2021.05.08

CARS

街で乗ってもカッコいいオフロードSUVはこの3台で決まり! ジープ・ラングラー、メルセデスAMG G63、ランドローバー・ディフェンダー

軍用車がルーツの本格オフローダーがいま、オシャレな都市生活者の間でウケている。その魅力について飯田裕子さん、佐藤久実さん、藤島知子さん、吉田由美さんの4人の女性ジャーナリストが女子座談会で討論した。


不安な世の中だからタフなクルマに惹かれる

―――ちょっとオシャレな4ドア実用車特集の3本目は、メルセデスAMG G63、ジープ・ラングラー、そしてランドローバー・ディフェンダーの3台です。どれも軍用車をルーツに持つヘビーデューティーなSUVで、いまファッション業界や芸能界などで大人気となっています。ここでは飯田裕子さん、佐藤久実さん、藤島知子さん、そして吉田由美さんという4名の女性ジャーナリストを迎えて、女性から見てこの3台はどうなのか? ざっくばらんにお話していただこうと思います。どうですか? この3台イケてますか?



吉田
 小柄な女性って、こういうマッスルなクルマが好きだったりする。日々、見下ろされている生活をしているじゃない。こういうアイ・ポイントが高いクルマに乗ると、違う世界が見えるよね。あと、こういう不安な世の中になると、タフなクルマに惹かれる。頼りがいを求める。



佐藤 東日本大震災から10年。この10年だって熊本地震、台風による水害などいろいろあった。それでいま、コロナでしょう? 私たちの価値観やライフスタイルが大きく変わったよね。


飯田 クルマにセイフティ・プレイスを求めるようになった。クルマを買うご主人だって、安全とか安心とかいう理由で家族を納得させやすい。


藤島 実際、実用的ですからね。


佐藤 何と言っても頼もしい。



吉田 ブランド志向がそれほどでもなくなったのも、この3台が選ばれる理由かもしれない。あからさまにブランドロゴだらけの服、みたいなのは、今それ? って思っちゃう。洗いざらしのデニムでラングラーに乗ってる方が、こなれた感じで素敵。


飯田 実際、東京の目黒・世田谷あたりだとこの3台に乗った女性をよく見かける。


足回りの改良などにより先代よりずっと乗用車的な乗り味になった。世界の大都市に住むリッチ層が望むクルマに仕上がっている。Gクラスのなかで最も高性能で高価なG63が一番売れているのは、その証かもしれない。


守ってくれるG63

―――では、それぞれを見ていきましょう。Gクラスのなかでも最も売れているというAMG G63から。


佐藤 G63は無骨。ドアは思いっきりバシン! とやらないと閉まらないし、走り出したときのガチャン! というロック音も強烈。


吉田 あの密閉感がね。ドアもロック音もワザと出している。


飯田 2018年に40年ぶりのフルモデルチェンジを受けたわけだけど、変えてはいけないものは絶対に変えないという意思がある。フロント・フェンダーの上にあるウィンカー・レンズとか。


メルセデスAMG G63をドライブする吉田由美さん。アイポイントが高く見切りがいいことに加え、車体が四角いので車両感覚をつかみやすい。最小回転半径は6.3m。先代に比べて中身は大幅に進化していることは、外観よりもインテリアで伺いしれる。


吉田 ウィンカー・レンズは歩行者保護を考えると、ああいう突起型はNGなんですけど、衝撃吸収しながら下に沈み込むようにしてます。


藤島 軽量化のためにドアはアルミ化されたんです。それであの閉まり音を再現してみせるところが凄い。


飯田 そういうところにテクノロジーを使ってるんだよね。


佐藤 乗り込んだ瞬間、垂直に立ったフロント・スクリーン越しに見える独特の景色。これも変わらない。


大型液晶パネルを備えたインストゥルメンタル・パネルが最新のメルセデスを主張する。レザーシートを含めて内装の質感は高く、最上級のものであることを感じさせる。


飯田 一方、ステアリング・ホイールなんかはフラット・ボトムでスポーティな印象さえある。インテリアはモダンでゴージャス。エンジンの吠える感じはエモーショナルで、本当にスゴイと思った。


