2023.07.17

CARS

世界に1台だけのカスタマイズ・フェラーリの最新作は488GT3ベースのレース専用モデル

フェラーリが世界に1台だけのカスタマイズ・モデルの「KC23」を公開した。未来のレース・カーをイメージし、斬新な空力デバイスを盛り込んだサーキット専用車だ。

オリジナルのイメージを残さない

ベース車両はレース・カーである「488GT3Evo2020」で、シャシーやエンジンを流用しつつ、ボディを刷新。そのスタイリングはオリジナル・モデルとの共通点を見出すのが難しいほど変貌している。ゴールド・マーキュリーと銘打たれたカラーリングは液体金属を含む塗料の4層ペイントで、光の角度により色合いが変化する。



金属塊から削り出したような一体感

外板だけでなくガラスまで見直されたエクステリアは金属塊から削り出した彫刻のような一体感を見せる。エンジンをかけるとリア・パネルから電動エア・インテークが開き、インタークーラーや補器類、そしてエンジンに適量の空気を流すことで吸気や冷却を行う。また、前輪後方のパネルからフェンスが現れることでダウンフォースの増加といった空力性能を向上させるといった機構を採用した。

クラムシェル・タイプのボンネットはピン2本を外すのみで、フロントまわりのチェックやメンテナンスができる、サーキット・マシンらしい設計だ。ドアは「ラフェラーリ」と同様、フロント・ヒンジ1か所で開くバタフライ・タイプ。ガラス・ハウスはピラーやフレームなどが見えない構造で、ボディに溶け込むメタリック仕上げが施された。

テールライトはメタクリル樹脂のライトブレードを使用。これはコンセプト・カーの「ヴィジョン・グランツーリスモ」の影響を受けたデザイン要素だ。リアの大型ウイングは脱着式とし、デザイン性と実用性の両立を図った。ホイールは展示用に前21インチ、後22インチ、実走用には18インチを用意する。



レーシーなインテリア

インテリアはベース車の構造を最大限活かし、サーキット・マシンらしい無駄のないデザインだが、ダッシュボードやドア・パネルに内張りを設けるなどユーザーカーらしい仕上げを施した。シートは専用設計で、アルカンターラ表皮にロゴが電気融着されている。ドア・ミラーはカメラ式を用いることで一般的な鏡面式よりも空力を改善する効果も見込まれている。

フェラーリのワンオフ・モデルは一般的に立案から完成まで平均2年程度というが、KC23の開発期間は3年を要している。この最新作は英国で開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで披露されたのち、8月1日から10月2日までマラネッロのフェラーリ・ミュージアムに展示される予定だ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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