2024.01.13

CARS

レクサスLMは「高級ミニバンではない!」 マスタードライバーの豊田章男氏が下した評価とは? 【その2 変わるレクサス:LM篇】

レクサスLM誕生の秘密とは?

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レクサスから、これまでの高級車とは違う新しいコンセプトでつくられた2台の注目の新型車が登場した。それが、大きな「LM」と小さな「LBX」だ。ジャーナリストの山本シンヤ氏が、このレクサスの新たな挑戦を解読するシリーズ。1回目のプロローグに続く2回目は、注目のMLがトップ・オブ・レクサスである理由をモータージャーナリストの山本シンヤ氏が解き明かす。◆その1 プロローグから読む場合はこちら!

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高級ミニバン、ではない

北米で生まれ日本で独自の進化を遂げた「ミニバン」。そんな日本のミニバン文化とプレミアムブランドを融合させたモデルがLMだ。初代は2019年に中国マーケットの要望で登場。現地では短期間で世界の名だたるプレミアムセダン以上の存在感とプレステージ性を得ている。



その2代目となる新型は単なるフルモデルチェンジではなく、“立ち位置”が大きく変わった。一つは地域限定モデルからグローバルモデルへの変貌である。開発責任者の横尾貴己氏はこのように語っている。

「初代は中国のお客様の声から生まれたモデルでしたが、その価値はライバルモデルの出現を含めて、十分認めていただいたと思っています。そんな評価を聞いた他の地域からのリクエストも多く、新型はグローバルモデルとして開発を進めました」

もう一つは「アルファードのレクサス版」からの脱却である。

「新型は『高級ミニバン』ではなく『ラグジュアリー・ムーバー』として開発を進めました」(横尾氏)

つまり、セダンの「LS」、クーペの「LC」、そしてSUVの「LX」と並ぶトップ・オブ・レクサスの一台であることを意味している。

「新型を開発する上で強く意識した事は『新世代レクサス』の一員であることでした。初代で評価された所を引き延ばすのは当たり前、それに加えてLMでしか体験できない新たな価値の提供を目指しました。それはデザインと走りです」



エクステリアは全体的なプロポーションにアルファード/ヴェルファイアを感じるものの、それ以外はすべてオリジナル。フロントマスクは新世代レクサスを象徴するスピンドルボディのグリルによって初代よりも優しい表情に。サイドビューはBOX形状の故にデザインの余地が少なく平面っぽくなりがちだが、抑揚がシッカリ出たデザインだ。リアビューも他のレクサスと共通の横一文字のライト類が特徴となっている。

「新世代レクサスの特徴の一つ『スピンドルボディ』のモチーフを取り入れているのはもちろん、『ミニバン=顔が命』からの脱却の想いもありました。サイドビューを特徴付けるキャラクターラインは直進安定性、ロアスカートはロールを抑える効果がある機能部品としての役割もあります。先代+40mmの全幅拡大はデザインのしやすさだけでなく、走り(=トレッド拡大)にも活きています」

インテリアはNX/RXと同じくセンターの大型モニターを中心に各種機能を集中させた「TAZUNAコクピット」を踏襲するデザインだが、センターコンソールを含めたバランスは新世代レクサス最良の仕上がりだ。LMの特等席となる後席は広大なスペースに2座の専用キャプテンシート、48インチの大画面モニター、そしてフロントとの空間を分けるパーティションと、まさに『動くパーソナルスペース』と呼びたいくらいの豪華さを備える。

まるで飛行機のファースト・クラスのようなLMの後席。表皮にはレクサス最高級の本革であるLアニリンを採用。シートにヒーターとベンチレーションが装備されているのはもちろん、レクサスとしては初めて、アームレストとオットマンにもヒーターが採用されている。



「キャプテンシートはもちろん、空調やエンターテイメントを操作するリモコンやシェード、電動スライドシートをはじめとする各種機能は、左右の席を『独立した空間』にすることを意識して開発しました。VIPは後席に一人で乗るケースが多いですが、親しい方を横に乗せた時に自分の操作で相手を邪魔してはダメです。新型はそんな操作時の所作の部分も含めて徹底してこだわりました」

メカニズムはどうか? 新世代レクサスは「対話ができる走りを実現するために、クルマの体幹をシッカリ鍛える」のが基本だが、ミニバンは箱型で開口部が大きい、車両重量が重い、重心高が高いなど、決して基本素性は良いとは言えない。

「走りの面では不利と言われるボディ形状で『レクサスらしい走り』を実現させる。そこが私の中の大きなタスクでした。その実現のためにTNGAに加えて電動化技術やレクサスが長年培ってきた味づくりのノウハウやレシピをフル活用しました」

フロントに2.4リッターターボ+1モーターのパラレルハイブリッド、リアにeアクスルを組み合わせたパワートレインはシステム出力349psを発揮。実際に走らせてみるとパフォーマンスは数値以上で、2.5トンと重量級ボディの重さを感じさせない余裕の動力性能とトルコンレスの6速ATとの組み合わせによる小気味よいフィーリングが心地よい。



もちろん、レクサスDNAの一つである静粛性も抜かりなしで、よほどの全開走行をしない限り後席はもちろん前席でもエンジンは「完全に黒子」に徹している。

プラットフォームはGA-Kがベースだが、エンジン・コンパートメントより後ろは床が低いMPV専用設計を採用。リアサスはダブルウィッシュボーン式を採用するが、これも室内スペースに影響が出にくいMPV専用品だ。ショックアブソーバーはレクサス初採用となる「周波数感応型AVS」で、走りのセットアップを選択可能なドライブセレクトには後席の快適性を最優先した「リアコンフォート」も用意されている。

その走りは後席優先のショーファー・モデルながらも、レクサス専用設計による基本素性の大幅レベルアップと前後の駆動力をコントロールするダイレクト4の相乗効果で、MPV特有の腰高感は少なめ。それに加えて、コーナリング時の一連のクルマの動きは他のレクサス車同様、より自然/より素直なコーナリングが可能だ。ちなみにドライブモード・スポーツを選択すれば、ミニバンらしからぬ一体感の高い走りもできる。つまり、ドライバーズ・カーとしての要素も備える。



乗り心地の良さと静粛性はフラッグシップであるLSを超えるレベル。特にドライブモード・リアコンフォートでは後席は「極楽」の一言に尽きる。実際に後席でインプレッションをした時は、「移動空間でありながら、自宅で原稿を書く時よりも環境がいいかも?」と思ったくらいだ。

ちなみにマスタードライバーである豊田氏はLMの評価後に「これは凄い!!」と語ったという。言葉数は少ないが、開発陣にとっては最高の誉め言葉だったことだろう。LMは「高級車=セダン」という固定観念から脱却したゲームチェンジャーと言うべき存在となっている。

文=山本シンヤ 写真=レクサス・インターナショナル

(ENGINE2024年2・3月号)

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