2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ！ 650馬力の4リッターV8ターボは荒々しく、しかも快適！ 異次元のデキに藤島知子さん、佐野弘宗さん、生方聡さんの3人が思わず叫んだ！
ミステリアスなジキルとハイドだ！
スーパー・スポーツカー×SUVの先駆者といえば、『ランボルギーニ・ウルス』。紛れもなくランボルギーニに見える理由はボディパネルと窓の比率に始まり、ハイパワーなエンジンの存在を示すフロント・フード、六角形のエア・インテーク。偏平率が低い大径タイヤを四隅に配置したワイドな構えは不気味なほどに運動性能の高さを想像させる。試乗車はUrus GraphiteCapsuleで選べるマットブラック塗装やグリーンのアクセントなどをあしらったモデル。人と違った個性を演出するカスタマイズがウルスの度肝を抜く個性をいっそう尖らせている。Audi Q8とアーキテクチャーを共有した強みもあって、アクの強いイメージながら、デジタル系や運転支援はドライブを快適に過ごせる機能性を充実させている。とはいえ、走りは紛れもなくランボルギーニ。走行モードは穏やかに流せるSTRADAのほかに、トラクションを得て駆け出すSPORT、レーシーな走りを味わうCORSAなどを設定。快適に走れる側面とめくるめく運動性能で魅せるジキルとハイドのミステリアスな2面性に引き込まれてしまった。（藤島知子）
素直にドキドキするのがスーパーカー世代の性
小学生時代にスーパーカー・ブームにどっぷりと浸かり、タミヤのラジコン・キット「ランボルギーニ・チーター」にあこがれた50代オヤジにとって、ウルス＝ランボルギーニのSUVに乗るという体験は特別だ。個人的には、カイエンはもちろんDBX、あるいはカリナン、あと（実際に乗ったことはないけど）プロサングエよりもずっとドキドキする相手かもしれない。それだけではない。ウルスを含む現代のランボルギーニは、クルマそのものにもオヤジを子供みたいにドキドキさせる演出があちこちに仕込まれている。ただのシフト・セレクターやドライブ・モード・スイッチもまるで戦闘機の操縦桿みたいに大げさだし、スターター・ボタンがまるで最終兵器の発射ボタンよろしくガードされているのはお馴染みだ。どれもこれも、いってしまえばただのギミックだが、演出に素直にドキドキするのがスーパーカー世代の性（さが）でもある。走りについてはほかの先生方がたっぷり説明してくれているだろうが、とにかく響き渡るエンジン・サウンドもロールしないアシもやっぱりスーパーカーだ。（佐野弘宗）
想像できないほど乗り心地は快適！
ド派手なデザインに加えて、2mを超える幅広いボディや650psのエンジンと、ウルスを前に柄にもなく緊張してしまった私。それでもなんとか勇気を出してコックピットを収まると、直前までのためらいは一瞬で吹き飛んだ。カーボンが目立つダッシュボード、クルマの常識を打ち破る操作スイッチなどを見て、触れた瞬間、がぜんテンションが上がってきた。センターコンソールにある赤いフラップを上げ、エンジンのスタートボタンを押すと、4リッター V8が目を覚まし、その鼓動を伝えてくる。覚悟を決めてアクセル・ペダルをあおると、フロントが浮いて前輪がホイールスピンするほどの荒々しさに一瞬ひるんだ。慌ててモードを“ストラーダ”から“スポルト”に切り替えてもう一度挑むと、今度は4輪がしっかりと路面を掴み、暴力的な速さを見せつける。これだけの大きさのボディで、コーナーではノーズがぐいぐい入ってくのも驚きだ。一方、ストラーダなら見た目から想像できないほど乗り心地は快適で、長時間のドライブも疲れ知らず。このギャップがたまらない。（生方聡）
写真＝郡 大二郎／小林俊樹
（ENGINE2023年4月号）
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