2023.04.01

CARS

「フォーミュラ4のエンジンと5段マニュアルが楽しくないわけがない!」 車重1120キロの痛快コンパクト これが「アバルトF595」を試乗したジャーナリストたちの生の声だ!!

アバルトF595

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! 1.4リッター直4ターボで、最高出力165ps、最大トルク210Nm! サソリの毒に試乗したジャーナリスト全員がやられた! 塩見智さん、佐藤久実さんの2人が思わず叫んだ!

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これぞイタリアの伝統

ぐるりとクルマを一周しながら眺める。アバルトというかフィアット500は小さい。たまらなくかわいい。もう何年間このフォルムを見ているかわからないが、まだ飽きない。色褪せない。F595の各部のエアロパーツは控えめで、しかしただの500ではないとすぐにわかる程度には手が入っていてちょうどいい。久しぶりにシリンダーに差し込むタイプのキーを使ってエンジンを始動する。ブルン。普通の500と変わらぬ始動音……マフラーが違うのでまったく同じというわけではないが、アバルトと聞いて想像する始動音よりもずっと音量が小さい。拍子抜けしながら走り出す。搭載されるのは1.4リッター直4ターボで、最高出力165ps、最大トルク210Nmと、1120kgの車重を走らせるには十分だが、決して過激なスペックではない。実際、遅くはないが、ピークパワーそのものが刺激的というわけではない。けれどもほどよくダンピングの利いた足と専用マフラーによる吹け上がりのよさのおかげで、とことん楽しくてウケる。イタリアの伝統。ジェラートやペペロンチーノみたいなもの。(塩見智)

アバルトの標準グレード名が595からF595に変更された。“F”はイタリアのF4選手権にあやかったもの。

カッコカワイイ兄貴分

ちっちゃなボディに熱い走りを込め、猛毒をふるうキケンなサソリ。それがアバルト。昨年、一昨年は595でその毒に刺されたが今年のクルマは名前に「F」が冠される。何でも、アバルトがエンジン・サプライヤーである「フォーミュラ4」のエンジンをこのボディに載せてしまったというのだから驚きだ。そして5段マニュアル・トランスミッションが組み合わされる。何よりも、モンツァを模したエンブレムが見た目にオシャレで走りのホンキ度を窺わせる。実際のところ、ルックスこそ変わらないが、595とはまったく異なるキャラクターで、本格的なスポーツ・ドライビングを楽しめる。ものすごく速いわけではないが、むしろ手の内に収まる性能ゆえ、それを引き出して走る醍醐味を味わえる。595はペットのような可愛さ、ステアリングを握る人を皆笑顔にしてしまう、不思議な魅力を持つキャラで、唯一無二の存在。パワーやスピードが絶対的な魅力ではないと教えられた。一方、F595はよりホットなモデルだが、595よりも優等生的な印象で、カッコカワイイ兄貴分といえる。(佐藤久実)



写真=小林俊樹/郡大二郎/茂呂幸正/神村聖

(ENGINE2023年4月号)

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