クルマは移動の手段としても役に立つだけでなく、退屈な日常をウキウキした気分に変える不思議な魅力を併せ持っている。時計も同じだ。時刻を知る道具であることを超えて、着けるだけで生活に彩りを添えてくれる良きパートナーでもあるのだ。だからこそクルマも時計も、自分に合ったスタイルのある1台、1本を選びたい。そんな想いを込めて、ハリー・ウィンストンの斬新なスポーツモデルを時計ジャーナリストの鈴木裕之が解説する。
ザリウムの鈍色をビビッドカラーで包んだ唯一無二のラグジュアリースポーツ
ハリー・ウィンストンが2004年から手掛けてきたプロジェクト Z。HW オーシャン・コレクションの一角を成すこの連作には、チタンとよく似た特性を持つ「ザリウム」をベースとした特殊合金が用いられてきた。全体がサテン仕上げとされたケースは、重厚な鈍色の輝きを放つが、実際に手にしてみると驚くほど軽い。こうしたイメージのギャップにこそ、ハリー・ウィンストンは実用性と審美性のバランスポイントを見出し、新しいスポーツウォッチのスタイルを築き上げたのだ。
歴代モデルの中でも特に高い人気を誇った「プロジェクト Z10」をベースに、デザインの再解釈を加えたモデルが、新作の「ザリウム バリエーション」。鈍色のザリウムにトーンを合わせたかのようなダークブルーの意匠から一転して、目にも鮮やかなビビッドカラーを組み合わせたスタイルは、ハリー・ウィンストンでしか作り得なかった唯一無二のラグジュアリースポーツだ。
ザリウムケースを前提として、分目盛りのチャプターリングやレトログラードカウンターの外縁にオレンジコーティングによる金属光沢を残している点も心憎い演出だ。惜しむらくはこのモデルがたった100本の限定生産であること。争奪戦は必至だ。


ザリウム バリエーション・オレンジ
2016年に発表された「プロジェクト Z10」をベースとしたカラーバリエーション。ムーブメントやザリウムケースといった基本構成はそのままに、ダークブルーの差し色がビビッドオレンジに変更された。マンハッタン・ブリッジを模したオープンワークがブラックアウトされたことで、ぐっと上品な印象に。自動巻き。ザリウム、ケース直径42. 2 mm。世界 限定100本。280万5000円。
問い合わせ=ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション Tel.0120-346-376 https://www.harrywinston.com/ja
文=鈴木裕之 写真=近藤正一 スタイリング=石川英治(T.R.S)
(ENGINE2022年1月号)
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