンドを奏でる後期型GT3のエンジンは快感の塊」と言うのは島下泰久氏だが、すべては速さと運転快楽のためにある。だからこそ、その走りを体験すれば誰でも、「上手く乗りこなせるなら悪魔に魂を売ってもいいと思わせるほど蠱惑的」という藤原よしお氏のコメントに、深く頷くに違いないのだ。
■ポルシェ911GT3/GT3 RS(991)
(GT3・7PDKモデル)全長×全幅×全高=4562×1852×1271mm、
ホイールベース= 2457mm、車両重量=1490kg。リアに搭載される
4Lフラット6は最高出力=500ps/8250rpm、最大トルク=460Nm/
6000rpmを発生。7段自動MTを介して後輪を駆動する。
文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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