2023.12.06

CARS

フェラーリとまったく同じボア・ストロークとバンク角のV6ツイン・ターボ ジュリア・クアドリフォリオとはどんなアルファだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ アルファ・ロメオ篇】

アルファ・ロメオ・ジュリアはどんなクルマだったのか?

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クルマの素性が素晴らしい

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「ああ、これイイなあ」、いつのまにかそう独りごちている自分がいた。長年、いろいろなクルマをテストしていると、走り出して間もなく、そのクルマの素性とでもいうべきものが見えるようになってくる。その素性がしっかりしているクルマは、とにかく走っていて楽しい。速く走ってもゆっくり走っても、クルマで走ることの歓びを、たっぷりと運転する者に味わわせてくれるからだ。クルマ好きなら絶対に好きになってしまう1台。新型ジュリアはそういう種類のクルマだと思った。昔ながらのカチッと引っ掛かりがあるタイプのウインカーのレバーなど、古くさいと言えば古くさい要素がいろいろ残っているのだけれど、ま、それもいいかと苦笑すればそれで済んでしまうのは、それ以上に走りが楽しいからだ。もちろん、ディーゼル・エンジンの出来映えも相当なものだと思ったし、直進安定性なども特筆ものだったけれど、そういうこと以前に、このクルマの骨格やバランスなど根本的な素性が素晴らしいのだ。



次にガソリンの8段ATモデルに乗り換えた。こちらはディーゼルより明らかにスポーティな味付けになっており、エンジン音もずっと大きく聞こえてきたし、足まわりも少しだけ硬めで、なにより軽快感が凄かった。といって、ピキピキと煩わしいような俊敏さがあるわけではない。あくまでディーゼルで感じたのと同じしっとりした感じがありながら、それでいて動きが身軽ということ。そもそも、新型ジュリアは車両の軽量化にはかなり気を使っている。プロペラ・シャフトはカーボン・ファイバー製で、そのほかにエンジン、サスペンション、ブレーキ、ドア、ホイールアーチ、ボンネットにアルミが使われているという。それと同時に前後重量配分を50対50に近づけてあることが、この軽快感をもたらしているのだろう。このクルマで山道を走るのは本当に楽しかった。ノーズの入り方がシャープすぎず、といってダルではなく、ちょうどいい感じで曲がってくれるのだ。

レバー式からダイヤル式に変えられたDNA(ダイナミック、ナチュラル、アドバンスト・エフィシェンシー)の車両設定スイッチは、Nでもこれまでのミトやジュリエッタのように出力を絞りすぎて物足りないということはなく、十分に速く走れるけれど、それでも山道を走るときはDに入れていた方が楽しい。ひとつだけないものねだりを言えば、2リッター直4ターボはよく回るし、中低速トルクもあって十分に速かったけれど、6000回転強のレブ・リミットがもう500回転ほど上だったら、文句のつけようがなかったと思う。

4ドアのスーパーカー

さて、最後はお待ちかねのクアドリフォリオだ。1周4kmほどのバロッコのテスト・コースを1セット2周ずつ3セット走ることができた。ギアボックスは8段ATと6段MTの2種類があり、最初はAT、次にMT、そして最後に再びATで走った。3度目にATを選んだのは、圧倒的にATの方が運転しやすいだけではなく、エンジンとのマッチングもいいと感じたからだ。MTはシフト・ストロークが長く、入り方もカチッとしていないし、クラッチを繋げた時の感触もATよりダイレクト感に欠ける感じがした。

バロッコのテスト・コースのコーナーを気持ち良くドリフトしながら駆け抜けるクアドリフォリオ。


それにしても、クアドリフォリオの走りは別格だった。コースインして、アクセレレーターを全開にすると、ドンッと押し出されるようにして加速していく。試乗車にはオプションのセラミック・ブレーキが装着されていたが、その効きたるやタイヤがグニャグニャになって路面を擦っているのが手と足に伝わってくるくらい強力だった。そこからブレーキを抜きながらステアリングを切り込んでいくと、気持ち良くノーズがインに入っていき、やがてリアが外に横滑りを始める。このクルマのDNAスイッチには、もうひとつレース・モードがついていて、これを選ぶと自動的に車両安定装置が解除され、積極的にリアを滑らせるような走りを楽しむこともできるのだ。リア・アクスルには左右のトラクションを電子制御多板クラッチを使って積極的にコントロールするトルク・ベクトリング・システムも備えられているから、アクセレレーターに足を乗せ換えた後も、どんどん踏んでいきながらノーズの動きを自在に操ることができる。もっとも、それだけの腕があればの話だ。私を助手席に乗せてくれたインストラクター氏は見事にドリフトしながらコーナーを気持ち良く駆け抜けていった。

90度のバンク角を持つ新しい2.9リッターV6ツイン・ターボは、フェラーリのエンジン工場でつくられる。


フェラーリの工場で生産される2.9リッターV6ターボは、カリフォルニアTの4.2リッターV8とまったく同じボア×ストロークと90度のバンク角を持っている。フェラーリV8を2気筒分縮めたものと考えていいだろう。ルーフをはじめカーボン・パーツで武装したこのクルマのパワー・ウエイト・レシオは3.1kg/ps。ほとんど、4ドアのスーパーカーといっていい怪物である。むろんライバルはM3やC63だが、見た目と走りのエモーショナル度において、明らかにこちらが勝っていると思った。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=FCA

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■ジュリア・クアドリフォリオ
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4639×1873×1426mm
ホイールベース 2820mm
車両乾燥重量 1580kg(MTモデル)
エンジン形式 直噴90度V6DOHCツイン・ターボ
排気量 2891cc
ボア×ストローク 86.5×82.0mm
最高出力 510ps/6500rpm
最大トルク 61.2kgm/2500rpm
トランスミッション 8段AT/6段MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ (前後)ディスク
タイヤ (前)245/35ZR19、(後)285/30ZR19
最高速度 307km/h

■ジュリア・2.2リッター直4ディーゼル
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4643×1860×1436mm
ホイールベース 2820mm
車両乾燥重量 1445kg
エンジン形式 直噴直4DOHC ターボ・ディーゼル
排気量 2143cc
ボア×ストローク 83.0×99.0mm
最高出力 180ps/3750rpm
最大トルク 45.9kgm/1750rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ (前後)ディスク
タイヤ (前後)205/55R16
最高速度 230km/h

■ジュリア・2.0リッター直4ガソリン
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4643×1860×1436mm
ホイールベース 2820mm
車両乾燥重量 1429kg
エンジン形式 直噴直4DOHC ターボ
排気量 1995cc
ボア×ストローク 84.0×90.0mm
最高出力 200ps/5000rpm
最大トルク 33.7kgm/1750rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ (前後)ディスク
タイヤ (前後)205/55R16
最高速度 235km/h


(ENGINE2016年8月号)

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