2024.05.06

LIFESTYLE

レコードバーって知ってますか? アナログ・レコードを聴きながらお酒が飲めるバー「MUSIUM」が六本木に期間限定でオープン 1960年代から80年代の音楽ファンは注目!

コンセプトは「未来で発見された音楽の廃倉庫」。

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希少なアナログLPが楽しめることで話題を呼んでいる東京・六本木で期間限定のレコードバー「MUSIUM(ミュージーアム)」。懐かしく新しい、オールドデイズの音楽に耳を傾けたい。

まさにレコードの博物館


音楽の楽しみ方が配信中心となって久しい。お気に入りのミュージシャンの新曲を手に入れるのはショップではなく、スマホのタップかパソコンのクリック。手早く便利だが、どこか物足りなさを感じる人は多いだろう。

一方でアナログ・レコードが再び脚光を浴びている。大手メガストアではCDコーナーの縮小を横目にスペースを広げており、レコードプレーヤーの売れ行きもいい。音質のいい盤が手頃な値段で買えることから、インバウンドの顧客も増えているようだ。こうした傾向を受け、人気を集めているのがレコード・バー。往時となった1960~80年代のLPをかけ、シニアは懐かしさ、Z世代は新鮮さから足を運ぶ。なかでも別格の存在感を放つのが、2025年2月1日まで六本木で限定営業されている「MUSIUM」だ。音楽と博物館をかけた店名にふさわしく、株式会社USENが保有する10万枚のレコードから選ばれた数千枚が並ぶ。ポップスやロック、ジャズや歌謡曲など、レパートリーはジャンルレス。中古市場で数十万の値がつく希少な盤も少なくない。

ヴィンテージオーディオ専門店のスタッフが監修した伝説的なオーディオ機器が並ぶ。空間と音楽に合った極上の環境を演出。上のレコードプレーヤーはイギリスのカラート、下のアンプはマッキントッシュ275。真空管が醸し出す、アナログならではの豊潤な音を堪能したい。

行くたびに新しい1枚に


店内にはバーテンダーの梶原威志さんのほか、セレクターと呼ばれるスタッフが常駐しており、毎日変わるセットリストを元にアルバムが選ばれる。店内のコレクションも2~3カ月単位で入れ替わるので、行くたびに新しい一枚に出会えそうだ。もちろん、音響設備も充実のひと言。ヴィンテージものを中心にオーディオのプロが音響や音域、店舗設計まで熟慮して選んだ高価なプレーヤー、アンプ、スピーカーが揃う。

「若い人も多く来られますね。配信よりひと手間かけて音楽を聴くのが楽しいようです。お酒を飲みながら、じっくり楽しんでおられます」(梶原さん)

かつては絶滅危惧種とも揶揄されたレコードの復活。それは単に温故知新のリバイバルではないだろう。アートワークを凝らした紙ジャケット、溝が刻まれた30cmのビニール盤、識者のライナーノーツつき歌詞カード、そして何よりデジタルの二進法では拾いきれない豊かな音の広がり。鼓膜だけでなく、五感で音楽を楽しむことは、アーティストが込めた思いに共鳴していく陶酔に近しい。「未来の廃倉庫」をイメージした異次元の空間での音楽体験は、“コンテンツ”として切り売りされる配信には望めない贅沢さに満ち溢れている。

ピンク・フロイドの「炎」(中)、「ゲッツ/ジルベルト」(左)、ジャクソン5の「Lookin’ Through The Windows」(右)などのレア盤も豊富。

文=酒向充英(KATANA)写真=松崎浩之


(ENGINE2024年4月号)

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