2025.05.22

CARS

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオは、過激極まりないスーパーセダンだった!【エンジン・アーカイブ「蔵出しシリーズ」】

もうすぐお別れのジュリア・クアドリフォリオ。登場した時の興奮はこんな感じでした!

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そろそろモデル末期となり、カスタマイズ・プログラムも最後の受注となったアルファ・ロメオのジュリア。こんなエンジンは二度と登場しないだろう、買うなら今かと好きな人は悶々とした日々を過ごしているだろう。そのアルファとはフェラーリの血を引く510馬力のV6エンジンを搭載したジュリア・クアドリフォリオだ。

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そんなジュリア・クアドリフォリオも今でこそ熟成を重ねたワインの如く洗練度を増していい味になっているが、登場した当初は周囲を驚かせた過激なスーパーセダンだった。今回はジュリア・クアドリフォリオに初めて乗ったエンジン編集部員の面々による「本音座談会」をアーカイブからお届けする。



ENGINE 2017年12月号「510ps!のV6エンジンを積むジュリア・クアドリフォリオに試乗」

クアドリフォリオは、フェラーリ謹製のV6ツインターボを積む、新型ジュリア最速、最強モデル。BMW・M3やメルセデスAMG・C63に真っ向勝負を挑むために生まれたハイパフォーマンス・セダンは、サーキット走行はもちろんのこと、ファミリー・カーとして家族にも受け入れられる懐の深さとポルシェ911に対抗できる過激なまでの速さを持った、スーパー・セダンだった。


齋藤 次は新型ジュリアの最速、最強モデル、クアドリフォリオ。価格は1132万円。2リッター後輪駆動のジュリアと比べると黙って倍以上になる。値段から見ても性能から見てもBMW・M3やメルセデスAMG・C63と同じクラス。仮想敵は完全にそこになっている。

村上 それにしても思い切って作ってきたよね。標準モデルとクアドリフォリオの間が大きく開いている。3シリーズやCクラスは4気筒とM3やC63の間に普通の6気筒モデルがあるけど、ジュリアは2リッター直4ターボからいきなり2.9リッターのツインターボへとバーンと飛んじゃう。パワーも200馬力、280馬力の世界から一気に510馬力だからね。

塩澤 面白いマーケティング戦略だ。クアドリフォリオは花火的な意味合いで必要だったんでしょう。

齋藤 アルファはクアドリフォリオを最初に作ってる。V6ツインターボで初期開発を全部やって、4気筒モデルはその次。ジュリアのプラットフォームは最初にクアドリフォリオありきで企画されているから、510馬力をフロントに突っ込んだ後輪駆動というのを持て余さず、きっちり受け止められる。だからいやなところがほとんどないし、2リッターモデルは余裕綽々に感じられるんだよ。

村上 2台の間隔は広いのに、クアドリフォリオは2リッターモデルとはまったく関係がないという感じがしない。

齋藤 基本的な考え方とか仕立て方は4気筒もクアドリフォリオも同じだからね。両車の違いは単純にパワーがあるかないかだけ。ましてやこのV6はフェラーリのV8をちょん切って作ったエンジン。

塩澤 バンク角90度。

齋藤 本当にスムーズ。そして加速力が半端ない。マジもの。

塩澤 モノが違う感じがする。

村上 さすがフェラーリ・エンジンだと思ったよ。回すエンジン。

齋藤 510馬力を楽勝で出している。もっと上を狙おうと思えば、600馬力くらいは簡単なはず。

インパネは基本的に2.0リッターモデルと同じ。革張りのダッシュボード、本物カーボンのトリムなどにより質感はかなり高い。大きな革表皮のスポーツ・シートはほかのグレードと異なり、体が滑らないように中央部分にアルカンターラを使用する。


村上 クアドリフォリオはニュルブルクリンクでM3、C63を超える記録を持っているんだよね。

塩澤 7分32秒。セダン・タイプにおける世界最速タイムを出している。2016年9月現在。

齋藤 だけど、たとえばC63はともかくとして、現行M3は完全にサーキットに焦点が合っていて、モデル初期のヤツはあまりにもそれが露骨で、「街はキツいんですけど」みたいな感じだった。いまのヤツはとりあえず問題ないレベルまで改善されているけど、相変わらず、サーキットで走ってもまったくヨレない。本当のハードコア。クアドリフォリオはニュルでそんなタイムが出るにもかかわらず、普通のジュリアと何ら変わりなく普通に街で乗れる。

荒井 ドライブ・モードは標準のN(ナチュラル)で十分だよね。

齋藤 クアドリフォリオだけは電子制御のダンパーが入っていて、Nだとダンパーのセッティングは変えられない。標準のまま。スポーティな設定になるD(ダイナミック)を選ぶと、標準とミディアムのセッティングからの二択、さらに“レース”はハードとミディアムの二択になる。Nで乗っていると、これがとてもサーキットでM3をやっつけるような速さを持ったクルマとは思えないほどしなやか。もちろん2リッターよりは若干硬いけど、乗り心地はツラくない。これなら家族からも苦情はでないでしょう。十分ファミリー・カーになる。

村上 公道では拍子抜けするほど普通に感じた。

齋藤 それは軸足がサーキットにないから。サーキットを本気で走っても大丈夫だけど、そこに軸足を置いていないのがハッキリとわかる。

村上 アルファ156のときのGTAは無理矢理作ったクルマでバランスが悪く、結構厳しいものがあった。

齋藤 極端にノーズ・ヘヴィだったり、脚が負けていたりとかさ。

村上 クアドリフォリオにはそういうところがない。

齋藤 4気筒はFRと4WDを問わず、車検証重量はフロントが10kg重いだけ。ほぼ50:50。クアドリフォリオはフロントだけが100kgドーンと重くなる。しかも、エンジンが載っている位置は4気筒系よりも前。

塩澤 若干ね。

齋藤 にもかかわらず、乗ってはすばらしく、バランスがいい。



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