2023.09.24

LIFESTYLE

ゴダールは難解で苦手という人にもオススメ!? 映画界の伝説の素顔に迫るドキュメンタリー

”ヌーヴェルバーグの花嫁”と呼ばれた最初の妻、アンナ・カリーナと。

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既存の映画の定義を覆す革新的な作品の数々で、20世紀映画界の伝説と化したジャン=リュック・ゴダール。世界を驚かせた訃報から1年、人間ゴダールの実像に迫るドキュメンタリーが公開された。

ゴダール入門としても

その衝撃的なニュースが世界中で報じられたのは昨年9月。複数の疾患を患っていたという映画監督のジャン=リュック・ゴダールが、自らの意思で安楽死を選び、91年の生涯を閉じたというのだ。

20世紀における最も重要な映画監督のひとりであるゴダール。だがその作品は難解で、けっして万人に受け入れられるものではない。時間の経過を無視してシーンをつなぎあわせるジャンプカットを最初に用いたのもゴダールとされるが、それ以外にも唐突に中断される音楽や、過去の文学や映像作品などからの膨大な引用など、その作品はどれも一筋縄ではいかないものばかりである。

偶然にもゴダールが逝去する直前に完成したドキュメンタリー『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映像作家(シネアスト)』は、この鬼才の足跡を明快に提示する。従来のファンにとって興味深いだけでなく、ゴダール入門者にとっても分かりやすい内容だ。



鬼才が愛した女性たち

本作では、20世紀におけるゴダールの人生を4つの章に分けて伝える。第1章は『勝手にしやがれ』(60)で鮮烈なデビューを飾った彼が、映画の革命児として瞬く間に時代の寵児となっていく姿が描かれる。『中国女』(67)で幕を開ける第2章では、政治的急進主義に突き進み、ついには映画の表舞台から去るまでの過程が。そして、瀕死のバイク事故、スイス・レマン湖畔の村への移住を経て、自らの映画人生を取り戻す姿が第3章で綴られ、第4章の『勝手に逃げろ/人生』(80)で、商業映画への華々しいカムバックを果たすのである。


 
映画に捧げたゴダールの人生の中で、もうひとつ印象に残るのが、彼が愛した女性たちの存在だ。31歳で初めて結婚したアンナ・カリーナとの蜜月、商業映画との決別を宣言し、政治的な活動にのめりこむゴダールに疎外感を覚えて去っていった2番目の妻、アンヌ・ヴィアゼムスキー、そして70年代以降、ゴダールの公私におけるパートナーとなった元政治活動家のアンヌ=マリー・ミエヴィルである。

こうして時系列で、彼の時代ごとの思想や私生活の変遷を見ていくと、その作品が、また別の表情を伴って見えてくる。ゴダールは、やはり面白い。本作を見終えた後、そんな新たな気分で、彼の映画に再度、向き合ってみたくなる人は多いはずだ。



■『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』は新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座、ユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほかで全国順次公開。105分。配給:ミモザフィルムズ (C)10.7 productions/ARTE France/INA-2022

文=永野正雄(ENGINE編集部) 

(ENGINE2023年11月号)

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