佐藤 デカイけど取り回しがラクで、乗り心地も改善された。


吉田 40年ぶりにラダーフレームから新設計したんですよ。


藤島 リジッド・アクセルのチョロチョロした動きを払拭するため、フロントを独立懸架にして、リジッドからハイマウント・アームの乗用車的なダブルウィッシュボーンへと改良しました。


後席を倒した最大荷室容量は1941リッター。


吉田 最新技術はどちらかというと黒子で見た目はアナログのまま残した感じ。


藤島 芸能人の奥さんに“主人がGクラスを欲しがっているんですけど、私にも運転できるでしょうか?”って、相談されたんですけど。


佐藤 オッケーでしょう!


藤島 そう答えました。見切りがいいから車幅感覚がつかみやすい。


飯田 車庫入れもあの四角いボディのおかげで本当にラク。


藤島 Gクラスには揺るがないブランド感もありますよね。安心感に加えて優越感もある。


2500rpmで最大トルク850Nm!を発生する4リッターV8ツインターボはドゥロロロ……という豪快な音を立て、2530kgの巨体をグワッと加速する。


佐藤 てっぺん取った感があるよね。


飯田 Gクラスだと靴汚したくない感じがするかも。


吉田 ラングラーがレッド・ウィングのブーツだとしたら、革靴を履いてそう。


藤島 とはいえ、あの絶対的な安心感は何物にも代えがたい。堅牢なボディと最先端の電子制御技術でアナタを絶対に守ります! というオーラが出まくってます。



自分本位のラングラー


飯田 G63とは違い、“自分のことは自分で守る”ための道具という感じがするのがラングラーだよね。


吉田 サバゲー(=サバイバル・ゲーム)感がする! ワクワク感の塊。


藤島 ラングラーに乗ると、優等生すぎてもつまらないという気になります。洗練され過ぎていない良さがある。メーターも液晶じゃないし。


飯田 ナマナマしいというか、リアルな感じが由美ちゃんの言っているワクワク感につながっている。


円形のエアコン吹き出し口と丸いメーターが一列に並ぶシンプルなデザインのインパネは、人気が高かったモデルCJ7のオマージュ。ホイールベースが先代より65mm伸びて後席の居住性が向上した。シフトレバーの左側に2WD、4WDのセレクト・レバーを備える。最小回転半径は先代の7.1mから6.2mへと改善され取り回しがラクになった。


吉田 今回乗ったのは、郡カメラマンの愛車だったじゃないですか。荷室をカメラマン仕様というか、自分の使い勝手がいいように改造してた。オーナーがいろいろ手を加えられて、愛しさも増すんじゃないですか。


藤島 4駆切り替えのレバーなんか、いかにもアナログと言う感じで。


佐藤 そうそう。


飯田 でも、ラングラーだって少しずつ進化してきた。着々といまの姿になっていくのを見届けてきたので、いまのラングラーは本当にベストだと思ってる。


ジープ・ラングラー・スポーツを楽しむ藤島知子さん。日本におけるジープ・ブランドはいまやFCAグループの稼ぎ頭。なかでもラングラーの人気は高く、販売台数は本国アメリカに次ぐ2位となっている。「砂漠は走らないけれど、乗ればそういう情景が浮かんでくる」とは、藤島さん。


