ジープは、グランド・チェロキーよりもさらに大きく豪華なフルサイズSUVのニューモデル、ワゴニア/グランド・ワゴニアを発表した。ワゴニア/グランド・ワゴニアはかつてジープの旗艦車種に使われていた名称で27年ぶりの復活となる。
初代ワゴニアの誕生は1962年に遡る。カイザー・ジープ社が「ウィリス・ジープ・ステーションワゴン」の後継車として市場へ投入したのが始まり。その後、カイザー社を買収したAMC社が1983年に初代チェロキーの上位モデルにワゴニアの名称を与えたのにともないグランド・ワゴニアに改名され、AMCを傘下に収めたクライスラーの下で1991年まで存続される。なお、チェロキー・ベースの2代目ワゴニアは1983年から1990年まで販売された。さらに、1993年に初代グランド・チェロキーのトップ・モデルとしてグランド・ワゴニアが復活。しかし、1年限りで1994年に終了。以後、再登板もたびたび計画されたものの、実現されることはなかった。
27年ぶりに復活した新型ワゴニア/グランド・ワゴニアもジープ・ブランドのトップ・モデルに君臨する。なお、グランド・ワゴニアはプレミアム・ブランドを見据えたワゴニアの上級車種だ。ボディ・サイズは2車種とも同一で、全長×全幅×全高=5453×2124×1921mm、ホイールベースが3124mmで、最低地上高は211mm以上を確保している。
シャシーには新開発のスチール・フレームを持つFRレイアウトを採用。ワゴニアのエンジンは397ps/548Nmの5.7リッターV8OHVに48Vマイルド・ハイブリッドを組み合わせたもので、4WDのほかに後輪駆動の2WDも選べる。グランド・ワゴニアは477ps/617Nmの6.4リッターV8OHVを搭載。駆動方式は4WDのみとなる。なお、変速機はどちらも8段ATだ。
4WDシステムは3つのシステムを用意。通常のフルタイム式、それに2段の副変速機が付加されたもの、副変速機付きに電子制御のリアLSDが追加されたもの。フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式の4輪独立式サスペンションには車高調整機能付きのエア・スプリング仕様も設定される。切り替え式トラクションコントロールや登坂/降坂時の速度制御機構も用意し、オンロードでの走行性能を高めつつ、ジープの名に恥じないオフロード走破性を両立している。
キャビンは、2+3+3レイアウトの8人乗りが標準仕様で、2列目が左右独立した7人乗りがオプション。かつてのワゴニアを彷彿させる平らで長いルーフ・ラインなどにより3列目の頭上空間はクラス最高水準にあるという。荷室容量は通常時が800リッター、最大時はワゴニアが3300リッター、グランド・ワゴニアが2700リッターに達する。
インテリアは、防音ガラスやアクティブ・ノイズキャンセラー、電子制御マスダンパーなどにより、NVH(ノイズ・ヴァイブレーション・ハーシュネス)対策も徹底されている。ワゴニアは10.1インチ、グランド・ワゴニアは12インチのセンター・ディスプレイをはじめ、デジタル画面を複数装備し、最大で合計75インチに相当する。オーディオはマッキントッシュ製で出力950W/19スピーカーと1375W/23スピーカーのシステムが用意される。
このジープ・ブランドの新たなフラッグシップSUVのワゴニア/グランド・ワゴニアは2022年モデルとして2021年後半に北米市場で発売される予定だ。
文=関 耕一郎
(ENGINEWEBオリジナル)
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