スポーティよりもコンフォートを大切にしている！　メルセデス・ベンツEQEに石井昌道が試乗！【ドイツ御三家の最新BEV3台を乗り比べる　その2】

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メルセデス・ベンツEQE350 4マティックSUV

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大半のクルマ好きから、あまりいいイメージを持たれていないEV。次々に新型車が登場し、続々と日本に上陸しているが、これらのEVは本当のところ面白いクルマになっているのか？　走って楽しいクルマなのか？　自動車造りの長い歴史を持つドイツ御三家、メルセデス・ベンツ、BMW、そしてアウディがいま、どうやってBEVを造っていこうとしているのか。果たして、クルマ好きにとってEVは敵なのか？　それともクルマ好きの琴線に触れるところもあるのか？　国内外のBEVを片っ端からテストしているジャーナリスト、石井昌道が、ドイツ・プレミアム御三家の最新EVに乗って確かめることにした。1台目のi7に続いて2台目の今回は、メルセデス・ベンツのEQEを取り上げる。◆1台目のBMW i7から読む場合はこちら！

さすが専用プラットフォーム

メルセデス・ベンツはコンパクトなエンジン車をベースにしたEQCやEQAからEVに取り組み始めたが、旗艦モデル用には専用プラットフォームを仕立てた。いまのところEQSにEQE、それぞれのSUVバージョンと4車種で採用されている。

完全に内燃エンジン車とBEVのプラットフォーム自体を造り分ける方針のメルセデス・ベンツ。それはEQE SUVのスタイリングにも明確に現れている。ドア・ノブは電動格納式

完全に内燃エンジン車とBEVのプラットフォーム自体を造り分ける方針のメルセデス・ベンツ。それはEQE SUVのスタイリングにも明確に現れている。ドア・ノブは電動格納式

BMWよりもEVへの取り組みは遅かったものの、21年には“市場が望めば30年に100％EV化の用意はある”と宣言した通り、前のめりになるのは早かった。だからこそ専用プラットフォームでの多車種展開も素早く進めているのだろう。

18年から立ち上げたEVサブブランドのメルセデスEQに、今年になって早々と終止符を打ったのは、EVがメインストリームなのだからサブブランドはおかしいだろうという理由。情勢が変わってEV100％は揺らいでいるようだが、BMWよりも前のめりなことは間違いない。

日本仕様のEQE SUVは試乗車の350 4マティックとAMGの53 4マティック＋の2つのローンチ・エディションがまず導入された。いずれも前後2モーターの4輪駆動、右ハンドルのみ。

日本仕様のEQE SUVは試乗車の350 4マティックとAMGの53 4マティック＋の2つのローンチ・エディションがまず導入された。いずれも前後2モーターの4輪駆動、右ハンドルのみ。

今回試乗したEQE SUVは、EQS SUVに比べるとコンパクトでフラッグシップではないが、ドライバーズカーとしてみればそれ以上。コーナーでの俊敏性は明らかに高いのだ。

さすがはメルセデス、さすがはEV専用プラットフォームだけあって静粛性の高さも文句なしでi7と同等かそれ以上。空力を追求したデザインなので風切り音の少なさではやや上回っているようだ。

今回はSUV版だが、弓のように曲線が連なるワンボウフォルムの素のEQSやEQEは、空力性能の1つの指標であるCd値は前者が0.20とおそらく世界トップ、全長が短く多少性能が落ちるものの後者でも0.22と優れた数値だ。エンジン車のE／Sクラスがあるから、空力に振り切ることができたのだろうし、未来感溢れるスタイルは時代を先取りした気分になれる。

ただし、そのカタチゆえ視界や乗降性は良好とは言い難い。SUV版はさほど問題ではないが、そこを重視するならエンジン車のEクラスのほうが上だ。

ドライビングプレジャーに関しては、やはりBMWのほうがちょっと上だが、重量配分等が優れるEVなので基本性能はハイレベル。味つけとして、スポーティよりもコンフォートを大切にしているのは、メルセデスとして変わらぬ姿勢だ。

文＝石井昌道　写真＝郡大二郎

■メルセデス・ベンツEQE350 4マティックSUV
駆動方式　前後2モーター4輪駆動
全長×全幅×全高　4880×2030×1670mm
ホイールベース　3030mm
トレッド（前／後）　1645／1655mm
車両重量（前軸重量：後軸重量）　2630kg（1310kg：1320kg）
最高出力　215kW
最大トルク　765Nm
バッテリー容量　89kWh
一充電航続可能距離（WLTC）　528km
サスペンション（前）　マルチリンク＋エア
サスペンション（後）　マルチリンク＋エア
ブレーキ（前／後）　ディスク／ディスク
タイヤ（前）　265/40R21
タイヤ（後）　265/40R21
車両本体価格（税込）　1369万7000円

（ENGINE2023年12月号）

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