2022.08.25

CARS

ポルシェ・エクスペリエンス・センター東京の新メニューを体験しました。【ポルシェ911カレラ4S(996型)長期リポート #53】

エンジン編集部の長期リポート、79号車/ポルシェ911カレラ4S(996型)。

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昨年10月にオープンしたポルシェ・エクスペリエンス・センター東京(PEC東京)に「キックプレート」が追加された。その体験試乗会に参加して、改めて施設全体を走って思ったのは……。今回は長期リポートにかわって、PEC東京の体験試乗会の様子をリポートする。

まだまだ修行が必要か!?


昨年10月のポルシェ・エクスペリエンス・センター東京のオープン時には、コロナ禍の影響でエンジニアの来日がままならず、設置が遅れていた新モジュールの「キックプレート」がついに完成し、体験試乗会が開かれるというので行ってきた。

この6月1日に新設された「キックプレート」は、埋設された油圧プレートの上を車両のリアアクスルが通過する瞬間に、センサーがプレートをランダムに左右に動かして、強制的に車両をスピン・モードにするモジュールだ。コースには水が撒かれており、雪上や氷上でのスリップから車両を立て直すのと同じトレーニングができる。

リアアクスルが通過する瞬間にプレートを動かして強制的にスピンモードを発生させるモジュールは、これまでにもツインリンクもてぎでも体験したことがある。しかし、アップデートされているだけあって、こちらの「キックプレート」は動きが鋭くて大きいので、車両姿勢を立て直すのがなかなか難しい。カウンターを当てるだけでなく、同時にアクセレレーターをうまく操作して荷重もコントロールしないとそのままスピンしてしまう。しかも、全体のコースの幅がもてぎより狭いので、出来るだけ直線的に進んでいかなければならないのだ。さらに、行く手に障害物まで現れて、となると、すべてをクリアするまでにはかなりトレーニングが必要になると思った。上の写真は私がチャレンジしている風景だが、残念ながら最後までスムーズに走りきることはできなかった。まだまだ修行が必要なようだ。

今回、このキックプレートのほかに、改めてドリフト・サークルやハンドリング・トラックを走ったが、つくづくこの施設にはクルマの運転が上手くなるために最適の環境が整っていると思った。ポルシェのように走りの性能を磨きに磨きこんだスポーツカーを乗りこなすためには、乗り手の側にも、それなりのトレーニングが必要になるのは当然である。それを安全が確保された施設で、しかもマン・ツー・マンでインストラクターが同乗して教えてくれるというのだから、こんなに有難いことはない。お金と時間さえあれば、立派なポルシェ乗りになるために、毎週でも通いたいところだ。

この施設のハンドリング・トラックにはほとんどエスケープ・ゾーンがなく、その点からも、ここがレース・トラックではなく、あくまでトレーニングのためのエクスペリエンス・トラックとして造られたものであるのは明白だと前にも書いた。そして、その点こそがこの施設のあり方を示す重要なポイントだと改めて思った。つまり、速く走ることよりもまず上手く走ることを学ぶための施設なのだ。根性や体力によってではなく、とことん頭を使った合理的で繊細な操作によってクルマをスムーズに動かす方法を習得すること。実はそれこそが速さにも繋がる立派なポルシェ乗りへの道なのだと、ここへ来ると教えられる気がするのだ

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ポルシェ・ジャパン(上3点)/阿部昌也(下)

■79号車/ポルシェ911カレラ4S(996型)
PORSCHE 911 CARRERA 4S
購入価格(新車時):340万円(1244万2500円)
導入時期:2017年4月
走行距離(購入後):11万8774km(3万6389km)

(ENGINE2022年8月号)

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連載 エンジン編集部のちょっと古いポルシェ911(996型)長期リポート

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