2024.09.29

CARS

脳ミソも溶け出すものすごい高揚感! フェラーリF12ベルリネッタはF1エンジンの音がした!【エンジン・アーカイブ「蔵出しシリーズ」】

フェラーリF12ベルリネッタ

全ての画像を見る
【エンジン・アーカイブ「蔵出しシリーズ」】ご存じ中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の過去の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2013年5月号に掲載したフェラーリF12ベルリネッタのリポートを掲載する。10月2日に最新の12気筒フェラーリ、12チリンドリのロード・インプレッションが公開されるのを前に、フロント・ミドシップに12気筒を搭載する後輪駆動車こそフェラーリの伝統であり、その血筋を引いたフラッグシップ・クーペのF12ベルリネッタが日本に上陸した当時のリポートだ。

まるでライトウェイト・スポーツ

村上 いやぁー、久々にもの凄いクルマに乗った、という強烈な印象が身体から抜けないよ。もう、走り始めて5mも行かないうちに、あまりの衝撃に口がポカンと開いてしまった。軽い! ステアリングもペダルもクルマの動きも、ドライバーに伝わってくるすべての感触が信じられないくらいに軽快だ。フロントに6.3リッターのV12を載せる4.6m級の大型クーペなのだから決して車重が軽いわけがない。なのに、まるで、ライトウェイト・スポーツカーのような軽やかさだ。



齋藤 ステアリング・コラムやペダルの取り付け剛性が高いから、その操作の軽さがなおさら強く印象に残る。いかにも精度の高いものが軽やかに反応する凄さにやられちゃう。

村上 次に驚いたのは、街なかを走っているときの乗り心地の良さだった。スーパースポーツというよりは、ほとんど超高級サルーンもかくやのたおやかな感触。鋭い角が一切立たない。いったいこれは、どういう魔法の結果なんだろうと、考えているうちに編集部に着いてしまった。

齋藤 磁性流体を使った電子制御ダンパーを、“バンピー・ロード”対応モードに切り替えておけば、ちょっとした速度まで上げても、あのしなやかな柔らかさを持続するから、荒れた路面の多い都内などにはもっってこいだよ。強靭な構造のミシュラン・パイロット・スーパースポーツを履いているのに、それがウソのよう。ただただその驚異的な丸さだけが記憶に残る。凄い。翌朝、箱根へ向けて首都高を走っている時も、金属ジョイント越えがつらくなかった。東名は込んでいたけど、自動変速プログラムに任せたまま、平穏なうちに山に着いた。

見まがうことのない“フェラーリ”のインテリア。全長、全幅、全高のすべてが僅かとはいえ削り取られて599よりも小さくなったF12だが、2名分の居住空間は実質的にむしろ広くなっている。


村上 ワインディング・ロードでの走りっぷりは、それこそライトウェイト・スポーツカー顔負けの軽快感あふれるものだった。コーナー目がけてステアリングを切り始めた瞬間のノーズの反応が驚くほど鋭い。慣れるまでは戸惑ったけれど、ひとたびコツをつかんでしまえば、正確無比のステアリングはこの上なく扱いやすいものになる。なにしろ740psの後輪駆動だから、運転が易しいわけはない。ところが、飛ばしていても常に安心感があるところが、先代の599との大きな違いだと思った。599で山道を走っていると、突如限界が訪れて何事か起こるんじゃないかと不安に駆られることがままあった。F12にはそれがない。

齋藤 ボステアリングから返ってくるフィードバックを筆頭にインフォメーションが豊かになって、クルマの状態がずっと把握しやすいものになった。サスペンションやドライブトレインを支持する剛性があがって、情報がどこかに逃げてしまうことなく返ってくるようになった。しかも、ノーズというか車体前半部の重心が599より如実に低くなっている。599は前輪が突っ張って頑張っている感じがしたけれど、F12では前脚が無理なく仕事をしている感じがする。リアのグリップとトラクションも並外れていて、抜けるかもしれないという不安を抱くことがない。まるでミドシップのように腰のすわった安心感がある。リアに大きくバイアスのかかった前後重量配分と、エア・ヴォリュームをたっぷり取った後輪が上手く働いているんだろうね。とにかく安心できる。

空間設計がより巧みになった上に、(最低)ヒップポイントが下げられたことが大きく寄与している。かなり大柄な人でも窮屈に感じることなどないはずだ。ステアリング・コラム、シートともに大きな調整代が用意されている。


無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement