2021.05.15

CARS

見た目が飛び切りスタイリッシュで走りが楽しいSUVが欲しいなら、この3台! キャデラックXT4、アウディRS Q3、アストン・マーティンDBX

大きさや価格が異なるSUV3台の共通点は見た目と走り。アメリカ、ドイツ、イギリスの異なった個性をもった3台の魅力を掘り下げたら、いまの時代に光る共通性があった。モータージャーナリストの島下泰久氏とエンジン編集部員が試乗した。


ちょっとオシャレな4ドア実用車

村上 今回の企画のきっかけはコロナにある。コロナ禍によって私たちのクルマ・ライフが変わった。


島下 そう思います。周りを見ても。


村上 家族と過ごす時間が長くなって、家族単位での移動も多くなった。電車やバスという公共交通機関を使うのに、ちょっと抵抗があってクルマで出かけることが多くなった。


荒井 路上はレンタカーだらけ。


村上 私たちのクルマ選びの基準も変わってくると思う。いま、どんなクルマがいいかな? と考えたときに、ちょっとオシャレな4ドア実用車がいい。家族みんなで乗れて、荷物も積めて毎日使える。でも、どうせ買うなら眺めているだけで気持ちがウキウキするクルマがいい。ということで、いま注目なのはやっぱりSUV。そこで“見た目が飛び切りスタイリッシュで、走りが抜群に楽しいSUV”3台を揃えてみました。


荒井 キャデラックXT4、アウディRS Q3スポーツバック、アストン・マーティンDBXって、国も違えば、大きさも速さも違う。共通するのはSUVということだけだね。


島下 いま、クルマの主力がSUVですからね。そこにラグジュアリー、スポーツなどいろんなジャンルがある。見た目と走りという断面で選んだときに、ああ、この3台があったか! という感じです。


村上 そうそう。だから大きさや価格といった関連性はない。共通点はスタイリッシュということだけど、たしかにこうして3台を並べてみるとカッコイイよね。


島下 間違いない。なんとなく買ってしまったクルマには見えない。こだわりを感じます。


大らかなXT4

村上 まずはキャデラックXT4。エンジンの5号の表紙のクルマなんだけど、プラダの洋服にすごくマッチしてて、ビックリした。もうひとつ驚いたのは、最近のキャデラックに感じる欧州車的な乗り味ではなく、とてもアメリカンなこと。


島下 そうですね。ジャーマンのようなカチッとしたものとは違う。


荒井 カジュアルなんだよね。


村上 見た目は本当にカッコイイ。真横から見るとよくわかるんだけど、プロポーションは典型的なSUVなんだ。でも全体の印象はすごく新しい。それは顔のせい?


荒井 縦長のポジション・ライトが効いてる。この上のXT5、XT6に共通して、まごうことなきキャデラックになっている。


クリーンでモダンな印象を与えるキャデラックXT4の室内。インテリアの素材は上質ながら過度な装飾はなく、カジュアルな雰囲気となっている。ただし、オート・シート・ヒーター&クーラー、ステアリング・ホイール・ヒーターなどの快適装備は充実している。2775mmというホイールベースの恩恵で後席のレッグ・スペースには余裕がある。

島下 そう。つまりXT4はエントリー・モデル。XT5、XT6と大きくなっていくと、プレミアムが濃厚になっていく。XT4はもっと間口の広い感じにしているんだと思う。若い新しい顧客を狙って、あえてカジュアルにした。気軽に出かけたい感じがするクルマですよ。


村上 そこがいまの気分に合っているよね。


島下 気軽だけど、顔は明らかにキャデラックだから、イイモノに乗っている感じがする。日本でこのサイズだとトヨタRAV4やハリアーがいっぱい走ってる。そのなかでキラリと光る存在になれます。目立つというか際立つ。


2リッター直噴ターボ・エンジンは気筒休止機構付きで9段ATが組み合わされる。

荒井 試乗したのはスポーツというグレードで、リアル・タイム・ダンピング・サスペンションというのが付いてる。スポーツにした方が脚が引き締まっていいと思った。


村上 スポーツにすると4WDになる。普通のモードだとFF。脚が柔らかくて。確かにスポーツにすると脚がシャキッとする。でも、そのあとで同じ横置き4WDのRS Q3スポーツバックに乗ると、やっぱりXT4は柔らかかったんだと思う。独特の乗り味があるよね。さっき、僕がアメリカンと言ったのは、大らかな乗り味がヨーロッパや日本のSUVとは違うなあと思ったから。


