2023.11.16

CARS

驚いたことに7シリーズは、電気のi7の方がハンドリングがいい?! BMW i7に石井昌道が試乗! 【ドイツ御三家の最新BEV3台を乗り比べる その1】

BMW i7xドライブ60エクセレンス

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欧州がいま力を入れる電気自動車。次々に新型車が登場し、続々と日本に上陸しているが、これらのEVは本当のところ面白いクルマになっているのか? 走って楽しいクルマなのか? 自動車造りの長い歴史を持つドイツ御三家、メルセデス・ベンツ、BMW、そしてアウディがいま、どうやってBEVを造っていこうとしているのか。国内外のBEVを片っ端からテストしているジャーナリスト、石井昌道が3ブランドの最新作に乗って考えた。1台目の今回は、BMWの旗艦、i7を取り上げる。

環境技術のためにF1を撤退したBMW


大半のクルマ好きから、あまりいいイメージを持たれていないEV。ドライビングで得られる幸せな時間が奪われてしまいそうだからだ。さらに言えば、地球温暖化を抑えるべく国や地域が規制により強制的にエンジンを締め出し、EV一色へ塗り替えようとしていることも気に食わない。規制に関しては、欧州でも2035年にエンジン車実質禁止という目標が揺らぎ、当初より後ろ倒しになりそうだが、EVにシフトしていこうという姿勢は変わらないだろう。

7シリーズは先代に比べ、大幅に車高が引き上げられた。プラットフォームを共有するi7が床下にバッテリーを配置せねばならないからだ。インパクトのあるフロントの造形に比べ、サイドのフォルムは非常にシンプル


果たして、クルマ好きにとってEVは敵なのか?それともクルマ好きの琴線に触れるところもあるのか?ドイツ・プレミアム御三家の最新EVに乗って確かめることにした。

BMWは13年にi3を発売。どのメーカーよりもエンジンにこだわりを持っているBMWが、欧州メーカーでもっとも早いタイミングでEVを発売したことには驚いた。i3は今後増えると言われる大都市での大気汚染やCO2排出を抑える理想的なモビリティを考え抜いた結果の姿であり、市販以前のコンセプトカーはメガシティヴィークルと呼ばれていた。09年にF1を撤退するときの理由は環境対応技術へリソースを投入するため。それだけ本気でEVに取り組んだのだ。

日本仕様のi7は1モーター後輪駆動のeドライブ50、2モーター4輪駆動のxドライブ60、M70の3モデルですべて右ハンドル。


あれから10年が経って発売されたのが旗艦サルーンのi7。エンジン車を含めた7シリーズの一員であり、すなわちプラットフォームはEV専用ではない。それでも走らせてみる限り、エンジン車と共有プラットフォームだからというネガは感じない。むしろ、驚くほど良くできていて腰を抜かすほどなのだ。

BMWの常で、大型のサルーンだからといって快適性一辺倒ではなく、スポーティな特性がベースにある。i7も乗るとシャキッと引き締まった感覚で「あぁ、BMWだな」と思わせる。そこはEVになっても変わらないところ。i3もなるべく軽量に仕上げ、低・中速域の加速を抜群にして駆け抜ける歓びを表現していたが、i7は加速だけではなく、コーナリングも楽しめそうだと直感させるシャシーなのである。



後席ラウンジ・シートと天井格納式のエンターテイメント・システムはオプション。

実際に峠道では驚異的なハンドリング性能をみせる。エンジン車の7シリーズも高度だが、ペースを上げていくにつれアンダーステア気味になったりする。しかしi7を同じように走らせると驚くほどグイグイと曲がっていく。どこに限界があるのかわからないほどだ。前後重量配分はどちらも50:50に近いが、EVのi7は中央に重量物が集中していてヨー慣性モーメントが低い=曲がりやすい。その特性が如実に現れる。

また、路面の凹凸やうねりが大きい場面だとエンジン車ではそれなりに足さばきがバタつくのだが、i7は絶妙にしなやかでタイヤが路面に吸いついている。エンジンという重量物の揺動がないから挙動に悪影響を及ぼさず、シャシーが持つポテンシャルをフルに引き出せるのだ。

コーナーを楽しめるというのは想像の範囲内ではあるが、快適な乗り心地や静粛性の高さといった性能でも、これを得意とするメルセデス・ベンツのお株を奪うほどにハイレベルなことには驚くほかない。サスペンションは引き締まっているのにしなやかで不快さは一切なく、ノイズに関してはここまで抑えることができるのかと信じられないほど。i3でのEVの経験が生きているのだろう。

文=石井昌道 写真=郡大二郎


■BMW i7xドライブ60エクセレンス
駆動方式 前後2モーター4輪駆動
全長×全幅×全高 5390×1950×1545mm
ホイールベース 3215mm
トレッド(前/後) 1665/1650mm
車両重量(前軸重量:後軸重量) 2730kg(1320kg:1410kg)
最高出力 400kW
最大トルク 745Nm
バッテリー容量 105.7kWh
一充電航続可能距離(WLTC) 650km
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン+エア
サスペンション(後) マルチリンク+エア
ブレーキ(前/後) ディスク/ディスク
タイヤ(前) 225/40R21
タイヤ(後) 285/35R21
車両本体価格(税込) 1748万円


(ENGINE2023年12月号)

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