藤島 先代と違うなあと感じたのはドラポジ。ペダルの配置がマトモになりました。最小回転半径も7.1mから6.2mで小回り性もアップ。


吉田 ちょっと縦揺れのリズム感がいい。クルマが呼吸しているみたい。


飯田 ワナワナ感でしょ? それも先代に比べたら改善されたよね。


藤島 ロール・オーバー・バーの上部にスピーカーが付いている。屋根外しても音楽を楽しめるのは、アメリカ的なノリだなあって。




今回の試乗車は郡 大二郎カメラマンの愛車で5ドアのスポーツ。テール・ゲートの開口部は大きい。窓の部分は跳ね上げ式。後席を倒した最大荷室容量は2050リッター。


佐藤 本国で使っている写真を見ると、ルーフ・パネルはもとよりリア・クウォーター・パネル、さらにはドアまで外してる。これがザ・ジープ!っていう感じでカッコイイ。


吉田 そう、骨美人。


飯田 すぐ近くに自然がある人はリアルにそれを感じて乗ると思うし、都会の人も自然のテイストを感じながらクルーズできる。ラングラーは飾り気がないんだけど、エンターテインメントはちゃんと用意している。素朴とワイルドさが同居してて、冒険心は一番あるんじゃない?


藤島 G63の価格は2218万円。その4分の1ぐらいの価格なのに、横に並んで卑屈な気分にならないのはすごいですよね。



飯田 G63が高級旅館、ディフェンダーがグランピングなら、ラングラーはやっぱりキャンプだよね。


佐藤 でも、いろいろ揃ってるキャンプ場ね。


藤島 そうなんですよ! 新型になって“野営”じゃなくなった。


吉田 タイムレス感がラングラーの魅力なんだけど、デザインもサイズ感もいいので、本当に普通に使える。


試乗車は5ドアのディフェンダー110。3ドアの90も用意される。現在のところ日本仕様のエンジンは2リッター直4ターボと3リッター直6ディーゼル・ターボの2種。旧型のラダーフレームからアルミ・モノコックへ、足回りもリジッドから独立懸架に変わり、大幅に快適性が向上した。「3台のうち、いつか買うならディフェンダー」とは、佐藤さん。


遊べるディフェンダー

―――では、ディフェンダーに話題を移しましょう。1948年の登場以来、初のフルモデルチェンジを受けました。


藤島 ほかの2台がフレーム構造を受け継ぐ中で、ディフェンダーだけはモノコック構造になりましたね。


佐藤 今日乗ったなかでやっぱり一番乗用車っぽい。私、先代のディフェンダーで鈴鹿サーキットから東京まで乗せていってもらったことがあるの。あのときは“これ、何の罰ゲーム?”と思うほど、乗り心地が酷かった。しかも、後席は横に座る。


吉田 自衛隊みたい。


佐藤 ホント、隔世の感がある。


まったく新しく生まれ変わったディフェンダーのインテリアはモダンでクリーン。インパネから生えているシフト・セレクターが新しさを主張する。とはいえ、奥行きのないダッシュボードはジープ・ラングラー同様、本格的オフローダーを予感させる。アナログ・メーターはベース・グレードのみ。ファブリック・シートの掛け心地は良好。


藤島 ランドローバーの人に聞いたら、モノコック化してもねじれ剛性は先代比の3倍。高いオフロード性能は保っているし、技術的な進化がすごい。ランドローバーはもともとオフロードのブランドですし、メルセデス・ベンツとは考え方が違うのかもしれません。


飯田 先代のスタイリングに拘ることよりも、カッコ良くて性能のいいSUVを作ることの方が大事だと。


藤島 やっぱり一番オシャレな感じですよね。




飯田 本当に上手なデザインだと思う。サイド・マウント・ギア・キャリア、ルーフ・ラックやルーフ・ラダーなどアクセサリーの用意もいい。


藤島 リア・ゲートを開けると、空気を入れることができる内蔵型コンプレッサーの口があるんです。自転車やクルマのタイヤ、サップのボードなどを膨らませることができる。空気入れをクルマ側に内蔵。アウトドアの夢が膨らむ。ちょっとしたアイディアで楽しい気分にさせてくれる。アウトドアがよくわかってるんですよ。