後席を倒した最大荷室容量は1385リッター。

島下 着座位置が高くて視界が広いのも大らかさに繋がっている。目の前に広がる内装の質はすごくいい。


荒井 XT5になると内装はイッキに豪華になる。XT4はモノとしてちゃんとしているけど、過度な化粧はしていない。そこもカジュアル。


島下 キャデラックが狙うのは、引き締まった身体をもったスマートなエグゼクティブ。コーラにポテチでゲームばかりしている昔のイメージのアメリカ人じゃない。


荒井 イギリスと違ってスノッブな世界でもない。もっと自由な感じ。


村上 そこも独特の大らかさを醸し出す理由かな。


島下 だから乗るほどにジワジワといいんじゃないですか。


気分がアガるSUV

村上 RS Q3スポーツバックは、XT4と対照的だった。同じFF横置きベースの4WDなんだけど、こっちはスポーツ万能で知的な職業に就いている秀才青年みたいな感じ。


荒井 シルエットが綺麗だと思った。アウディにしてはちょっとデザインがビジーかな?


村上 アウディはアンダーステイトメントで控えめなイメージがあるけれど、RSだけはこれ見よがしなところを入れてある。それが絶妙なバランスだから、すごくカッコよく見えるんだと思う。


島下 どんな人が乗るんだろう? もちろん走るのが好き。でもSUVだからサーキットへ行かないでしょう? 家族もいるだろう。でも屋根が低いスポーツバックを選ぶ。面白い存在だなと思った。


荒井 まあ、飛ばす人なのは間違いないね。


メーターナセルやダッシュボードなどに多角形のモチーフを用い、プログレッシブな印象を与えるアウディRS Q3スポーツバックのインテリア。ダッシュボードやドア・アームレストを飾る赤いアルカンターラ、赤いステッチのスポーツ・シートなどはオプション。

村上 少し前にニッチという言葉があったけれど、これはニッチのニッチのニッチ。普通のQ3があるわけだからね。それをわざわざクーペSUVにしている。


島下 SUVを選ぶことが当たり前の前提で、その上でスポーティなモデルが欲しい人ですよね。4ドア・セダンに対してクーペを選ぶ感じ。


村上 SUVって“スリー・イン・ワン”などと言って、何にでも使えるということをアピールしていたけれど、これはスタイリングやスピードなどの要素も入って“ファイブ・イン・ワン”、“シックス・イン・ワン”など、なんでもアリになっている。そこが凄い。


2.5リッター直5ターボは1950rpmから最大トルク480Nmを発生、豪快な排気音とともに強烈な加速を味わわせてくれる。0-100km/h加速は4.5秒。ハンドリングも素晴らしく、ブレーキも強力で峠道を走るのがとても楽しい。

荒井 買う人は負けず嫌いだと思う。見た目も走りも絶対負けない。


村上 で、あんまり大きいのが好きじゃない人かな。


島下 価格的にはQ5やSQ5も視野に入ってくる。でも、小さいのをあえて選んでRSにする。相当のこだわり。そのこだわりには応えている。ドンピシャの人には突き刺さる。


荒井 400ps! ですよ。


島下 期待通りの吠えるエンジン。


村上 ガスペダル踏んだ時のズウォーン! という吹き上がりや、変速のときのボワン! という演出が凄い。確かに勝っても勝っても勝ち足りない人が乗るのかもしれない。


島下 乗るのにテンションがいるクルマですよね。逆に言えば、乗れば元気にならざるを得ない。


最大荷室容量は1400リッター。

荒井 これこそ、ひとりで箱根を攻めることもできるし、家族でスキーにも行ける。


島下 確かに箱根に行く気になる。


荒井 後ろからポルシェ911が来ても、道は譲らない。そういうテンションの人ですよ。負けず嫌い。


島下 すごくアグレッシブに生きている人。ワインディングの先の自販機で、ひとりコーヒーを飲んでいてもサマになる。Q3だとそれは寂しい。これは確かにひとりでもカッコイイぜ! というクルマですね。独身者の僕からしてみれば、ひとりで乗ってサマになるのはこれかもしれない。説明不要で。


自分を変えるSUV

村上 もう1台がアストン・マーティンDBX。乗るたびにつくづく思うのは、SUVのカッコウをしているけれど、紛れもなくスポーツカーだということ。そして、なによりもアストン・マーティンだということ。これで4人乗れて荷物も積めるんだから、とてつもないクルマだよ。


島下 しかも走りの味はアストン・マーティンのなかでも、かなりいいときてる。僕が好きなのは、背の高いスポーツカーで使い勝手はイマイチというものではないこと。もっとクーペSUVにしても良かったんだろうけど、それをしなかった。


インテリアの意匠は現在のアストン・マーティンを踏襲している。センター・コンソールやドア・アームレストには本物のウッドが用いられるなど、乗り込めば高級かつアストン・マーティンならではの世界に包まれる。

