2023.05.08

CARS

「画一的なコンパクトSUVが溢れるなかで、しっかり自己主張できているのがいい」 これが「ミニ・クーパーSEクロスオーバーALL4」に試乗したジャーナリストの生の声だ!

ミニ・クーパーSEクロスオーバーALL4

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! 4ドアかつ4m超えの「デカミニ」ことミニ・クロスオーバーの半電動PHEVモデル! ミニ・クーパーSEクロスオーバーALL4に乗った西川淳さん、小沢コージさん、桐畑恒治さんの3人は、思わず叫んだ!

実に魅力的な選択肢


最近のミニにはさほど興味がなかった。この日のいの一番でしかも読者を助手席に乗せての試乗が“ミニとは言えないミニ”の代表格、とあっては気分も盛り上がらない、と思いきや、走り出して愕然とした。コンパクトな実用車としての完成度の高さを体感し、隣の読者と共に目を見張ったのだ。できるだけ電動で走ろうとする。まずは電池を使いたがる。その時のミニは後輪駆動のはず、とはいえそんなことはまるで感じさせない。とにかくスムースで落ち着いていて道をよく知っていて安心して身を任せることができる。ワインディング・ロードでその意をさらに強めた。ミズスマシのようには走らないけれど意のままに走ってくれる感は十二分。ミニといえばゴーカートな乗り味、そのイメージは最早まるでない(実はかなり前からないと思う)。でもそんなこともうどうだっていい。クロスオーバーはれっきとしたCセグメントの実用車でプラグイン・ハイブリッドとくれば、そのデザイン性と相まって実に魅力的な選択肢になりえる。これは現代のオールマイティ・カーだと車好き同士でうなずきあった。(西川淳)

丸を基調としたインテリアの仕立ては、前後のバンパーを中心としたマイナーチェンジを経ても基本はそのままだ。


どんなモデルでもミニはミニ

クルマに乗り込み、ステアリングを切った瞬間思う。「ああ、やっぱりコレもミニだったわ」と。試乗車は4ドアかつ4m超えの「デカミニ」ことミニ・クロスオーバーの半電動PHEVモデル。サイズはほかのクロスオーバーと変わらないが、フロントに136psの1.5リッター直3ガソリン・ターボを搭載し、6段ATを介して前輪を駆動すると同時に、リアに88psのPHEV用モーターを備え、10kWhのリチウムイオン電池でWLTCモードで53kmのEV走行が可能。その分、ラゲッジ容量は450リッターから405リッターに減り、車重も約100kg増えて1770kgになる。が、走り始めるとしっかりミニしてる。PHEV化で多少はダルくなるかと思いきや、出足からミニっぽい駿足ぶりで、加速のキレは悪くなるどころか逆にいい。特にフル充電からのフルパワー状態だとシステム出力が224psに倍増。オマケに低速トルクに優れたモーター付きなので発進からキレありまくり。ハンドリングも重くなった分、ダルくなるかと思いきやそれは一切感じない。ミニはどんなモデルでもやっぱりミニ。実は電動化対応よりも、そのこだわりが一番凄い。(小沢コージ)

リア・シートの居心地の良さも、クロスオーバーの美点の1つである。


ほっこり幸せな気分になれる

これは「ミニ」ではなく「デカ」だ、と喝破したのはクロスオーバー登場時の話。それはやはり時代の要請に応えるために大きくならざるを得なかったミニという永遠のアイドルに対して、落胆の気持ちも少なからず含まれていた。が、時を経てこれまた時代の流れに沿って展開されたPHEV版ミニ・クロスオーバーは、そんな僕のやるせない気持ちをすっかり宥めてくれるものだった。モーター駆動による力強さと滑らかさはこのサイズにはちょうどいい塩梅で、加えて静粛性も抜群。内外装の仕立ても含めて上質感に溢れているのがいい。登場から10年超も時を経れば成長して当たり前かもしれないが、それでも熟成度の高さには目を見張るものがあった。愛敬のあるデザインはやっぱりミニだし、なにより運転しているとほっこりとした、幸せな気分に包まれる。それってやっぱりミニというキャラクターそのもの。画一的なコンパクトSUVが溢れるなかにあって、しっかりと己を主張できているのがいい。これが現代版ミニのあるべき姿なのだと、これまでの想いを改めるきっかけを与えてくれた。(桐畑恒治)

日本仕様のミニ・クロスオーバーの4輪駆動モデルは、2リッター4気筒ディーゼルの出力違いの2種類(150psと190ps)のほか、このPHEVのSEの計3種類から選択可能だ。SEは136ps/220Nmの1.5リッター3気筒ガソリンで前輪を、88ps /165Nmのモーターで後輪を駆動する。

写真=小林俊樹/茂呂幸正/郡大二郎/神村聖

(ENGINE2023年4月号)

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