2023.05.05

CARS

キミはポルシェ944を忘れていないか 世界屈指のハンドリングを持つFRスポーツ

2023年4月14日から16日の3日間で開催された「オートモビルカウンシル2023」。クルマはもちろんのこと、カー用品やグッズだけでなくファッションなどクルマやクルマ生活にまつわる様々な展示が行われる、モーターショーの枠を超えたモーターショーである。

展示車から魅力的なモデルをピックアップ

オートモビルカウンシルに出展されるクルマは往年の名車から最新のニューモデルまで年代が幅広いだけでなく、旧車の多くは実際に購入できる販売車両が中心となっている。その中から今回は、エンジン編集部が注目する5台のクルマを紹介していく。1台目は「911」ではないポルシェ、「944ターボS」である。なお、車両についてはすでに販売済みの可能性があることをご了承ください。



ポルシェと言えば空冷911だが……

ポルシェの中で最も人気が高い911シリーズはRR(リア・エンジン、リア・ドライブ)方式が大きな特徴となっている。さらに、今となっては911シリーズの各モデルも水冷エンジンを採用しているが、まだまだ空冷エンジン世代への信仰も強く、カーマニアの間ではポルシェといえば空冷フラット・シックス・エンジンをリアに積んでいるというイメージが強い。

そんなこともあって、今回ピックアップした「水冷FRスポーツカーのポルシェ」は自動車趣味人の中でもレアなモデルという認識だ。元々911と比べると販売台数は多くなかったが、最後の水冷FRスポーツカーのポルシェとなった「968」や「928」の生産終了からすでに30年近くが経過したこともあり、実際に街中で見かける機会がめっきり少なくなってしまった。

FRとはフロント・エンジン、リア・ドライブのことで、ポルシェはRRの911シリーズに代わるモデルを模索していた1975年に、まずフォルクスワーゲンとアウディのパーツを用いながら製作した「924」をリリースする。その後、1982年に924の進化モデルである「944」を送り出し、1991年にはポルシェ製水冷FRスポーツカーのラスト・モデルの1台となる968をデリバリーした。



1998年式のポルシェ944ターボS

東京都練馬区にある「Mars Inc.」がオートモビルカウンシル2023で披露したのは1988年式のポルシェ944ターボSで、税込価格が1180万円というお宝であった。

944ターボはシリーズ最速モデルとして1985年に登場。そのハンドリングのよさで世界的に高く評価された。1988年に追加設定された944ターボSは、260km/hという最高速度を誇り、911カレラに勝るとも劣らぬ俊足が楽しめる高性能モデルであった。



国内50台の限定車モデル

ローズシルバーメタリックの外装にグラデーションのコンビシートの内装という組み合わせを持つこの個体は、当時正規ディーラーだったミツワが国内50台限定車で販売したモデルで、内外装および機関系のコンディションのみならず素性のよさも兼ね備える。5段マニュアル・トランスミッション、左ハンドル、走行距離3.2万kmというスペックで、取扱説明書、整備記録簿、新車保証書、スペアキーを完備していた。

「ファン・トゥ・ドライブといえばコレですね。昨年、走行距離が8000kmという個体もありましたが、944シリーズは総じて乗り倒しているオーナーさんが多く、クタクタになっているものが大半を占めています。今でもパーツが出てくるので修復することもできますが、この944ターボSに関しては、いい状態のまま残っていました」と、Mars Inc.のスタッフは言う。

空冷911はクルマ好きとってかなり魅力的な存在だが、世界屈指のハンドリング性能を有するFRポルシェにハマるのも悪くない選択だと思う。



文・写真=高桑秀典

(ENGINE WEBオリジナル)

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