2022.03.01

WATCHES

「スタイルのある時計が欲しい!」JUNGHANS(ユンハンス)篇

クルマは移動の手段としても役に立つだけでなく、退屈な日常をウキウキした気分に変える不思議な魅力を併せ持っている。時計も同じだ。時刻を知る道具であることを超えて、着けるだけで生活に彩りを添えてくれる良きパートナーでもあるのだ。だからこそクルマも時計も、自分に合ったスタイルのある1台、1本を選びたい。そんな想いを込めて、“バウハウス最後の巨匠”マックス・ビルの希少なレギュレーターモデルを時計ジャーナリストの大野高広が解説する。

バウハウスの巨匠が手がけた名作から初となるレギュレーターモデル

画家、彫刻家、建築家、工業デザイナーなど多方面で活躍し、“バウハウス最後の巨匠”と称されるマックス・ビルの代表作のひとつに、ウォールクロックがある。時間の流れをシンプルに形式化した造形美が評価され、ニューヨーク近代美術館に永久展示される傑作だ。

その腕時計版をデザインして60年、アニバーサリー限定の3本セットが2021年夏にリリースされ、大きな話題となった。もちろん個別購入も可能で、60年間に生まれた多彩なバリエーションのなかでもレギュレーターは初めて。文字盤の3本の指針は上から時、分、秒を 独立表示しており、かつては時計職人や科学者がデータのチェック用に使用していた高精度クロックがルーツだ。

明確なデザインと緻密な計算に基づく調和が持ち味のマックス・ビルにふさわしい表示機構であり、時計愛好家にとって垂涎ものといえるだろう。もちろん熱狂的なマックス・ビルファンにとってはコレクション対象としても見逃せない。それでいて、ドーム型のダイアルや風防ガラス、ライトグレーのレザーストラップの組み合わせは幅広い着こなしに似合う。シンプルなライフスタイルに憧れるミニマリストにも、ぜひ“Less is More”を体現する希少な一本を手に取っていただきたい。


マックス・ビル レギュレーター
60年も継承されるマックス・ビルの伝説的なデザインにオマージュを捧げる限定エディションのレギュレーターモデル。アンスラサイトPVD加工のステンレススティールケースに、自動巻きCal.J800.1を搭載。シースルーバックからは、機械式時計の醍醐味ともいえるテンプの鼓動を楽しめる。特徴的なミニッツトラックの12時位置に「60」をさりげなく組み込んだ点も気が利いている。ケース直径 38mm、3気圧防水。36万3000円。


マックス・ビルの腕時計60周年を記念して、レギュレーター、自動巻き、電波受信クオーツの限定1060セット(セット価格63万8000円)が2021年夏に発売された。

問い合わせ=ユーロパッション Tel. 03-5295-0411 https://www.junghans.de/jp/

文=大野高広 写真=近藤正一 スタイリング=石川英治(T.R.S)

(ENGINE2022年1月号)

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