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2023.05.02

CARS

「誤解している人もいるかもしれないが、ベントレーはスポーツカー・ブランドである！」　これが「ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド」に試乗したジャーナリストの生の声だ！

ENGINE編集部

ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ！　2.5トンの重量級の車体に対して遜色なく、驚異的にスムーズな走りを味わわせてくれる！　ベントレー・フライングスパー・ハイブリッドに乗った九島辰也さん、小川フミオさん、松田秀士さんの3人は、思わず叫んだ！

やっぱりスポーツカーなのだ！

ベントレーに疎い方は誤解しているかもしれないが、彼らはスポーツカー・ブランドである。そもそも1920年代におけるル・マン24時間レースの覇者であり、30年までに5回の優勝を飾った。そこにロールス・ロイスが将来のライバルとしての危機感を持ち配下にしてしまったのだ。なんて背景があるだけにブランド色を強くする現在、ベントレーのすべてのモデルは恐ろしく速く、スポーティなハンドリングとジェントリーな身のこなしを実現する。コンチネンタルGTシリーズはもちろん、SUVのベンテイガも4ドア・サルーンのフライングスパーもそうなのだ。よって箱根ターンパイクの走りもその歴史を体感させた。高速コーナーの連続するワインディングを見事にクリアする。進入速度は速く破綻することはない。細かく言うと、アンダーステアさえ出ない。これだけのロング・ホイールベースながらどこまでもニュートラル・ステアを保持する。沈み込むエアサスの設定も絶妙。コーナー出口ではモーターがV6をしっかりサポート。この仕上がりは同カテゴリーじゃトップレベルだ。（九島辰也）

先行して登場したコンチネンタルGT同様、3連メーターとタッチ・スクリーンを切り替える回転式ユニットを備える。
独特の“味”がしっかり

フライングスパーって、ちょっとアクのあるスタイルだ。4ドアで内装も豪華なんだけれど、前後フェンダーまわりのキャラクター・ラインが妙にアグレッシブ。ちょっとちぐはぐ感のあるスタイル、どうよ、と思ってました。でも、ベンテイガ・ハイブリッドと共用する2.9リッター V6プラグイン・ハイブリッド・システム、すごいよ。2.5トンの重量級の車体に対して遜色なく、驚異的にスムーズな走りを味わわせてくれる。速いだけでなく、エンジンの回転が上がるにつれて、速度が増していくかんじが、快感なのだ。重いんだけど速い。1970年代からベントレー・セダンだからこそ手に入る、独特の“味”がしっかりある。むしろ内装をもっとシンプルにして、かつて「世界一速いトラック」なる名声をものにした独特のキャラクターを演出してくれたら、それもおもしろいのでは、と思った。すべてのベントレーが、ウッド・パネルとクロームでインテリアを飾りたてている必要ないんじゃないかな。フロント・グリルのギラギラ感も私には不要。すごまなくても、ベントレーの高性能ぶりはみんなちゃんと知ってますヨ。（小川フミオ）

内外装のしつらえは多彩な選択肢が用意されるが、さらなるカスタマイズを望むなら、フル・オーダー・メイドを請け負うマリナーへの依頼も可能だ。

匠の技と異次元の加速

その昔、ニューポートパグネルの工場で最後の手作りといわれたヴァンキッシュの製作現場を見学したことがあるが、英国の職人工の見事な手技に感動したものだった。新しいフライングスパーはその頃の職人技を思い起こさせるようなカット・クリスタルからインスピレーションを得たといわれるヘッドライトが眩しい。フロント・フェースは独特の威光を放っている。コックピットに収まると言いようのないゴージャスなインテリアに圧倒される。ウッド・パネル、レザー、スティッチと匠の仕事を思わせるなかにピタリと嵌め込まれた12.3インチのタッチ・ディスプレー。もう何も言うことはない。アクセルを踏み込めばインテリアの雰囲気とは別次元の加速が始まる。Eモーター＋2.9リッター V6ツインターボのハイブリッド・ユニットはシステム出力544ps/750Nmを発生し、けして軽くない2505kgの車体を0-100km /h加速4.3秒という瞬発力。100kWのEモーターが停止状態から補助するからストレスのない出だし。22インチの超扁平タイヤは路面に吸い付くような安定感だ。（松田秀士）

フライングスパーは、従来からの6リッター W12や4リッター V8搭載モデルもいまだラインナップされているが、今後全車電動化の橋渡しとなるモデルが2.9リッター V6＋モーターを搭載するハイブリッドだ。

写真＝神村聖／郡大二郎／茂呂幸正／小林俊樹

（ENGINE2023年4月号）

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