2023.03.30

CARS

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特徴がはっきりしているから選びやすい 「LX100」と「001」、2種類のブリヂストンSUV専用設計タイヤALENZAを乗り較べる

2017年に誕生したブリヂストンALENZAはオンロード・ユースを主眼に置いて専用設計されたSUV専用設計タイヤである。第1弾として運動性能を重視した「001」が登場し、2021年には静粛性や乗り心地など快適性に重きを置いた「LX100」を追加。現在は2タイプのモデルをラインナップする。

下田までのロングドライブで試す

今回は、自らもSUVを所有するモータージャーナリストの国沢光宏氏が2タイプのALENZAを履いたSUVに乗って千葉・幕張から伊豆・下田までの往復で400km以上のロングドライブ。「LX100」を装着したアウディSQ5で往路を走り、「001」を履かせたアルファ・ロメオ・ステルヴィオで帰路につきながらALENZAの魅力を確かめつつ、「LX100」と「001」の違いを明らかにする。



ALENZAを初体験

世界規模でのSUV人気は2010年代の半ばくらいから始まった。当時これほどSUVが普及すると考えられていなかったため、新車装着のタイヤもバリエーションが少なかったようだ。私が乗っている2018年式ボルボXC60の新車に装着されていたタイヤは、ポルシェ・マカンを意識して開発されたという。快適性より運動性を重視したのだろう。少しばかり硬く感じる。現在販売されているXC60の新車装着タイヤは快適性とハンドリングのバランスを考えた違う銘柄になっており、クルマの性格に似合っていると思う。

私のXC60もそろそろ2回目の車検。1回目のタイヤ交換のタイミングになってきた。こうなると迷うのがタイヤ選び。前述の通り新車装着タイヤは好みじゃない。加えて数年前ならSUVタイヤも選択肢が少なく、選べる銘柄が限られてしまっていた。嬉しいことに最近になってSUVを意識したタイヤも増えている。今回試乗してみたALENZAもSUV専用に設計された銘柄だ。存在こそ知っていたけれど、実際に履いたことは無い。どんなタイヤなのか、一般道から高速道路、ワインディング・ロードまで試してみたので紹介したいと思う。





質感のLX100、走りの001


ALENZAには2つのタイプがある。2021年発売されたLX100は静粛性や乗り心地、耐摩耗性能など質感を重視したもの。001と呼ばれるALENZAの第1作目は運動性能とウエット性能、低燃費性能を重視しているという。SUVのほとんどは舗装路で乗られるため(雪道はスタッドレスタイヤです)、オンロード性能に合わせている。



スポーティなアウディにLX100を組み合わせる

千葉の幕張から伊豆の下田を目指す往路で試乗したのは、興味深いことに今回LX100を履かせていたのがアウディQ5のスポーツ・モデルとなるSQ5。本来なら001がマッチするように思うのだけれど、逆にタイヤの特性を味見するのならシャッキリした脚まわりのクルマでどうぞ、ということなのかもしれない。走り出すと「なるほど~」。





クルマの持ち味を薄めないLX100

騒音レベルは低い――というか、良くできた乗用車用タイヤと同等レベル。乗り心地もマイルドだ。とはいえシャッキリした脚まわりのクルマに柔らかいだけのタイヤを履かせると、ステアリング・フィールが悪化したり、乗り心地も悪化してしまう。個人的には「クルマのフィールが濁る」と感じます。だからこそ輸入車だと(特にドイツ車)ある程度の剛性感を持つタイヤを組み合わせるべきだと考える。LX100の特性を聞いて最も気になったのは、良い意味での「クルマの持ち味」を薄めないという点。今回様々な路面で乗って見たが、SQ5の良さをキチンと残しつつ、街中などでの快適性を確保できていた。私のXC60に履かせたら良い感じになりそう。







ブリヂストンALENZA LX100の詳しい情報はこちら

運動性能を重視する001

下田からの帰路で乗ったのは、運動性能を重視する001を履いたアルファ・ロメオ・ステルヴィオ。走り出すと私のXC60の新車装着タイヤのような雰囲気を持つことに気付く。全体的にシャッキリしており、ステアリングの応答性など優れている。なるほどスポーツ・タイヤといってよい乗り味だ。それこそLX100を履かせていたSQ5などに履かせたらピッタリだと思う。ポルシェ・マカンやBMWのX3など001を履きこなせる脚まわりだと考えます。ステルヴィオとの相性はというと、私のXC60と同じく、もう少しマイルドなタイヤの方が合いそう。





001はしっかりとクルマを支える

クルマの乗り心地はタイヤとブッシュとダンパーとボディ剛性(なかでもサスペンションの取り付け部分)でつくり出される。また、路面からタイヤを通してクルマに伝わる力は道路の継ぎ目のような速くて衝撃を伴うものから、コーナーでハンドル切った時の荷重のように比較的ゆっくりで緩やかなものまで様々。運動性能を重視したしっかりとクルマを支える硬めの特性を持つタイヤは路面のゴツゴツ感を伝えやすい。スポーティ・モデルの脚まわりは硬くてシャープなタイヤに合わせるべく、ダンパーやブッシュもそれなりに硬くしてバランスを持たせる。ステルヴィオはイタリア車らしく、よくストロークさせる方向のサスペンションを持つ。そういった味付けにはタイヤも穏やかな特性が合う。001だとタイヤは硬めのため、乗り心地や快適性ではステルヴィオにはアンマッチ。LX100ならバッチリかと思う。今回、タイヤの評価用にステルヴィオを選んだのだと思うけれど、実際に001の特徴がよく解った。







ブリヂストンALENZA 001の詳細情報はこちら

LX100も001も選択する理由が明白

SUV人気が始まった時にクルマを購入したユーザーは、1回目のタイヤ交換の時期を迎えていることだろう。残念ながらどういうタイヤを選んだらいいかという判断材料は少ない。かくいう私も迷っていたほど。今回LX100と001という2タイプのALENZAを試して「なるほど」と思った。タイヤ・メーカーの方でしっかり特徴を分けてくれたら選びやすい。ということで自分のクルマに履かせるならLX100の方ですね。



ブリヂストンALENZAの詳細情報はこちら

文=国沢光宏 写真=郡 大二郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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