2023.03.14

CARS

これが「アバルトF595」を試乗したジャーナリストたちの生の声だ!! 「こんなに濃いラテン体験が新車で叶えられるのは奇跡だ!」 フォーミュラ4のエンジンと5MTとドリルド・ディスクに感涙

奇跡のアバルト体験ができるのがF595。

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! 左ハンドルの5MT仕様でリアにだけコニのショックを入れて調律したアバルトF595。エンスーが涙して喜ぶ奇跡のクルマに試乗したジャーナリスト全員がやられた! 藤島知子さん、佐野弘宗さん、渡辺敏史さんの3人が思わず叫んだ!

ドラマチックな走りに心がわいた!

エンスーたちをときめかせる仕様を続々と登場させてきたアバルト。新グレードとして加わった『F595』は高いスポーツ性と快適性を高次元で両立したモデルと謳うも、イタリアとドイツのフォーミュラ4にアバルトが供給するのと同じベースのエンジンを搭載しているというから驚く。量産車であるアバルトF595の車重はフォーミュラカーより重たい1120kg。コイル・スプリングは通常のものと同じだが、リアはKONI製のFSDショックアブソーバーを組み合わせ、タイヤは245/40R17サイズを装着。ブレーキはドリルド・ベチレーテッド・ディスクを採用している。左ハンドルの5段MTを操作して走り出すと、ワインディングでは小粒ですばしっこい身のこなしを見せる一方で、路面の大きなうねりやギャップをフラットライドで受けとめる懐の深さを披露する。エンジンは6000回転あたりまでパンチを効かせながら上りつめていくフィーリングがたまらない。グッと力を加えても、フロント・タイヤは簡単に音を上げず、回転の落ち感も緻密。ドラマチックな走りはレースシーンを想像させ、心がわいた。(藤島知子)

フル液晶単眼式のメーター、ダッシュボードに取り付けられたブースト計はスポーツ・モードを選ぶと表示が赤く切り替わり、最大トルクが210Nmから230Nmにアップする。

アバルト体験ができるホットハッチの存在は貴重!

アバルト595の走りはまるでピンボールのようだ。アクセルを踏むと丸っこいボディは弾かれたように加速する。ホイールベースは短く、サスペンション・ストロークもたっぷりとはいえないのだが、クルマ全体が球体を思わせる一体感のカタマリである。操舵すると、まるでターゲットに当たったピンボールのごとく、タイムラグなく四輪もろともクリクリ曲がる。アバルトは595の前身となった500時代も含めると日本上陸からすでに14年を数えて、各部は熟成が極まっている。ドライバーには路面の起伏がダイレクトに伝わる……つまりはそれなりに揺すられはするのだけれど、アシはしなやかで、タイヤは路面を離さない。躍動的なのに跳ねない。バネは強いが潤いがある。このF595の場合、17インチのタイヤサイズとコニのFSDショックをあえてリアにだけ入れている調律も絶妙というほかなく、モータースポーツ用語でいうと、いかにも「クルマへの理解が進んでいる」という感じ。ヤンチャだけど子供っぽくない。世の中からホットハッチがどんどん消えた今、アバルト体験は貴重である。(佐野弘宗)

1.4リッター直4ターボは595に対し20psアップ、最高出力165ps/5500rpm、最大トルク230Nm/2250rpmを発生する。

これはちょっとした奇跡だ!

安普請なシフトの建て付けやクタクタに柔らかい手応えのステアリング、頼りない踏み応えのブレーキにおののきつつ、クラッチを繋いでエンジンをひと吹かしすれば、その気持ちよさに思わず奇声を発してしまう。ガンガン踏んで大笑いしながら運転していると、頼りなく思えた諸々がピターッとクルマの性格に寄り添っていることにまた笑いがこみ上げてくる。ともあれ運転するとクルマ好きを猿にしてしまうのがラテンのスモールカーだ。古き佳き時代のエンジニアリングが土台となっているアバルトF595は、そんないにしえのノリを今でもビシビシ感じさせる。スペック的には695系に目がいくが、そもそも同じ1.4リッター 4気筒ゆえ、高回転志向のフィーリングの本質は変わらない。その上で、むしろ低中回転域のトルクがしっかり立ち上がる595系をMTでしっかり回して走らせる方が、日々の通勤や買物から週末の山道まで総合的な満足度は高いのではと思う。いずれであれ、これほど濃ゆいラテン体験が今でも新車で叶えられるというのは、ちょっと奇跡ではなかろうか。(渡辺敏史)

写真=小林俊樹/郡大二郎

17インチ・ホイール、レコードモンツァ・マフラー、コニFSDのリア・ショックなどで武装。全長×全幅×全高=3660×1625×1490mm。ホイールベース=2300mm。車重=1120kg。5段MTのみ。車両価格=422万円。

(ENGINE2023年4月号)

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