2023.12.06

CARS

フェラーリとまったく同じボア・ストロークとバンク角のV6ツイン・ターボ ジュリア・クアドリフォリオとはどんなアルファだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ アルファ・ロメオ篇】

アルファ・ロメオ・ジュリアはどんなクルマだったのか?

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回の「アルファ・ロメオ篇」は、2016年にイタリアのバロッコで行われたジュリアの国際試乗会の記事を取り上げる。フロント・エンジン、リア・ドライブが復活。しかも、アルファの戦後の礎を築いた“ジュリア”の名前をまとって。電撃的な発表から1年、2016年8月号に掲載された待ちに待った新型ジュリアの試乗リポートをお送りする。

「待望の新型アルファロメオ、ジュリアにイタリア・バロッコで乗る 『クルマ好き』ごのみの1台!」ENGINE 2016年8月号

アルファ・ロメオは今、大きな転換期を迎えている。そう言い切っていいだろう。なにしろ、戦前から続く栄光の歴史に包まれたこのブランドの世界販売台数は、今や6万台を切るところまで落ち込んでいるのだ。カイエンやマカンをヒットさせたポルシェが、本来スポーツカー専業メーカーであるにもかかわらず、 22万台を超える世界販売を記録しているのと比べると明暗は一目瞭然。いかに崖っぷちに追い込まれているかが良く分かろうというものだ。



では、いかにしてこの名門ブランドを復活させるか。そこで、フィアット・グループのCEOであるマルキオンネ氏が打ち出したのは、まさに背水の陣ともいうべき奇策だった。アルファ・ロメオ自身も含めて前輪駆動車が主流となっている時代の流れに逆らうようにして、後輪駆動の中型スポーツ・サルーンをデビューさせ、それをきっかけに大型サルーンやSUVなど計8モデルをリリースして、2018年には年間40万台まで販売台数を増やそうというのである。そして、その目玉モデルとして、昨年6月に新装されたアレーゼのアルファ・ロメオ・ミュージアムでヴェールを脱いだのが、新型ジュリア・クアドリフォリオだった。

510馬力、0-100km/h加速3.9秒のスーパー・サルーンを、しかも“ジュリア”の名を冠して後輪駆動で出すというのだから、アルフィスタはもちろん、クルマ好きなら誰だって心がざわつかないわけがない。その後、今年3月のジュネーブ・ショウでは4気筒のディーゼルやガソリン・エンジンを積むノーマル・モデルもデビューし、ここにきてようやく、クアドリフォリオとノーマル・モデルの両方揃えて、国際試乗会が開かれることになったのだ。舞台はアルファの聖地ともいうべき伝説のテスト・コースがあるバロッコ。興味津々、ほかの仕事はすべて放り出して馳せ参じた次第である。

乗り心地の良さと静粛性

今回、乗ることができたモデルは3種類。180馬力の2.2リッター直4ターボ・ディーゼルと200馬力の2リッター直4ターボ・ガソリンのふたつのノーマル・モデル、それに510馬力の2.9リッターV6ツイン・ターボ搭載のクアドリフォリオだ。前のふたつは公道のみ、クアドリフォリオは逆にテスト・コースのみの試乗プログラムが組まれていた。

ドライバー中心に操作系が配置された新型ジュリアのコクピット。フェラーリ同様、スタート・ボタンはステアリング・ホイール上にあり、8段ATのシフト・パドルは固定式だ。


私はまずディーゼルから乗った。クルマをひと目見て気付くのは、ショート・オーバーハング、ロング・ノーズでホイールベースも長く、やや後退したキャビンを持つ、いかにも後輪駆動らしいプロポーションを持っていることだ。運転席に乗り込むと、包み込まれるような感覚のドライバー中心に仕立てられたコクピットが、走り好きの心を掻き立てる。よく観察すると、ダッシュボードなどの質感は必ずしも昨今のドイツ車のような完璧さは持っていないし、大きな2連メーターの間に小さな液晶画面が据えられるレイアウトもちょっと遅れている感なきにしもあらずだが、そこはそれ、スポーティな雰囲気の演出はさすがアルファと思わせるものがある。

ステアリング・ホイール上のスタート・ボタンを押してエンジン始動。8段ATのシフト・レバーをDレンジに入れて走り始めてすぐに感じたのは、動きがスムーズなのはもちろん、サスペンションがしなやかで乗り心地が想像以上にいいのと、それに加えて、まるで高級リムジンのように室内が静寂を保っていることだった。ディーゼルのゴロゴロという音はほとんど気にならない。どうやら、センター・トンネルとバルク・ヘッドにラバーをアルミで挟んだ構造を採用するなど、静粛性を重視したことがかなり効いているようだ。全体として味付けはマイルドで、スポーティな中にもややしっとりとした落ち着きがあるという感じ。径が小さめな上にギア比も11.8対1というサルーンとしてはかなりクイックなステアリングも、センター付近の切り出しは決して機敏という感じではない。昨今のクルマとしてはパワーアシスト量も少なく、重めの設定のステアリングをゆったりと切り込んでいく感じが、ちょっと昔のあまり電子制御技術が入っていなかった頃のBMWをはじめとするスポーティ・サルーンの味を思い出させてくれて、なんだか懐かしい気分になった。

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