2023.05.10

CARS

ハイエースやキャラバン以外の新しい選択肢! フィアットの商用車、デュカト こいつをいじったら楽しくなること間違いなし!

フィアット・デュカト

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ルノーのカングーをはじめとして、シトロエン・ベルランゴやプジョー・リフターといったコマーシャル・ヴィークル・ベースの多目的車が日本では大人気。そこにプロもプロ、本格プロフェッショナル仕様の商用車、フィアット・デュカトが上陸した。キャンピングカーのベース車両としての需要を狙って導入されたデュカト。クルマ生活を送る上ではあまり接点の少ない商用バンだが、どんな走りをみせるのかちょっと気になる、ということで借り出してみた。モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

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どノーマルの広報車で走りを確認!

2022年2月に開催された「ジャパン・キャンピングカー・ショー」で正規輸入が発表されたフィアットの商用車部門、フィアットプロフェッショナルのデュカト。すでに2023年の同ショーでは架装済みの車両が複数姿を見せていたが、クルマ好きとしては走りがどうなのかも気になる。そう思っていたところ、素の状態の広報車に乗る機会をいただいた。

日本仕様は右ハンドルでスライド・ドアは左側。

日本仕様はボディの全長と全高の違いで3タイプある。試乗したのはもっとも小柄な「L2H2」で、価格は512.5万円。それでもボディ・サイズは全長×全幅×全高=5410×2050×2525mmで、ホイールベースは3450mmもある。ただし、キャンピングカーのベース車に用いられることが多いハイエースのスーパーロングも全長は5380mmあるので、規格外とは言えないだろう。

ハイエースを含めた日本の多くの商用車と違うのは、横置きパワートレインの前輪駆動で、2人乗りのキャビンはエンジンや前輪の後方に位置する、セミ・キャブオーバーであることだ。もちろん、フィアットがダンテ・ジアコーザの発明した横置きパワートレインを商用車に持ち込んだのは1967年だから、実績は申し分ない。

観音開きのバック・ドアは180度まで開く。

安心感のある走り

実車に触れると、このパッケージングはいろいろなメリットがあると教えられる。まずは長さ×幅×高さ=2960×2000×1970mmの寸法を持つ荷室。低い床のおかげもあって、立って歩けるのがありがたい。インポーターがターゲットとしているキャンピングカーはもちろん、さまざまなシチュエーションで有利に働きそうだ。

しかも走り出すと、かなり高めの目線と平板なボディ・サイド形状のおかげで運転しやすい。おまけに予想より小回りが効く。最小回転半径は6.3mで、ハイエース・スーパーロングの6.1mとさほど変わらない。全幅が広いので切れ角が確保できるようだ。

エンジンは2.2リッター直列4気筒ディーゼル・ターボだが、そうとは思えないほど余裕がある。180ps /450Nmという出力は平均的な数値なので、2080kgと意外に軽い車重や9段のATが貢献しているようだ。エコ、ノーマル、パワーからなるドライブモードもあるが、エコでも十分な加速を示す。

キャビンはデジタルメーター、オートエアコンなど快適装備も完備。

背後の隔壁はボルト留めで簡単に取り外せそう。

しかも回り方は軽やかで、キャブオーバーよりエンジンが遠くにあるので、音や振動も抑えられている。減速時にこまめにシフトダウンしていくのはイタリア車だからというより、荷重を考えてブレーキの負担を減らすためだろう。

空荷ということもあって、乗り心地は硬めではあるが、直接的なショックはない。ハンドリングは低速では軽快で、速度を上げると安定してくる。どちらも運転席がホイールベースの中にあることが効いているし、前輪駆動ならではの直進性やコーナリングも安心感を抱かせる。

僕は若い頃、キャンピングカーなどを扱う雑誌の編集部にいたので、8ナンバー取得がいろいろ大変なことは知っている。なのでキャンピングカーのビルダーを販売代理店にしたのは理解できる。キャンピングカー以外にもいろんな用途が浮かぶ。そんな夢を思い描くときに、欧州車という選択肢ができたことは喜ばしいことだ。

文=森口将之 写真=宮門秀行



(ENGINE2023年6月号)

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