富士で開かれたレクサスの試乗会では、LSと同じくフェイスリフトしたISにも乗ることができた。 見た目も大きく変わった新型の走りはどうだったか?
ひと目見て、「えっ、これマイナーチェンジだよね」と言いたくなるくらい、カッコ良くなった新型IS。19インチ・タイヤを履いたのに合わせて、ボディ全体のデザインを見直したことが、かなり効いているようだ。いや、変わったのは見た目だけではない、中身についても大幅に手が入れられているという。スポット打点を追加してボディ剛性の向上を図ったのに始まり、サスペンションの一部をアルミに変更したことによる軽量化やショックアブソーバーの高性能化、スタビライザーの最適化などが施されている。
さらに、日本車としてはほとんど初めてとなるホイールのハブボルト締結構造を採用したことも特筆すべき進化だろう。日本車では車体のハブ側から棒を突き出させて、そこにホイールの穴を入れてナットで止めるのが一般的になっている。それを欧州車と同じようにハブ側に穴を切って、そこにホイールをボルトで止めるようにしたのである。たったそれだけのこと、と言うなかれ、これが剛性の強化とハブのまわりを削ることによる軽量化に繋がることはわかっていたが、コストや精度の高さが求められるために、誰もやっていなかったのだ。
そうやってバネ下の軽量化とボディも含めたクルマ全体の高剛性化に取り組んだ結果がなにをもたらしているかは、乗ってみればすぐにわかる。走りの質感が一段も二段も上がったのである。すなわち、脚がしっかりと動いて路面への追従性がいいから、常にタイヤが路面にキチッと接地している感じがする。そして、脚まわりの剛性もボディ剛性も上がっているので、ステアリングを切れば切っただけ、気持ち良くクルマが曲がっていく。走り全体にメリハリ感があって、どんな速度で走っていてもスポーティな感覚を味わうことができるのだ。
私が最初に乗ったのはIS300だったが、2リッター直4のこれだとボディがかなり勝っている感じで、山道を走っても余裕を持って右足を踏んで行ける感覚があった。クルマとの対話を楽しみながら、どこでも気持ち良く走るには、これがちょうどいいのかも知れない。しかし、さらにスポーティなFRならではの走りを満喫したいのなら、今や希少価値の自然吸気の3.5リッターV6を搭載したIS350がいいだろう。これはFスポーツのみの設定でLSDもオプション装備できる。さらに幅広く使いたい人のためにはハイブリッドと4WDモデルもある。素性がいいから、どれに乗っても気持ちいいはずだ。
文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬
(ENGINE2021年4月号)
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