2023.05.11

CARS

最強ジープ、ラングラー・アンリミテッド・ルビコンも遂に電動化! 車重2350キロをものともしない強烈な加速 燃費のことを考えない(笑)稀有なPHEV

ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン4xe

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実用車からスーパースポーツカーまで、電動化の勢力拡大は留まることを知らない。しかしすべてのSUVの始祖であり、最も硬派なクロスカントリー・ヴィークルのラングラーに搭載されるとなると、「ここまで来たか」と感慨深い。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

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今や貴重な本格的クロカン!

プラグイン・ハイブリッド・モデル(PHEV)ならばバッテリー残量が十分にある限り静かにスルーッと走り出すはずなのだが、このクルマの場合は「ゴーッ」というパターン・ノイズがスタート直後から耳に飛び込んでくる。何しろ「ルビコン」はキャラメルのようなブロックを持つゴツいマッド用タイヤ(LT255/75R17)を履いているから仕方ないのだが、ラングラーに乗っていてそれだけが目立つのは何とも奇妙な感覚だ。



ご存知ジープ・ラングラーはすべてのSUVのご先祖様に当たるオリジナル・ジープの遺伝子を最も忠実に受け継ぐ末裔であり、格段に現代化されているとはいえ、依然としてボディ・オン・フレームや前後リジッド・アクスルといった基本構造を持つ、今や貴重な本格的クロスカントリー・ヴィークルである。現行型は2018年に発売されたラングラーとしては4代目のJL型、その中でもアンリミテッド(4ドア)・ルビコンは、電子制御フロント・スウェイバー・ディスコネクト・システム(要するにフロント・スタビライザー断続機構)、センター・デフに加えフロントおよびリア・デフを独立してロック可能な機構、標準型より格段に低いローレンジ・ギヤなどを装備する最も硬派なラングラーである。

そんな最強のジープに昨年末に国内でも追加発売されたPHEVが「ラングラー・アンリミテッド・ルビコン4xe」である。グランドチェロキーやレネゲードならまだしも、ジープの最硬派モデルのラングラー・ルビコンにもPHEVが必要なのか? と首をかしげたくもなるが、今はそういう時代なのである。





基本となるエンジンは他のスタンダード・モデルと同じ272ps/400Nmを生み出す2.0リッター 4気筒直噴ターボで、そこに2基のモーターを加え、容量約15.5kWhのリチウムイオン電池を搭載するプラグイン・ハイブリッド・モデルである。

実用燃費向上を狙ったものではない

ステランティス流にP2と称する駆動用モーター(P1モーターはいわゆるBSG=ベルト駆動のスターター・ジェネレーター)はエンジンと8段ATの間に搭載され、その出力は145ps/255Nmと強力で、システム最高出力は380ps/637Nmにも上るという(海外仕様値)。実際にフルスロットルでの加速はかなり逞しく、2.0リッターターボのルビコンよりも300kg近く重い2350kgの車重をものともしない。

一方でEV走行距離はWLTCモードで42kmと発表されているが、実際には普通に走っていても30kmぐらいでバッテリーは空になるようだ。またWLTCモードのハイブリッド燃費は8.6km/リッターというが、通常の2.0リッターターボのルビコン(9.2km/リッター)よりむしろ下回っているから、実用燃費向上を狙ったものではないことがうかがえる。ごく近距離を充電電力で賄ういっぽう、いざという時の瞬発力、さらにモーターの大トルクを利してラフロードで扱いやすさを両立させようという狙いだろう。

もっともその分値段は1030万円。このところ値上げが相次ぎ、ちょっと前の倍ぐらいになったような印象のラングラーだが、ついに大台を超えるモデルが登場した。無骨な“プロツール感” に魅力を感じてきた若者たちにもおいそれとは手が出ない、プレミアムなラングラーである。

文=高平高輝 写真=郡 大二郎



(ENGINE2023年6月号)

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