村上 なんか乗ってるだけで自分が偉い人になったような気分になる。


島下 スクッとした姿勢でドライバー・シートに座り、あのレザーやウッドの凝ったインテリアに囲まれれば、気持ちはアガる。


荒井 同じV8を積んだメルセデスAMG G63に乗ったんだけど、エンジンの印象が違う。あっちはドーン! ドゥロロロ……。もう、ただただトルクで行く感じなんだけど、DBXはちゃんと回して加速する。


島下 エンジン・マネージメントがアストン・マーティンだから、そこが大きいんじゃないですか? ちゃんと英国車にしようというのが見て取れる。


メルセデスAMG製の4リッターV8ツイン・ターボと9段ATの組み合わせ。

村上 一方、エアサスを使っていて、乗り心地はすごくいい。DBXで家族旅行したら気持ちいいだろうねえ。


島下 子供に何を着せますかね。そういうことも含めて楽しまないと、このクルマはもったいない気がする。


荒井 年配の方が乗っていてもめちゃくちゃカッコイイと思う。


島下 というか、自分はいつになったらこれが似合う男になるんだろう? と思います。


荒井 立ち居振る舞いも気を付けようと思うようになるかもしれない。キャデラックXT4が持つ自由な感じとは違う。


島下 そうなんですよ。ブリティッシュ・スポーツカーですからね。それを自分が楽しむことはもちろん、家族や仲間もそうであって欲しい。たとえば、キャンプに行くかもしれないけれど、ギアにもこだわって欲しい。100円ショップではなくて。それが楽しいんだと思います。DBXを買うにあたっては、内外装の色からオプションまでいろいろ選ぶはずです。それに合わせてキャンプ道具も選んで欲しい。


村上 タキシードを着て乗ってもおかしくないからね。


荒井 スーツも生地をロンドンのサビルロウから取り寄せるとか。


島下 そのぐらいの心意気で乗ったほうが面白い。コロナ禍で出かけないから洋服が売れないようですけど、こういうクルマがあれば、出かけるときに服を考えるようになると思う。DBXから降り立つ人は、どんな人だろう? って見てるわけだから。


村上 残念! にはなりたくない。


乗り心地がしなやかなこと、軽快で人馬一体感があることもアストン・マーティンDBXの大きな魅力である。このクルマでしか味わえない世界を持つ高級SUVだ。

島下 この3台は買ってからクルマに感化されてライフスタイルやファッションが変わっていくような気がします。そこが面白い。


村上 それがライフスタイル・カーなんだと思う。単に移動手段のためのクルマというのは在り方が変わっていく。


島下 SUVだから道具として優れているのは当たり前。その先に何かがないと選ぶ楽しさはないし、いま乗る意味もない。


荒井 その点、この3台は相当いい選択だと思う。


島下 乗りこなせるだろうか? 自分には似合うのか? と思っても、いいなと思って買えば、自分がそれに沿った人になる。


村上 そう。自分がこうなりたいという人の像を考えて、その人が乗るクルマを想像してそれを買うと、やがて自分が憧れた人になっていく。


島下 出かけるときに奥さんが着飾ってくれるかもしれない。クルマは依然としてそういう効果を持っている。コロナ禍で家族と過ごす時間が増えている。こういう尖った何かを持っているクルマを買えば、その時間がもっと楽しくなる。悩んだら、一歩踏み出した方を選びましょう。


話す人=島下泰久+村上 政(ENGINE編集部)+荒井寿彦(ENGINE編集部、まとめも) 写真=望月浩彦


■アウディRS Q3スポーツバック
駆動方式 フロント横置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4505×1855×1555mm
ホイールベース 2680mm
車両重量 1730kg
エンジン形式 直列5気筒DOHCターボ
総排気量 2480cc
最高出力40ps/5850~7000rpm
最大トルク 480Nm/1950~5850rpm
変速機 7段自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ 前:通気冷却式ディスク 後ろ:ディスク
タイヤ 225/40R20
車両本体価格 863万円


■アストン・マーティンDBX
駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 5039×1998×1680mm
ホイールベース 3060mm
車両重量 2310kg
エンジン形式 V型8気筒DOHCツイン・ターボ
総排気量 3982cc
最高出力55ps/6500rpm
最大トルク 700Nm/2200~5000rpm
変速機 9段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア
サスペンション(後) マルチリンク/エア
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 前:285/40R22 後ろ:325/30R22
車両本体価格 2295万円


■キャデラックXT4スポーツ
駆動方式 フロント横置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4605×1875×1625mm
ホイールベース 2775mm
車両重量 1760kg
エンジン形式 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1997cc
最高出力 230ps/5000rpm
最大トルク 350Nm/1500~4000rpm
変速機 9段AT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ ディスク
タイヤ 245/45R20
車両本体価格 640万円


(ENGINE2021年5月号)

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