2021.06.24

CARS

プラグイン・ハイブリッドと相性抜群のレンジローバー・スポーツ!

先月テストしたレンジローバーPHEVの完成度の高さとその統一された世界観に驚き、あらためて弟分のレンジローバー・スポーツのPHEVも借り出し、遠出してみた。

高級サルーン顔負け

先日わずかな距離ながらレンジローバーのプラグイン・ハイブリッド(以下PHEV)に乗って、これは是が非でもレンジローバー・スポーツのPHEVにも乗っておかないといけない、と思った。

車体はともにアルミのモノコックだ。パワートレインの顔ぶれも一部マイルド・ハイブリッドが現時点でレンジローバーにないことを除けば共通だ。PHEVのスペックも、2リッターガソリン・ターボ(300ps)+モーター(142ps)によるシステム出力は404psで同じ。もちろん、どちらも高級サルーン顔負けの快適性と、あきれるほどの悪路走破能力を備えている。

PHEV仕様の価格は1218~1316万9000円で、グレードによって若干異なるが、おおよそ3リッター直6ディーゼル+130万円という値つけになっている。

けれどこの兄弟の造り分けは明快で、走り出せばまったく違うことがすぐ分かる。脚の仕立てがソフトでどこまでも穏やかに姿勢変化を許容する兄貴分のレンジローバーに対し、弟分のレンジローバー・スポーツはずっと脚が引き締まっていて、しかもSUVとは思えないほどステアリング・フィールがいい。ハンドリングは極めて正確で、峠道ではずっと高い速度を維持できる。全長×全幅×全高は4855×1985×1800mmで、レンジローバー・スポーツはレンジローバーより150mm短く、65mm低く、PHEV同士で比較してみたら80kgも軽い。アクセレレーターを踏み込めば、モーターが加勢し太いトルクが一気に立ち上がり、2640kgもの巨体とは思えないくらい、身体がぐっとシートに押しつけられる。PHEVになっても、“スポーツ”の名は伊達じゃない。







内燃機とモーターの協調制御はとにかく優秀だ。なめらかかつ自然で静粛性は高く、エンジンの始動は注意していないと分からない。モーター組み込み式の8段ATは純粋な内燃機用の8段ATに比べ変速スピードがやや穏やかな印象を受けるが、総じてPHEVの仕立ては高級で高品質なレンジローバーというブランドの世界観にとてもマッチしている。



試乗前に200V充電器で13kWhバッテリーをフル充電し長野を往復した。回生ブレーキで電力を蓄えるセーブモードや最大43.8km走れるEVモードを使わず、PHEVであることを意識せずに走ってみたところ、最終的な燃費は13km/リッターを下回らなかった。



どんな場所でも快適に駆け抜け、それでいて操る楽しさに満ちていて、おまけに小食で、充電施設があって近距離移動が主ならEV代わりにもなる。惜しいのはバッテリーが荷室の床下にありオプション設定の3列目シートが選択できないことくらいか。

レンジローバー・スポーツのようなマルチプレイヤーを、僕はほかに知らない。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也

(ENGINE 2021年6月号)

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