荷室の床には小さなサード・シートが格納されていた(オプション)。2列目シートも倒した最大荷室容量は2277リッター。


佐藤 時計バンド型のキーもいいよね。海へ行ったりすると、鍵って邪魔なんだよね。


吉田 いま、ソロ・キャンプが流行っているけれど、行かなくてもキャンプをイメージできるような、そういうイマドキ感がある。


―――では、3台に共通する魅力についてお聞かせください。


佐藤 3台とも揺るがないものという感じがする。トレンドに流されないというか、ブレてないところがカッコイイ。クルマって自己主張だから、わかりやすい3台だと思う。


飯田 ラングラーのときに由美ちゃんがタイムレスって言いましたけど、この3台は本当にタイムレス。だからこそ、時間も場所もトレンドもまったく関係ない。そこがいい。


ランドローバー・ディフェンダーに乗る飯田裕子さん(右)と佐藤久実さん(左)。


吉田 みんな自分を飾ることに疲れちゃったんじゃないですか? 本音で何が一番大切なのか? それは生きることだと。コロナになってとにかく生きようと。次に会う時まで生きていようねって。そういう3台なんだと思う。生きるためのクルマ。必要なものだけ。だからラングラーなんか骨格だけでも絵になる。


藤島 自分が主役になれる3台だと思います。自分が使いこなすことで完成する。どれも懐が深くて、どんなライフスタイルにも似合う。


飯田 飾ることに疲れたというよりは、違う楽しみ見つけちゃったという感じかな。高級車に乗ってきた人も、そろそろこっちかな? と。


佐藤 この3台はガチなライバルがいないよね。


飯田 3台のどれに乗っても、ほかの2台が羨ましくない。“アナタはそっちですか”と認めることができる。


藤島 あれだけ価格が違うのにね。


吉田 しかも、いざとなったら乗って避難もできる(笑)。


藤島 ディフェンダーは水深90cmまで走破できます。



吉田 守ってくれそう感が大事。


―――♪ユー・ドント・ハフ・トゥ・ウォーリ、ウォーリ♪ そんなクルマが都会でもカッコイイのはなぜ?


吉田 都会もジャングルですからね。


佐藤 アハハ。やっぱりデザインがいいからですよ。


飯田 この3台に乗っている女性はステキだと思う。だって普通のSUVで十分じゃないですか。あえて、ステップに足をかけてヨイショと乗るのがカッコイイ。


藤島 SUVは本当に多様化していますからね。ライフスタイルに合わせて選択肢はいくらでもある。


佐藤 だからこそ、この3台のように拠り所があるものが光るのかもしれない。


話す人=飯田裕子+佐藤久実+藤島知子+吉田由美 司会とまとめ=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎


■メルセデスAMG G63
駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4665×1985×1975mm
ホイールベース  2890mm
車両重量 2530kg
エンジン形式 V型8気筒ツインターボ
総排気量 3982cc
最高出力 585ps/6000rpm
最大トルク 850Nm/2500~3500rpm
変速機 9段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 275/50R20
車両本体価格 2218万円


■ジープ・ラングラー・スポーツ
駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4870×1895×1840mm
ホイールベース  2890mm
車両重量 1970kg
エンジン形式 V型6気筒DOHC
総排気量 3604cc
最高出力 284ps/6400rpm
最大トルク 347Nm/4100rpm
変速機 8段AT
サスペンション(前) マルチリンク/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ 前ディスク 後ろ通気冷却式ディスク
タイヤ 245/75R17
車両本体価格 534万円


■ランドローバー・ディフェンダー110
駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4945×1995×1970mm
ホイールベース  3020mm
車両重量 2320kg
エンジン形式 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1997cc
最高出力 300ps/5500rpm
最大トルク 400Nm/2000rpm
変速機 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 255/60R20
車両本体価格 619万円~
 


(ENGINE2021年5月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement