2022.12.12

CARS

サンク・ターボも電気自動車で復活!? 逆風の中、4年ぶりにパリ・モーターショーが開催!!

ルノー4everコンセプト。生産化も予定されている。

全ての画像を見る
久しぶりに復活を果たしたパリ・モーターショー。クルマに対する社会の風当たり、出展メーカーの激減という逆風の中、大手フランス・メーカーはどのように応えたのか?

パビリオンの数は半分以下に

10月17日から1週間にわたり開催されたパリ・モーターショー。今回ブースを設けた欧州主要メーカーは、ステランティス系3ブランド(プジョー、DS、ジープ)とグループ・ルノー系のみ。そのためパビリオン数は2018年の7館に対して3館と半分以下となった。異例の規模となったが、ショーの最重要テーマはやはり電動化だった。

ステランティスのカルロス・タバレスCEOは、e-308、e-308ステーションワゴン、e-408をフランス東部のミュルーズ工場で生産することを発表。こちらをポスト内燃機関時代の生産拠点と定義した。一方、ルノーのルカ・デメオCEOは、販売店網を駆使し、欧州内では高速道路インターから5分以内に充電設備に到達できるようにすることを宣言した。



急進的な政策が続々と

近年フランスでは、自動車に対して急進的ともいえる政策が次々と実施されてきた。大気汚染改善などを掲げた政府は今年3月から自動車広告に「短時間の移動は徒歩か自転車で」といった3種の警告を義務付けた。大都市では排ガス対策「クリテアCRIT’Air」を段階的に強化している。すでにパリでは05年以前登録のディーゼル車および96年以前登録のガソリン車が禁止されている。そうしたラディカルな動きを「オートフォビア(Autophobia=クルマ嫌悪)だ」と知人のパリ在住フランス人は指摘する。もちろん、そうした状況をメーカーも熟知している。デメオ氏は「クルマは1日9割が駐車状態」「3年で価値が半減する」と現状を赤裸々に語り、カーシェアやサブスクへの積極姿勢を示した。



デメオ氏は歴史ある自動車へのパッションも明らかにした。自身にとって最初の車がルノー4であった逸話を紹介しながら、そのイメージを投影したEV「4everコンセプト」を公開。伝説のルノー5ターボをEVで再解釈した「5ターボ3E」も披露した。さらに「私はラリーの熱狂的なファン」として、WRCにEVが参加できるようFIAは考えてほしい」と訴えた。

会期が約半分の7日間となった入場者数は前回比63%減の39万7812人にとどまった。だが欧州における脱化石燃料の模索と、往年の名車へのパッションを両立させようとした点で、ショーの新たな方向性を提示したといえるだろう。



文・写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA

(ENGINE2023年1月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement