2022.01.27

LIFESTYLE

銀色に輝く姿はまるでロケット! 六甲山が見えるSF映画のような家

風光明媚な山の頂き近くに建つ、未来的なフォルムの住まい。SF映画に登場するかのようなその家には、建築家の大胆なアイデアと施主夫妻の遊び心が詰まっていた。雑誌『エンジン』の、クルマと暮らす理想の住まいがテーマの人気シリーズ。今回は、建築家の奥和田健設計の文字通り尖った家を紹介。デザインプロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

建築家の提案を全面的に受け入れる

「これほど先鋭的な家を建てることを、よく許しましたね。そんなお施主さんに出会いたいものです」

この家を設計した奥和田健さんが、建築家仲間を連れてくるたびそう羨ましがられると、施主である喜多敬さん(55歳)夫妻は楽しそうに話す。それはそうだろう。建築家の挑戦的な提案を、全面的に受け入れた喜多邸。深く記憶に刻まれる姿をしている。陽の当たる東側の通りに面して窓はなく、銀色に輝く姿はまるでロケットだ。しかも外観だけでなく、内部空間も相当に個性的。滅多にお目にかかることのないデザインの「住宅」だ。建築家であれば、このような誰も建てたことのない家を手掛けてみたいだろう。



兵庫県西宮市の、六甲山近くの山の頂き近くにこの家は建っている。喜多さんと奥様の志子さんは、それぞれが仕事を持った自営業。アメリカの砂漠で行われる奇祭バーニングマンについて、筆者が本誌21年6月号に寄稿した記事を読んでいたというから驚きだ。しかも何度もこの祭に参加し、著名なアーティスト達と懇意にしているとか。この祭を一言で言うなら、映画『マッドマックス』の世界だ。勝手な話、喜多さん達はワイルドな方と想像していたが、予想は大きく裏切られた。かつて二人は、お堅い金融機関で働いていたことも。物腰も穏やかで、数多くの建築家の中からミニマルな作風の奥和田さんを選び、繊細なアートにも関心が高い。

そんな喜多さん一家のお宅は、上のお子さんが生まれた21年前に手に入れた家の建て替えである。このエリアは志子さんの実家のすぐ裏手。景観に配慮し、周囲と同じスタイルの家が幾つも建てられ分譲された。なかでもこの場所は、西に遮るものが無く六甲山が見えるのが魅力。新しい家は、いずれ子供たちが出ていき夫婦二人で暮らすことを考えてのものである。もっとも奥和田さんが希望を尋ねても、返ってきたのは荷物が多いので収納が必要という事くらい。実は喜多さん夫妻には、建築家の創造性を制約することなく自由に作品を作ってもらいたいという考えがあったようだ。ともあれ奥和田さんは手がかりを得るため、建て替え前の家を訪れ、調度品や二人の考え方からクリエイティブな発想の夫婦と判断。それまでの作風と大きく異なる、ロケットのような家の模型を一つだけ作って提案した。


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