2022.02.12

LIFESTYLE

男性にとって指輪とは? 著名なアンティークディーラーのコレクションからメンズ リングの深淵に触れる

著名なアンティーク家具ディーラーが30年以上もの長きにわたり、情熱を傾けてきたメンズ リングのコレクション。フランスのジェエリー・メゾンであるヴァン クリーフ&アーペルがサポートするエキシビションでは、歴史、文化、デザインを通してメンズ リングの意味と役割が見えてくる。

芸術的なメンズ リングの世界

パリでアンティーク家具を扱う先駆的なディーラーだったイヴ・ガストゥ。彼は1960年代末のアール・ヌーヴォーとアール・デコの魅力を再発見し、また、1940年代の優れた装飾家の家具を復活させるなど美術市場で重要な役割を果たしてきた。1月14日から東京・六本木で開催されている「メンズ リング エキシビション イヴ・ガストゥ コレクション」は、その彼がプライベートにおいて蒐集していたメンズ リングのエキシビションだ。

イヴ・ガストゥ(左)。1980年代半ばにパリにギャ ラリーを設立し、アンティーク家具を中心に先見の明をもって前衛的なデザインを紹介した。2020年没。写真右はギャラリーを継いだ息子のヴィク トール・ガストゥ。(C)ギャラリー・イブ・ガストゥ

展示は、「歴史」「ゴシック」「キリスト教神秘主義」「ヴァニタス(空虚)」「幅広いコクション」の5つのテーマに基づいて構成されている。

「ここにはおよそ400点のメンズ リングがありますが、それぞれが信仰や社会的地位の象徴、コミュニティ、そして愛の証などを表現するものです。今回の展示では個性豊かなリングのデザインを楽しめるのはもちろん、メンズ リングが時代によって果たしてきた意味や役割についても知ることができるのです」

そう語るのは、ヴァン クリーフ&アーペル ジャパン プレジデントのアルバン・ベロワーさんだ。フランスのジュエリー・メゾンであるヴァン クリーフ&アーペルは、宝飾文化を広く紹介する「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」を支援しており、同校がこのエキシビションを主催するにあたっても支援しているのだ。

アルバン・ベロワーさん 。パリ経営大学院の経営学部を卒業後、ソルボンヌ大学で哲学の学士号を、パンテノン アッサス大学で法律の学士号を取得。著名なラグジュアリーブランドで多くの研鑽を積み、2015年にヴァン クリーフ&アーペル ジャパン プレジデントに就任。

「モチーフやデザイン、素材の使い方などを通して『これは権力を表しているリングなのだな』と感じたり、どのテーマにおいても興味深く、発見があります。そして、歴史とともにメンズ リングの役割は変わり、現在においては身につける人物の個性を表現する存在となっていることが伝わってきますね」

ヴェネツィア共和国の元首のリングをモデルに19世紀に作られたもの。蜜蝋を入れる空間がある。

18世紀後半から19世紀初頭にかけてイギリスで亡くなった人を偲んで着用されたリング。

1930〜1950年代に かけてフランス王ルイ14世や15世、16世の時代の様式を再解釈して昇華させた装飾(百合の花や十字架、王冠など) に高い関心を寄せたイヴ・ガ ストゥ。展示されているコレクションを通してイヴ・ガストゥのそんなキャラクターが感じられるのもこのエキシビションの大きな魅力だろう。 メンズ リングが太古から時 代ごとに役割を変えながら続く存在であることを知るとともに、著名なアンティークディーラーが蒐集した芸術的な彫刻作品として楽しめるエキシビション。

「リングは“心 の絆”という意味では、いつの時代も不変の存在のような気がします」と話すベロワーさんの言葉が印象的だった。

メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション エキシビション 開催中(3/13まで) 会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3 住所:東京都港区赤坂9-7-6 開館時間:11:00〜18:00 無休/無料 問い合わせ=レコール事務局 Tel.0120-50-2895

メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション エキシビション
開催中(3/13まで)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
住所:東京都港区赤坂9-7-6
開館時間:11:00〜18:00 無休/無料

写真=三田村優 文=前田清輝(ENGINE編集部)

(ENGINE WEBオリジナル)

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