2022.03.27

CARS

世界で55台しか販売されないメルセデスAMG史上最強の市販スポーツカー誕生

メルセデスAMGがAMG専用モデルのフラッグシップ、GTクーペに55台限定の「GTトラック・シリーズ」を発表した。AMGブランド設立55周年を記念するモデルで、市販されるAMGモデルとしては史上最強だという。

734ps/850NmのV8ツインターボを搭載

トラック・シリーズを開発する上で、出発点になったのは2020年に発表したGTクーペのブラック・シリーズだ。GTトラック・シリーズのエンジンもブラック・シリーズと同じフラットプレーン・クランクの4.0リッターV8ツインターボで最高出力734ps、最大トルク850Nmを発生。ブラック・シリーズと比べると4ps/50Nmの出力向上が図られている。新しいインジェクターや、専用のエンジン制御などを採用したことによるものだ。



ヒューランド製の6段シーケンシャルに変更

ブラック・シリーズではデュアルクラッチ式7段自動MT(DCT)だったトランスミッションはヒューランド製の6段シーケンシャルへ変更。そこから調整式デフを介して後輪を駆動する。ほかのGTクーペ同様、ギアボックスを後方に置くトランスアクスルレイアウトで、エンジンとはカーボンのトルクチューブで接続される。

サスペンションは、前後ともアルミ部材を用いたダブルウィッシュボーン式。ダンパーはビルシュタイン製で、伸びと縮みの双方を個別に設定できる4段階調整式だ。スタビライザーも調整式。ホイールは専用開発の鍛造18インチで、レース・タイヤも装着できるサイズとされた。ブレーキは前390mm、後355mmのスチール・ディスクで、バランス調整機構やカーボン製の冷却用ダクト、12段調整式でオフにもできるABSがセットされる。



カーボンの多用で車重を1400kgに抑制

ボディ・パネルは、ボンネットやフェンダー、サイド・シル、テールゲートなどにカーボン素材を使用し、車両重量は1400kgに抑えられた。フロント・フェンダー上のルーバーやフロントのスプリッター(スポイラー)、ブラック・シリーズのものを改良したリア・ウイングはそれぞれ前後に掛かるダウンフォースを増強する。

専用デザインの大開口グリルはラジエーターの性能を向上。ボンネットのエアアウトレットはエンジンルームの熱気を吸い出しつつ、ダウンフォースも発生させる。カーボン地剥き出しのサイド・シルはエア・フローを改善し、リア・ブレーキの冷却に寄与するダクトも組み込まれている。



室内はまんまレーシングカー

室内には、FIA規定に適合する高張力鋼管のロールケージがアルミ・スペースフレームへ直接ボルト留めされ、ルーフにはトラブル時に使用する脱出用ハッチが備わる。メーターパネルはボッシュ製のドライバー・ディスプレイ・ユニットを採用。ダッシュボードやセンターコンソール、ドア・パネルなどはカーボン素材で、快適装備はパワーウインドウに至るものまで排除することで軽量化を図っている。ステアリング・ホイールも専用品で、上下をカットしたキューブコントロールズ製のレース向けアイテムだ。

この、ほぼレーシングカーのようなGTトラック・シリーズ、欧州での価格は36万9000ユーロ(約4946万円)となっている。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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