2023.12.08

CARS

素晴しい出来映えの新型アウディQ8 e-tron ただし1275万円払ってでも欲しいかと言われると「!?」 そこがEVの難しいところ!

新型アウディQ8 e-tronに試乗!

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アウディ初のフル電動SUV、e-tronがフェイスリフトしてその名をQ8 e-tron と改めて日本上陸を果たした。その走りを横浜で開かれた試乗会から報告する。

あまり街で見かけない

アウディ初のフル電動SUV、e-tronがテスラの本拠地でもある米サンフランシスコに世界中からジャーナリストを集めて発表されたのは、コロナ禍よりも前の2018年9月のことだった。



その後、市販化は遅れに遅れて、日本にようやく入ってきたのは、2020年の夏。しかし、コロナ禍の影響もあり、あまり大きな盛り上がりがないままに、現在に至っている印象がある。

アウディの発表では、e-tronのこれまでの全世界での販売台数は約15万台。うち日本での販売台数を尋ねてみたら、せいぜい1200台くらいのものらしい。年間400台。これでは、あまり街で見かけないのも当然と言えば当然だろう。



その後、内燃機関モデルから派生したプラットフォームを使うe-tronとは別に、電気自動車専用のプラットフォームを持つQ4 e-tronも登場。それを受けてということもあるのか、今回のフェイスリフトにあたって名称をe-tronからQ8 e-tronと変更し、アウディSUVのトップ・モデルとして、よりプレステージを高める戦略をとってきたのである。

名称のほかの大きな変更点は、フロントとリアのデザインを変更したこと。フロント・グリルには黒い縁取りがついて、よりシャープな印象になった。そしてバッテリーやモーターの変更、空力性能の向上によって、50が250kW/664Nm 、55が300kW/664Nmのパワー&トルクはそのままに、一充電の走行可能距離を50が+34%の424km、55が+23%の501kmまで伸ばしていることだ。さらに、ステアリングのギア比も15.8から14.6に変更して、よりシャープなドライビング特性が得られるものにしているという。

滑らかで速く、よく曲がり、よく止まる


私が今回試乗したのはSUVのQ8 55 e-tron S lineだったが、運転席の目の前に拡がるインパネまわりのデザインも、ステアリング・ホイールの形状の変化など小さな部分を除いては基本的に先代と変わらない。しかし、全体的にどことなく洗練度を増しているように感じるのは、決して気のせいではないと思う。恐らくディテールの仕上がり精度が上がっているのだろう。



さらにそれをハッキリと感じたのは、走り始めてからだった。そもそもスムーズな走りと静かさが際立っていたe-tronだが、さらに数段それに磨きをかけてきた感がある。電気自動車にありがちな、これ見よがしな発進加速で驚ろかせたり、重心の低さをアピールするかのようなハンドリングのシャープさを見せつけたり、妙な電子音を響かせたりするような無粋な部分はかけらもない。

ステアリングのギア比を変更したといっても、本当に気持ちだけシャープになったというくらいで、それも乗り味を洗練させるための隠し味のようなものに思える。ステアリング・フィールも加速感もブレーキ・フィールも、これまでのアウディ車の中でも最上級の部類に入るのではないか。

ひとつだけ気になったのは、シートが硬すぎてお尻が痛くなったことだけで、あとはなんの不満もないくらいに滑らかで速く、よく曲がり、よく止まる、素晴しい出来映えのSUVだった。では、それならば1275万円を払ってでも欲しいかと言われると、困ってしまう。そこが何とも難しいのだ。

文=村上政(ENGINE編集長) 写真=アウディ・ジャパン

SUVは全長×全幅×全高=4915×1935×1635mm。ホイールベース=2930mm。車重=2600kg。前後2モーター4WD。


(ENGINE2024年1月号)

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