2023.01.30

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さあ、日常を変えるフィアット・スイッチをオンにしよう! 毎日が楽しくなるクルマ、フィアット 500eと500Cに試乗!

2022年の導入以来、高い評価を受けて人気上昇中の電気自動車、500e アイコン(右)と、軽快なエンジン・フィールとキビキビとした走り、ポップなデザインで長く愛されている500C ツインエア ドルチェヴィータ(左)。

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世界にはいろんなクルマが走っているけれど、なかにはただ移動するためだけの道具ではなくて、乗る人の気持ちだったり、生活だったり、あるいは街の雰囲気だったり、気がつくと周りにいろんな変化を起こすようなクルマがある。フィアットがつくるイタリアの国民的なモデル、500(チンクエチェント)も間違いなくそういうクルマだ。そんなチンクエチェントの魅力を再確認するべく、日本でも根強く支持されている500C ツインエア ドルチェヴィータと、2022年の導入以来、大人気の電気自動車、500e アイコンにモータージャーナリストの島下泰久氏があらためて試乗した。

これだけ長く愛され続けるクルマも珍しい

500がデビューしたのは2007年のことだから、今年で何と16年目。もちろん途中で幾度もの改良を挟みながらではあるが、これだけ長い間、ずっと愛され続けているクルマというのは珍しい。けれど、理由はよく分かる。ちっちゃくて愛らしいけれど、歴史の重みもあってか凛としていてクラスレスにも感じられるその姿、ポップな雰囲気に気分弾むインテリア、そして軽快な走りと、つまり眺めて、触れて、走らせて、それぞれに独自の魅力が詰まっているからである。



こういうクルマと一緒ならば自ずと生活に彩りが加わる。クルマは単なる道具ではなくなり、移動は単なる移動ではなくなる。自分も家族も友達もハッピーにするのは間違いないが、それだけじゃない。そこに1台のフィアット 500があるだけで、風景がパッと華やぐ。人が笑顔になる。ライフスタイルなどと大上段に構えるのではなく、もっと日常的でフレンドリーなかたちで、人を心地良くする何かを、このクルマはもたらしてくれているのだ。

そんなフィアット 500のラインナップに昨年新たに加わったのが、フィアット 500e(チンクエチェントイー)。車名の最後の「e」が示すのは電気自動車だということ。ユーザーの嗜好や使い勝手に応じて選べる、魅力的なふたつの選択肢が揃ったのを機に、今回はちょっと遠くまでドライブに出かけてきた。現行500の長く親しまれてきた理由と、新生500eに引き継がれたもの、あるいは新しい価値が、きっと見えてくるはずである。

◆毎日が楽しくなるクルマ、フィアット500eと500 ツインエア ドルチェヴィータ
フィアット 500eの詳しい情報はコチラ!
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不思議な気持ち良さがあるツインエア・エンジン

登場した時にもすでに小さく見えたのに、16年の月日の間に周囲のクルマが大きくなったおかげで、よりコンパクトにすら感じられるフィアット 500。けれど試乗車であるカブリオレモデルのフィアット 500Cは、街の景色の中で決して埋没することのない存在感を放っている。小さいけれど個性が豊かで、主張は強い。しかも、どこか人をホッとさせる、笑顔にさせるところが、その真骨頂と言える。

着座位置が高めのドライバーズシートに座ると、開けた視界のおかげもあってクルマの四隅の把握が容易で、直感的に運転しやすそうと感じられる。挿し込んだキーをひねってエンジンを始動させると、室内にボロボロというツインエア特有のエンジン音が響いてくる。これぞ500という感じだが、一方で、メーターがデジタル化されていたり、インフォテインメントシステムが充実していたりと、クルマとしてはちゃんとアップデートされている。



いよいよ出発。アクセルを踏み込むとクルマがビュンッと前に出る。クルマが小さく、軽いことが実感できて、それだけですでに楽しい。

ツインエア・ユニットは以前の印象よりも低速域での扱いやすさが増しているように感じられる。振動が減って回転も滑らかなのは、まさに熟成の賜物だろう。以前は苦手な印象もあった街中の走行や渋滞だって、これなら苦にならない。

シングルクラッチ2ペダルのデュアロジックは、変速に段付き感があるのは変わらないものの、しばらくすると変速のタイミングを見計らってアクセルを少し抜いてやるなど、クルマと呼吸を合わせて走らせるのが、なんとも気持ちよくなってきた。同様にエンジンも、回転を高めるにつれてどんどんスムーズになっていくから、思い切り良く踏み込むようになってくる。



