2023.04.09

CARS

声を大にして言いたい!「こういうのがいいんだよ!!」 フェイスリフトで新しくなったBMW3シリーズに試乗 長く付き合えるイチ押しのモデルは果たしてどれか

BMW 320iエクスクルーシブ

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BMWど真ん中のモデル、3シリーズがフェイスリフトで新しくなった。スポーティなBMW、じっくり味わいたいんだけど、Mスポーツはちょっとと思っている人にオススメのモデルがある。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

スポーティの意味とは?

BMWの大黒柱3シリーズのラインナップ中、スポーツ仕様の「M」や「Mスポーツ」ではないスタンダード系はこの320iエクスクルーシブと318iのみ。もちろん人気が高いゆえに日本仕様はMスポ推しなのだろうが、このエクスクルーシブにしても決して大人しい“旦那仕様”ではない。むしろ、BMW3シリーズの美点がはっきり体感できるグレードである。グルメの井之頭五郎のセリフじゃないけれど、こういうのでいいんだよ、と思わず声が漏れる。いやもっと積極的に、こういうのがいいんだよ、と言い直したい。スポーティとはドライバーの意図した通りに、気持ち良く爽快に走ること。パワーがあるに越したことはないが、マニュアル・シフトすることやドリフトすることがそのままスポーティを意味するのではないということを改めて実感した。



現行型3シリーズは2019年発売の第7世代だが、昨年9月にマイナーチェンジを受けた。主力の320iにはこのエクスクルーシブとMスポーツの2モデルが用意されている。

新型はさらにキリッとシャープになったヘッドライトやワイドなグリルなど外装の手直しに加えて、インフォテインメント・システムのアップグレードが主要改良点。インテリアで目立つのは新たに採用された2つの大型ディスプレイを一体につなげたBMWカーブド・ディスプレイ。ただし物理スイッチは適度に残されており、先進的すぎて使いにくいというようなことはない。もっとも、ひし形のバーグラフのメーター表示はちょっといただけない。

320iのパワートレインは従来通り、電動アシスト機構なしのB48型2.0リッター直4ターボ(BMWがツインパワーと称するツインスクロール・ターボ)で、184ps/5000rpmと300Nm/1350-4000rpmを発生する。ZF製8段ATも変わりないが、シフト・レバーは小さなスイッチに置き換えられ、その代わりに全車にシフト・パドルが備わった。



今や取り立ててパワフルとはいえない2.0リッター直4ターボだが、扱いやすく、しかも軽やかに爽快にトップエンドまで回るし、さらに嬉しいのはパワートレイン全体の剛性感が素晴らしいこと(BMW後輪駆動各車に共通する美点だ)。これまでにも繰り返してきたことだが、スロットル・ペダルをちょっとだけ踏む、あるいは戻すといった微妙な操作に対して滑らかに緻密に反応しながらも、パワートレインの遊びや揺動を感じさせず、ドライバーの思った通りにパワーを伝えるソリッドなマナーがずば抜けている。さらに全開時でもガツガツした粗野なショックを感じさせないのが見事である。スピード・コントロールの容易さ、変速の滑らかさ、そしてレスポンスとキレまですべてを高いレベルでバランスさせている現在最高のATではないだろうか。

とはいえ価格は646万円、何だかんだで700万円かという声も聞こえそうだが、ちょっとプレミアムなSUVならやはりこのぐらいは覚悟しなければならないのが現実。流行りすたりにとらわれず、長く付き合えるクルマを探しているなら320iはイチ押しである。

文=高平高輝 写真=望月浩彦



(ENGINE2023年5月号)

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