2024.10.20

CARS

ゴルフGTIはボディで曲がる、メガーヌRSはリア・サスペンションで曲がる、ではシビック・タイプRは何で曲がるのか? ホットハッチ頂上決戦 山野哲也が判定を下す!

ホンダ・シビック・タイプR vs ルノー・メガーヌR.S. vs フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

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2024年のエンジン・ホット100で日本車の4位につけたのがホンダ・シビック。シビックといえばやはり、FF車ニュル最速を記録したタイプRでしょう。そこで、世界の頂点を争ってきたルノー・メガーヌR.S.とホットハッチの元祖、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIとともに箱根に連れ出して、レーシング・ドライバーの山野哲也選手と乗り比べてみた。モータージャーナリストの佐野弘宗がリポートする。

ニュル・アタックの最初はメガーヌRS

佐野 FF実用ハッチバックを高性能化した「ホットハッチ」の元祖は、1975年に発売されたフォルクスワーゲン・ゴルフGTIです。そして、ルノー・スポール(RS)が、スポーツカーの聖地といえる独ニュルブルクリンク北コースのタイムアタックを敢行したのが、2008年のメガーヌRSから。以降、各社のFFホットハッチによるニュルアタックが慣例化します。

そんな「FF最速」の称号争いにホンダが初参戦したのが、14年の先々代シビック・タイプRでした。その後も、ときにゴルフGTI(の限定車クラブスポーツ)も巻き込みながら、RSとタイプRによるニュルへのタイムアタック合戦が激化します。現在の市販FF車によるニュル最速タイムは、23年4月に最新のタイプRが出した7分44秒881。メガーヌRSは今回連れ出したウルティムを最後に生産が終了して、次期モデルの計画はありません。さらにいうと、欧州では日本以上に電動化が進んでいますから、これまでのようなカタチでのFF最速戦争は、すでに終わったのかもしれません。

デビュー50周年のフォルクスワーゲン・ゴルフは通算8世代目。すでに後期型が発表されているが、今回の試乗車は前期モデルだ。

山野 あらためて3台に乗ると、ゴルフがいいですね。すべての要素が手中におさまるように、コンパクトにつくられています。

佐野 スピードを追求したメガーヌRSとシビック・タイプRは専用のワイド・ボディで、全幅はなんと1.9m近い。対するGTIのサイズは基本的に普通のゴルフと同じです。

山野 GTIは実用性も高いのですが、すべての煮詰め方が半端ではない。GTIに乗ると、VWは世界中で愛されるクルマのつくり方を知っているんだと思わざるを得ません。大多数の人に愛されるためのサジ加減やバランスが絶妙です。

ほとんどの操作系がタッチ式スイッチのインパネは滑らかな印象。

佐野 GTIはあくまでゴルフの範疇のクルマ。対するRSとタイプRは、メガーヌやシビックという本来の姿から見ると、“異形”の進化としかいいようがありません。

山野 RSとタイプRのねらいは、あくまでサーキットを速く走ることです。目的がちがえば、マシンのつくり方も変わってきます。自動車メーカーによる究極のチューニング・カーといえるのが、RSとタイプR。コーナリングのさせ方も三者三様ですね。

佐野 どういうことですか?

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