乗り手が積極的にコミュニケーションを取っていくと、クルマがそれに応えてくれるから、ますます走りが楽しくなる。時々、思わずクルマに「頑張れ!」なんて声をかけてみたりもして。デュアロジックをマニュアルモードにして走らせるのもアリ。二人三脚というか人馬一体というか、クルマとの対話感とその歓びがどんどん増してくる。

車体はコンパクトだし、手応えのしっかりとしたステアリングのレスポンスも上々。狭い路地でも臆せず入っていけるし、交差点ひとつ曲がるのだってなんだか楽しい。天気が良ければキャンバストップを開けるのもお勧め。眩い陽光と少しばかりの風を感じながら走っていると、つい笑いがこみ上げてきてしまう。

敢えて遠出などしなくても、普段の何気ない瞬間にすらクルマに乗る歓びに浸らせてくれるのが、このクルマ。乗っていると思わず遠回りしてしまう。そんな人は少なくないように思う。

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電気でも変わらない走りの楽しさ

続いて試したのはフィアット 500e。BEV専用プラットフォームを用いて生み出されたこのクルマは、実は96パーセントのパーツが新設計。たんにドライブトレインだけを電動化したクルマとはわけが違う。横に並べると500よりも全方位わずかに大きく、ディテールも結構異なっているのだが、それでもしっかり500らしく見える辺りは、さすがのデザイン力である。新しく未来のアイコンをつくるというフィアットの決意が感じられる。

室内の雰囲気も、似ているようでちょっと違っている。一番大きいのは、眼前のマルチファンクションディスプレイやダッシュボード中央のタッチパネルに、速度や電費といった走行に関わる情報をポップな絵柄で分かりやすく表示するところ。ドアを開けるのもレバーではなく電気スイッチになっていたりと、随所にハイテク感が盛り込まれている。





シフト操作も使うのはレバーではなくボタンスイッチ。Dのボタンを押して走り出すと、こちらもやはり軽快な、小気味良いほどの出足を見せる。500C ツインエア ドルチェヴィータのツインエアユニットと較べると、同様に鋭いダッシュを見せつけつつも、トルクの立ち上がりは一段と滑らかだし、ギアボックスが無いので当然、変速ショックなども皆無。そういう意味で、走りは少しだけ大人びたと言ってもいいかもしれない。

走行モードは「ノーマル」に加えて走行距離優先の「レンジ」、更に目いっぱい航続距離を稼ぎたい時のための「シェルパ」が用意される。普段は「レンジ」でも、トルクがある電気モーターだけに十分に軽快。しかもアクセルペダルを緩めただけで回生ブレーキによって減速力が得られるから、慣れればペダルの踏み換え無しに加減速をコントロールして、一体化ある走りを楽しめる。



フットワークも、やはり500ファミリーの一員らしくシャキッとしている。軽い操舵力で反応するステアリングと活発な加速感、そして一体感の高い減速感が相まって、こちらも痛快な走りっぷりを満喫できるのだ。

フィアット 500eの一充電航続距離は335km。欲張りすぎていないのは、シティユースをメインに見込んでいるからだ。実際、バッテリー搭載量を抑えたおかげで走りっぷりが軽やかになっているのは間違いなく、しかもそれは電費にも貢献している。このパッケージングはBEVのひとつの理想形、それでこそもっとも旨味が発揮できるかたちと言っていい。



そうした使い方で光るのは、実はツインエアユニットを搭載したフィアット500と一緒。しかも、その時に周囲に排ガスを一切出していないというのも、なんだか誇らしいような気持ちにさせてくれ、積極的なドライブの後押しをしてくれるというわけだ。

冒頭に記したようにライフスタイルなんて言葉を敢えて使うまでもなく、フィアット 500&500eは佇む姿で、快活な走りっぷりで、普段の何気ない日常すらもポップでアクティブなものに変えてくれる。もちろんクルマ自体、文句なしに楽しいものに仕上がっているのだが、それだけではなく自分の日常が、毎日の過ごし方が、人生がより積極的なものになる。そんなスイッチを入れてくれる存在が、フィアット 500、そしてフィアット 500eなのだ。

文=島下泰久 写真=望月浩彦

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※実際の車両は、写真と一部異なる場合があります。
(ENGINEWEBオリジナル)

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