2024.01.11

CARS

見応えは日本のメーカーに勝るとも劣らない 【ジャパン・モビリティショー回顧録:BYD篇】

名称もコンセプトも新たに、前回の東京モーターショーから4年ぶりに開催された自動車の祭典、ジャパン・モビリティショー2023。ここでは、大きな注目を集めたこのイベントをメーカー別に振り返っていく。最終回となる今回は日本のモーターショーで初めてブースを構えたBYD。得意とする電気自動車=バッテリーEV(BEV)専売メーカーとして2023年に日本での販売を開始した中国メーカーにフォーカスする。

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日本メーカー並みにの大型ブースを構える

日本導入第1弾の「アット3」に続き、コンパクト・ハッチバックの「ドルフィン」も高い評価を得ているBYD。日本のメーカーに勝るとも劣らない面積を得たジャパン・モビリティショー2023でもブースは大盛況だった。



今春導入のシールが一番人気

ひと際大きな人垣ができていたのが、この春に導入予定の新型車「シール」だった。ボディ・サイズは全長×全幅×全高=4800×1875×1460mm、ホイールベースは2920mmと、やや大柄なDセグメントといったところだ。車名はアザラシなどの海獣を意味するが、ゆるキャラ的なほのぼのとした意匠ではなく、もっと厳ついワイルドな装いだ。

5人乗りのBEVセダンで、82.56kWhのバッテリーを積み、航続距離は555kmというのが公称のスペック。パワートレインは313psのリア・モーター後輪駆動と、フロントに218psのモーターを加えたAWDを設定し、会場にはそれぞれ1台ずつ展示された。

このAWD版のトランクリッドにある車名の下には3.8Sのロゴが入っている。排気量のはずはなく、はて?と首を傾げていると、肩越しに「0-100km/h加速が3.8秒なんですよ」と鈴を転がすような声が聞こえてきた。

写真は発表時のもの

上位ブランドの2台も出品

BYDのブースにはBYDとは異なるブランドのクルマが2台置かれていたのだ。それらはBYDが本国で展開する上位ブランドの商品だ。

1台は「デンツァD9」。デンツァはBYDのプレミアム・ブランドで、D9はメルセデス・ベンツと共同開発した高級ミニバンとなる。ボディ・サイズは全長×全幅×全高=5250×1960×1920mm、ホイールベースは3110mmという堂々たるもの。BEVとプラグイン・ハイブリッド(PHEV)が用意されるが、展示車両はBEVだった。豪華な内外装もさることながら、2口同時急速充電という、日本の乗用BEVではまだなじみのないソリューションが当たり前に導入されていたのも衝撃だった。



2000万円級の高級SUV

もう1台はBYDの最高級ブランドとなる「ワンヤン」の大型、「U8」。全長×全幅×全高=5319×2050×1930mm/3050mmという巨体のSUVで、2000万円級と目されるが、驚くべきはそのメカニズムだ。発電用エンジンは2.0リッター直4直噴ターボだが、システム総合出力が1196ps/1280Nmの4輪インホイール・モーターで駆動。設計上、4輪独立制御による無限軌道車のように超信地旋回や真横への移動、さらには機密性の高いボディを水面に浮かべ、タイヤによる推力で航行することも可能だという無敵ぶりだ。

手頃な価格の実用EVで定評を得たBYDだが、上位機種のシールも成功を予感させるクルマだった。しかしまさか、日本上陸1年未満で、さらなる上位ブランドまで紹介するとは。輸入車メーカーの少なかったジャパン・モビリティショー2023にあって、そのインパクトは強く脳裏に焼き付くものとなった。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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