2023.12.22

CARS

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これで最後! 官能の自然吸気V8を搭載するシボレー・カマロ・ファイナル・エディションに乗る!

ドゥロロロロロ……。6.2リッター自然吸気V8が低い唸り声を上げている。ドライバーの前ではレブカウンターの赤いニードルが600回転を指し、右足に力が込められるのを待っている。「これが最後か」独り言ちた後、私はシボレー・カマロ・ファイナル・エディションをダッシュさせた。

限定50台のカマロ

シボレー・カマロ・ファイナル・エディションは、2024年1月に生産を終了するシボレー・カマロの最終章を飾る限定モデルだ。ベースとなるのは、いまは希少な自然吸気V8を搭載するSSである。

LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)を標準装備。ディファレンシャル・ギアに差動制限機能を持たせることで、駆動輪の空転を抑え、走行安定性を向上させている。

ファイナル・エディションの主な特別装備はボディの真ん中に走るストライプ、レカロ社製のパフォーマンス・バケットシートだ。試乗車はブラックのボディにパール・ホワイトのラインが入った限定30台のモデルで、ほかに白いボディに黒いラインが入ったモデルも20台の限定で用意されている。

ボンネットからルーフ、そしてリア・ゲートまで黒いボディの中央を貫く白いラインが、シボレー・カマロの筋肉質なスタイリングに映えて、より精悍な印象にしている。東京・丸の内で撮影していると、出勤途中のサラリーマンに「カマロですか? カッコいいですね」と声をかけられた。朝のオフィス街に異彩を放つカッコ良さがカマロにはある。

まだ眠そうな早朝の都会を覚醒させるような外観と排気音。カマロが持つ過剰な雰囲気はロックだ。

ドライバーをタイトに包み、スポーティな印象を与えるインテリア。夜間はモニター画面、センター・コンソール、ドアの内張りなどに設けられたネオン管のような青い光が美しい。スポーツ・モードにすると赤く光る。

インテリアもスパルタンな印象だ。2眼式のメーターは液晶ではなく、赤いニードルを備えている。天地方向の狭いフロント・スクリーンは、タイトな印象を与え、それがかえってクルマとの一体感を生んでいる。

◆シボレー・カマロ・ファイナル・エディションの詳しい情報はこちら!


スムーズな「LT1」ユニット

さて、シボレー・コルベットと共通のスモールブロック「LT1」ユニットは、これで本当に終わりなの? と思うほど気持ちがいい。レブリミットの6500rpmまでよどみなく吹け上がり、野太い排気音とともにドライバーを高みへと連れて行く。自社製10段ATをマニュアル・モードにして試してみたら、1速6500rpmで67km/h、2速6500rpmで97km/h! 豪快極まりない加速を味わい、スロットルをオフにするとパン、パン、パンッ! と強烈なバックファイアが響き渡った。

シボレー・コルベットと基本的に共通のスモールブロック「LT1」ユニットを搭載する。気筒休止システムを搭載、低負荷走行時には4気筒を休止させて燃費を向上させる。メーター内の表示を見ないと、切り替えはよくわからないほどスムーズだった。

一方、Dレンジのまま走ると一体どこで変速しているのか、わからないほどスムーズである。ゆったりと豊かなトルクに任せて走るのが似合うのもカマロのいいところだと、海岸通りを走りながら思う。

箱根の峠道で再びパワーを炸裂させる。もちろん急な上り坂などものともしない。ドライビング・モードはツーリング、スポーツ、トラックの3種類だ。スポーツを選び峠道を攻める。カマロのシャシーは最高出力453ps/5700rpm、最大トルク617Nm/4600rpmというエンジンの出力をガッチリ受け止め、コーナーを抜けていく。LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)がトラクションと安定性に寄与しているようだ。メーター内に表示されるGメーターは0.8! うぉおお! と声を出しながらステアリングを切っていくようなときも、専用のレカロ製パフォーマンス・バケットシートがしっかりと身体を支えてくれる。



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カウンター・カルチャー


シボレー・カマロ・ファイナル・エディションと1日付き合って、こいつはロックだとつくづく思った。

見た目も走りも音楽で言うならロックそのものだ。思い返せば、初代カマロのデビューは1967年。アメリカの若者にカウンター・カルチャーが広がった時代である。1950年代半ばのアメリカを謳歌した分別のある中流階級は保守的で、後に「スクエア」と呼ばれるようになった。そんな大人たちに対抗する若者たちの動きは1955年の映画『理由なき反抗』でジェームズ・ディーンが演じたのだが、1960年代に入るとその動きは大きくなっていった。そして1969年8月、ニューヨーク州の郊外に50万人近くの若者が集まった「ウッドストック・フェスティバル」で頂点を迎えるのである。

6.2リッター自然吸気V8(453ps、627Nm)は、10段ATを介し後輪を駆動する。0-100km/h加速は4秒。

今回は試さなかったが、ローンチ・コントロール機能を備えている。発進時のエンジン回転数やリア・タイヤのスリップ量を調整することができ、豪快なバーンアウトをすることも可能だ。

そんな大きなうねりのなかで生まれたクルマがロックな魂を持っていないはずがない。ちなみにカマロがデビューした1967年はジミ・ヘンドリックスがモンタレー・ポップ・フェスティバルで、ストラトキャスターを燃やすというパフォーマンスで観客の度肝を抜いた。

見た目とパフォーマンスでロックという血が流れていることを感じさせてくれたシボレー・カマロ・ファイナル・エディション。次回は本物のロックン・ローラーに試乗してもらう予定だ。お楽しみに。

文=荒井寿彦(本誌) 写真=茂呂幸正



■シボレー・カマロ・ファイナル・エディション

CHEVROLET CAMARO FINAL EDITION
駆動方式      フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高   4785×1900×1345mm
ホイールベース   2810mm
車両重量      1710kg
エンジン形式    V型8気筒OHV
総排気量      6168cc
最高出力      453ps/5700rpm
最大トルク     617Nm/4600rpm
変速機       10段AT
サスペンション 前 マクファーソンストラット/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ      ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ       前245/40ZR20 後275/35ZR20
車両本体価格    940万円

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(ENGINEWEBオリジナル)

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