2023.11.24

CARS

「エンジンがものすごく遠くにある!」 ロールス・ロイス・ファントム・シリーズIIの6.75リッターのV12エンジンは、未来に残したい 世界遺産だ!

ロールス・ロイス・ファントム・シリーズII

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音をわざと聞かせる

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大谷 さっきのエンジン音の話もそうですが、ロールス・ロイスって、ロードノイズもきちんと聞かせるんですよ。でも、そのボリュームはものすごく小さいし、音色もまるで不快じゃない。そういう情報をていねいに取捨選択して伝えることが、ドライバーにとっては大切だってことを彼らは知っているんです。でも、心地いい音質のノイズを、ほどよいボリュームで聞かせるのって、完全に無音の環境を作るより、はるかに難しくて手間がかかることだと思うんですよね。



上田 とある日本車メーカーを取材しているときに聞いた話ですが、吸音材とか遮音材とかをめちゃくちゃ使えば、完全な無音に近い状態は作れるけれど、そういう環境にいると、人間ってかえって不安になるそうです。だから、安心感を与えるためにも、伝えるべきものは伝えるって考え方は大事だと思います。

大谷 私は、ロールス・ロイスがそういう手間のかかるクルマ作りをしているのも、自分たちがドライバーズ・カーを作っているという認識があるからだと捉えています。

上田 そう、繊細なコントロールができるクルマこそ、最上のショーファードリブン・カーともいえるわけですからね。

村上 あれだけステアリング・フィールの素晴らしいクルマって、世界中探してもほかにないよ。それも、径が大きくてリムの細いステアリングをいまだに使い続けている。この一事をとっても、本当に見識のある、素晴らしいメーカーだと思う。



大谷 そんなロールス・ロイスが間もなく初のBEV、スペクターを世に送り出そうとしています。私はひとあし先にそのプロトタイプに試乗しましたが、BEVになってもロールス・ロイスの本質的な魅力がほとんど失われていないところに感銘を受けました。

荒井 なんか、これ1台だけ、路面を捉えて走っているというよりも、路面の上を流れるように走っている感じがした。本当に、特別なクルマだと思う。

村上 みなさんもこれだけ褒めているし、個人的にも太鼓判をいくつ押してもいいと思っているんですが、ひとつだけ指摘したいのは、車重が2.8トンもあるってこと。これだけは、いかんともし難いよね。

大谷 先代のファントムまでは、もっと軽さがあったんですけどね。当時と違ってADASなどの装備が増えているので、車重増は仕方ないかと。ロールス・ロイスのV12もエンジン世界遺産決定でいいですね!



バッハの時代にピアノはなかった


村上 100年に一度といわれる自動車界の大変革によって、クルマの楽しみ方にもダイバーシティの時代がやってくるというのが、今回の特集の骨子でした。

荒井 今回、改めてエンジン車に乗って、エンジンがクルマのキャラクター作りの面でとても重要な役割を果たしていることを再認識しました。

大谷 そして、僕たちはそこに強い憧れを抱いていたことも明らかになったような気がします。

村上 みんなの話をずっと聞いていて思ったのが、最近よく聞いているバッハのことだった。

上田 バッハって、バロック音楽の、あのバッハですね?

村上 そう。いま、バッハの作品は、その多くがピアノで演奏されているんだけど、バッハの時代にはまだピアノが発明されていなかった。つまり、オルガンやチェンバロでの演奏を前提に作曲されていたんです。それでもピアニストのグレン・グールドは「バッハの作品はピアノで弾くほうがむしろ素晴らしい」という主旨のことを語っている。

大谷 なるほど。つまり、表現の形式ではなく、表現されているものの本質が大切という考え方ですね。

村上 そう。だとしたら、これまでクルマが表現しようとしてきた本質こそが大事であって、同じような感動は、パワートレインにかかわらず再現できるかもしれない。僕は、バッハの作品と似たことが、大変革後の自動車界でも起きたらいいなあといま夢見ているところです。

語る人=大谷達也(まとめも)+村上 政+荒井寿彦+上田純一郎+村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正



■ロールス・ロイス・ファントム・シリーズII
駆動方式 縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 5770×2018×1646mm
ホイールベース 3553mm
車両重量 2730kg(車検証)
エンジン V型12気筒DOHCツインターボ
排気量 6749cc
最高出力 571ps/5000rpm
最大トルク 900Nm/1700~4000rpm
変速機 8段AT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 255/45ZR22 285/40ZR20
車両本体価格 6050万円~

(ENGINE2023年12月号)

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